こんにちは。スギムーです。(@sugimuratakashi)
「起業したい」関連の相談についてですが、そもそも起業すべきかどうか?という問題が1つ。
そして起業するにも、何を優先させて起業するのかが明確になっていないから、起業テーマの選別に何年も悩み続けることになるのです。
多くは
「好きなことをしたい」
「さらに、最高の仕事の環境(自由)が欲しい」
「もちろん、利益を出さなければいけない」
という、二律背反どころか、3つの条件を得ようとしているので、難易度が上がりすぎていて起業がうまくいかないのです。
Contents
■起業したい人が陥るパターン
(1)情報収集をしてノウハウコレクターになる
まず起業しようとした時に、大体の人が情報収集から始めます。
自己啓発系の書籍や、有名なインフルエンサーの起業の体験談などを読みます。
内容は「こんな私でもできた!」と言ったヒーローズジャーニーが基本です。
そこに影響を受けてモチベーションが上がり、起業する気持ちになっていきます。
もう少し勉強する人はセミナーに参加したり情報商材などを買い始めるか、それらの提供者の無料情報をメルマガやブログや無料動画などを見ます。
ここで「やりたいことが見つからない」「もっとできそうなビジネスはないか」と言った思考に陥った場合は、ノウハウコレクターと呼ばれる情報収集だけをして行動をしないインフルエンサーの信者になって発信者を儲けさせるだけの存在になる人が出てきます。
(2)とりあえず起業して失敗する
次に、情報を集めててでも仕方がないから行動をしようと、とりあえず起業していく段階に入っていきます。
ここで失敗するパターンと成功するパターンに別れます。
失敗の場合は基本的に知識不足による自滅です。
・ニーズがなくて売れない
・ノウハウ不足で集客ができない
・固定費のかけすぎで入出金が回らない
などなど、勢いでスタートして事業計画がなく経営の知識不足により失敗に陥ります。
ここで失敗して(1)に戻るという無間地獄は避けたいものですが、そういうパターンも多いでしょう。
しかし、この手前で情報収集をしっかりしたり、あるいは「たまたま」ニーズや集客経路があって、成功した場合ですが・・・
(3)成功した結果
なんとかビジネスが立ち上がった場合、以下の3つのパターンに陥ります。
1、利益が出ているが面白くない
2、楽しめているが利益が出ない
3、利益も出ないし楽しくもない
利益が出ない場合は改善の可能性がありますが、楽しくないと言うものは改善が難しい。
どういうことかと言うと、「楽しい」「面白い」と言った感覚は個人の起業の動機によるものが大きいのです。
■起業したい理由を特定しよう
なぜ起業したいのか?と言うと以下の2つの理由に帰結します。
(1)仕事内容を変えたい
まず今やっている仕事内容に不満がある場合、起業を考えることがあります。
しかし、仕事内容の問題「だけ」を考えて「好きなこと」で起業するのは危険です。
起業をすれば、業務内容は「経営」になります。商品などの内容はあまり関係がなく、経営に関しての業務が社長の仕事になります。
一人でビジネスをするのであれば、営業から商品開発、広告宣伝、業務対応、経理から電話番まで全てを行うことになります。
例えばいくらケーキが好きでも、ケーキの販売や経営が好きかどうかは別問題です。起業をしても扱う商品サービスが変わるだけで、会社の部署にあった全業務が必要になります。
現在の職務が気に入らない、自分に合っていない場合は転職するか、上司にその旨を相談することが大事です。
仕事内容を変えたいと言う理由の場合、起業することでは解決しません。
例外的に「今の会社では自分の能力が生かしきれない」と言う場合、「会社」と言う枠組みでは自分の能力が生かしきれないわけです。そういう場合は、会社で成果をガンガンあげているはずなので、さらに経営レベルで仕事をしたいというのはオーケーでしょう。
(2)仕事環境を変えたい
もう一つは、労働条件や環境を変えたい場合です。
つまり、環境の自由度を上げたいから起業したいという動機で起業するということ。
自由というのは、以下のようなものがあります。
・人間関係の自由
・時間的自由
・経済的自由
つまり、上司や同僚や取引相手が嫌だ。
時間の拘束や使い方を自由にしたい。
もっと給与が欲しい、予算の使い方を自由にしたい。
働く場所を変えたい。
と言った動機から起業するということです。
■起業の条件が多すぎることが問題
問題は、起業して最初から、これらすべてを手に入れようとすることなんです。
1、「仕事の内容は好きなことであること」
2、「人間関係も、時間も、収入も自由であること」
という条件で起業するわけです。
もちろん利益を出し続けなければビジネスは継続しませんから、もう一つ、絶対的な最低条件として「利益が出ること」というものが追加されます。
1、「利益が継続するビジネスであること」
2、「仕事の内容は好きなことであること」
3、「人間関係も、時間も、収入も自由であること」
この3つの条件、いきなりクリアできますか?って話なんです。
だから、起業しても、
1、利益が出ているが面白くない
2、楽しめているが利益が出ない
3、利益も出ないし楽しくもない
という結果になるわけです。
利益は改善できるとしても、問題は「楽しくない」ことなんですが、これは
・仕事内容が楽しくない
・人間関係が楽しくない
・時間がないから楽しくない
・お金がないから楽しくない
といった、どれが欠けているから楽しくないのか?という話です。
すべてを満たすのは難しいので、優先順位をつける必要があります。
■起業の条件に優先順位をつける
まず、業務内容が好きなことであることが重要なのか?
それとも、仕事の環境の方が重要なのか?
どちらを優先するかを決めましょう。
いきなり両方は無理です。
最初から無理をして全てを手に入れるプランを自分の都合で考えるからうまくいかないのです。
「好きなこと」かつ「楽して儲かる」という二律背反を何年も追いかけることになる。
・業務内容を優先する場合
最初の起業はあくまで、ノウハウ獲得や、会社を辞めて完全独立のためのキャッシュフローを作ることにこそ目的があります。立ち上げが成功すれば、すぐに業態は変わるでしょうし、ビジネスの仕組みも変えればいいわけです。ずっと最初のままではないのですから。
「好きなこと」を優先すれば、ある程度、人間関係や時間や収入に制限ができる可能性がありますが、それを立ち上がった後で仕組みによって改善をすればいいわけです。
例えば、鍼灸師の仕事が好きで、それで起業しますと。そうなれば、人的サービスですから、時間や収入や場所の制限は出ますし、いろんなお客さんも相手にする必要がありますから、仕事環境の優先度は下がった状態です。
それで立ち上げが成功できれば、組織化をしたり、フランチャイズ化したり、同業者のコンサルに当たったりと、別の業態、別の仕組みに変えれば、仕事環境も高いものになりますよね?
最初は我慢が必要でしょうし、利益を出すには経営もしっかりしないといけませんが、最初に仕事環境の優先度を下げておいたことで、「利益を出す」「好きなことをやる」だけに集中できるということです。
それがいきなり「利益も出しながら、好きなことをしながら、時間も欲しいし、あれも欲しい」となると、投資や不動産やネットビジネスなどおかしなことにお金と時間を使ったりして、出せる利益も出ず、次の段階に進まずに終了というケースになりがちです。
・仕事環境を優先する場合
時間や収入や人間関係、場所などを優先するならば、仕事内容は好きなことは最初は諦めましょう(笑)好きでもないことや、不得意なこともやる覚悟で挑まなければ、その条件をクリアした起業は成功しません。
例えば、物販などは好きな商品を仕入れて売るのではなく、売れる商品をリサーチすることが重要になりますから、その商品が好きじゃなくてもできる仕事と言えます。仕組み化をすれば、外注さんやアルバイトで回すこともできるタイプの仕事ですから、時間や人間関係、場所にも縛られません。ただ、好きなことは諦める必要があるということ。そこでノウハウや資金を獲得したら、次の段階で好きなことを始めてもいいわけです。
もっと細かく、「場所だけは譲れない」「時間だけは確保したい」など、優先度を決めておけば、選択するビジネスも自ずと絞られてきます。
ちなみに僕はこっちのタイプでビジネスをスタートさせました。できることで需要があるものからビジネスを作り、そこでノウハウを獲得して、やりたかったプロデュース業に転向しました。最初はやりたくないこともかなりしていたのでしんどい時期もありましたが、そういう手順を踏めば、立ち上げの成功確率は上がるはずです。
■起業の最低条件は利益の維持
何れにしても、絶対的条件は、利益です。
利益が出なければ、いつかはやめなければならない時がきます。
「好きなことで起業しよう」
「起業して自由になろう」
というメッセージが世の中に溢れていますが、はっきり言ってそんな都合のいいものは誰にでも当てはまりません。断言します。
それを言っている人が、たまたま、その作業が好きで、あるいは、好きなことにしてしまえただけです。
そのビジネスの種類が、最初から仕組み化が前提だったから自由になれただけです。
業種によっては、いろんな制限がかかっていて当たり前です。
だから、その手のメッセージのほとんどは、「ネットビジネス」や「投資」をやることが前提なのです。
そうしたメッセージを盲目的に信じて起業したら悲劇です。
少なくとも「好きなこと」「環境」のどちらかの優先度はつけましょう。
■起業したい理由のまとめ
まとめると、「好きなこと」「環境」のどちらかの優先度をつけて起業すること。
起業すべきかどうかは、以下のチャートを参考に。
<仕事内容>
・仕事内容を変えたい
→転職が吉
・組織では責任の範囲が狭すぎて仕事内容に不満がある
→能力が高いので副業からスタートして起業へ
<仕事環境>
・人間関係を変えたい
→転職が吉
・組織という枠組み自体が向かない
→副業からスタートしてフリーランスへ
・時間的な自由が欲しい
→起業したからといって暇にはならないからボツ
・お金がもっと欲しい
→副業で5万円目標でスタート。起業の必要性はない
自分の起業したい理由がアンダーラインになっている人以外は、起業の必要性はないでしょう。
組織に収まりきらない能力、あるいは組織に収まらない価値観の人こそ起業を目指してください。かつ、自由やお金が欲しいとか、全部当てはまるという人ももちろん。
組織に馴染めている人は、それはすごい才能です。
副業をやりながら、自由度を高めて、その結果、いまの組織ではやりきれないようなことをしたくなったら、起業を検討してください。
だから、みんな、大きなことを目指さず、まずは一歩だけ踏み出せばいい。
ということをお伝えしたいです。