戦略・ビジネスモデル

差別化戦略の意味とは?差別化を図ることができない理由

こんにちは。スギムーです。(@sugimuratakashi

ビジネスをしている人にとって「差別化が重要だ」ということは、当然の認識です。
多くのコンサルは差別化をすすめています。

しかし、中小企業、個人事業が「差別化によって成功した」という話は聞いたことがありません。何年も、何十年も前から「差別化しよう」としているのに、なぜ差別化ができないのでしょうか?
それには理由があります。

はっきり言って、中小企業、個人事業にとって差別化戦略ほど無意味なものはありません。
できないからです。

今回は、差別化戦略ができない理由と、その解決策をお伝えします。


■差別化戦略の意味とは?

差別化戦略とは、経営学者のマイケル・E・ポーターによって提唱された「競争戦略論」の中に登場する企業の基本戦略の1つで、MBA(経営学)の教科書に採用されているもの。

その基本戦略の3つとは、あまりにも有名な以下です。

1、コストリーダーシップ戦略
2、差別化戦略
3、集中戦略

コストリーダーシップは、コスト主導で生産性や効率を高めて、他より安いことを優位性にするということ。差別化とは、顧客価値主導で同質商品の中で、他社より優れた商品品質やイメージ、提供方法などサービスの充実によって価格競争に巻き込まれない差異を作ること。集中戦略とは、経営資源を特定の顧客ニーズ、特定の地域、特定の製品ラインに絞り込んで競争優位性を確保すること。

言ってみれば、

  • 有名人やイケメンになってモテようと言うのが差別化
  • お金持ちになって超快適な暮らしを提供できる男になってモテるのがコストリーダーシップ
  • 自分の需要があるところだけでモテようとするのが集中戦略

つまり、差別化とは「他より高くても、他より優れること」ということですね。
言い換えると「同質商品における優位性」ということになります。

で、問題は中小企業にそれってできるの?ということです。

コストリーダーシップもそう。できますか?
利益を削らずに、日本一安く。

できないんです。
コストリーダーシップも、差別化も。

言ってみれば、凡人が福山雅治を目指すようなもの。

なぜ、コスト主導も、差別化もできないのか?
もう少し具体的に見て行きましょうか。

■差別化の要因

では、何が優れないといけないのかという差別化の要因ですが、以下の4つがそれに当たります。

1、機能的差別化
2、物理的差別化
3、情緒的差別化
4、付帯サービスの差別化

機能を多機能にする、単機能にする。デザインやパッケージを良くする。顧客と関係性を築いたり、有名人のイメージを活用する。商品の保証、配送、利便性などプラスαの要素を取り入れると言ったことです。

で、それらってめちゃくちゃお金がかかりますよね?能力必要ですよね?

商品やサービスをオリジナルで開発するだけでなく、同質の製品サービス、つまり大手の競合も含めて、優れたものを作らないといけない。

できますか?できないですよね?

福山になれないですよね?

打てばホームラン、守ればファインプレー、できないですよね?

走る姿は松本ですよ?無理ですよね。
(古くてわからない方は、今、スギムーがどこかで爆笑をとったんだなと思ってください。ほんと。お願いだから)

■差別化戦略の成功事例

では実際に、差別化に成功している例を見て行きましょう。

<企業の差別化の例>

例えば、ハンバーガーチェーンのマクドナルドとモスバーガー。モスは価格帯が高いですが、ファストフードなのに自然志向、高級志向で単価が高くてもポジションを作っています。製品の機能的な差別化に成功しています。

<商品の差別化の例>

例えば、ダイソンでいえば、吸引力がすごいという高機能化で他社製品よりも高くても選ばれています。圧倒的な技術力です。iPhoneはデザインやユーザーインターフェースの使いやすさ、ブランド力によって選ばれています。

<マーケティングの差別化の例>

例えば、今治タオルは「白いタオル」というイメージで高品質なタオルといえば今治タオルというマーケティングで成功し、土屋鞄は、写真が魅力的なFacebookなどの自社媒体に誘引することでマーケティングによる差別化を成功させています。ガリガリ君もパッケージやキャラクター、CMのインパクトといったマーケティング的な差別化です。どれも商品自体は、圧倒的な見た目や味などの品質自体で他社製品よりもインパクトのあるものかというと、詳しい人じゃないとわからないくらいの違いですが、マーケティングで差を作っています。

■差別化できない理由

これらから分かるように、差別化を成功させている企業は大きい会社です。

差別化には、多額の資金力、高度な技術力、優秀な人材が必要。
だから、中小企業、個人にはできません。

差別化して売れようと言うのは、イケメン・美人になってモテようとするようなもの。
全身整形にはかなりのお金がかかります(笑)

そもそも、マイケルポーターの競争戦略論は、大企業向けです。
MBAを取得しても、中小企業のコンサルティングや経営に使いにくいのはこのためもあるでしょう。

少なくともコストリーダーシップと、差別化は大企業にしかできません。

それを様々な書籍や情報によって「差別化が重要」と刷り込まれたことによって、差別化しようと努力をし、いつまでたっても差別化ができない状態に追い込まれているわけです。

■差別化の2つのポイント

「そうか!差別化なんてできないんだ!」

と、できない理由を正当化していても仕方がありません。

解決策が2つあります。

(1)リサーチによる差別化

1つ目は資源が多くなくてもできる「差別化」の手段です。

お金がなくても、技術力が他より優れていなくても、圧倒的に勝てる商品がなくても、優れた人材がなくても、差別化するというのですから、尋常じゃない努力が必要になります。

資源というのは、「金・人・モノ・ノウハウなど知的財産・情報」と言ったものですから、多額の金も優秀な人も、他にない優れた商品も、他より優れた技術もないなら、「情報」しかない。

もし、小規模事業者が圧倒的に結果を出しているなら、それは圧倒的なリサーチをしていると思って間違い無いでしょう。しかも、お金のかからない生の情報を自分で集めている。
その情報をもとに、商品開発やサービスの解消をしている。

例えば、商品開発前に、購入希望者がいるかをテストする「ドライテスト」です。

  • 顧客のアンケートから共通点を見つけて、商品化の仮説を立てる
  • 見込客にニーズがあるかどうかをプレゼンする
  • 購入希望者がいる時点で商品を作り始める

というもの。
厳密には商品がないのに課金してしまうこの手法は違法なので、テストであることを見込客に告げてからやらないといけませんので注意しましょう。アンケートだけなら問題になりません。

実際、僕のクライアントは、リサーチをし、商品企画の仮説を立て、ドライテストをしてもらい、テスト段階で売れることがわかってからマーケティング展開をすると言うのが定番です。このやり方だと、ニーズを元にするので特殊な切り口の商品が生まれることがあります。それが差別化に近い役割を果たします。

こちらの商品企画の記事も参考にしてください。

他にも、購入データ、広告反応率を上げるためのアンケート、記事のアクセス数、様々な情報を活用して、顧客のニーズに合致したことをして行きます。これが結果的に、他にはない商品サービスという、差別化になって行きます。

ただし冒頭で言ったように、これを仕組み化するのは、かなり難しいです。
分析力がもの言うやり方です。
厳密にはこの手法も、差別化ではなく、次に紹介する戦略とプロセスが違うだけで同じなんですが。

(2)集中戦略を取る

2つ目は、差別化ではありません。
「マーケットの変更」です。
つまり、基本戦略でいえば、「集中戦略」です。

結局、差別化というのは優位性である以上、中小個人には不可能。年商規模が数十億、100億を超えた企業が検討できる戦略というのが実際のところです。小規模事業は、大きくなるまでは、既存のモデルの模倣が基本です。

ビジネスのベテランが取る最初の戦略は、
9割は模倣。
たった1割程度、手つかずの需要に集中する
ことを考えます。

考えてもみてください。
しずかちゃんは、出木杉くんじゃなく、のび太を選ぶんです。
のび太もめちゃくちゃ需要があるんです。

その手つかずの需要に集中戦略をかけるのが、中小企業の基本戦略です。

例えば、「ソーシャルメディアコンサルタント」というのはだいぶコモディティ化していますが、需要の中に「読者を引きつけるタイトルが作れなくて困っている」というものがあれば、その需要に集中特化させる。その悩みは、対象者のほとんどが共通したものなので、市場規模が減ることはないし、その商品を売った後に通常のサービスを売ってもいいわけです。

例えば、「美容室」と言うのは当然コモディティ化している市場ですが、需要の中に「白髪染めが他店で上手く染まらない」と言うものがあれば、その客層に集中特化させる。

集中特化すべき競合不在の軸は以下のようなものがあります。

・客層
・地域
・時間
・サイズ
・提供方法
・ルール変更による需要増

そうした集中戦略こそ、中小個人が取れる戦略です。
差別化戦略は基本的にできません。

たまに、集中戦略と差別化戦略を混同している情報がありますが、「中小個人ができる差別化」と言って紹介されている手法は集中戦略です。他と比較した優位性ではなく、ほかとは違う需要にシフトしている手法なはずです。

こちらの記事でも競合不在市場の話を書いています。

■中小企業・個人事業に差別化はできない

結論、「差別化はできない!」(笑)

まとめると、中小個人は、差別化はしたくてもできません。
なぜなら、資源が不足しているからです。
だから、学んでも意味がありません。

福山になる方法とか意味ないです。なれないから。

さも、大企業の差別化の成功事例を並べて、「こうやって差別化をする」ということを学んだところで、自社が大企業でなければ意味がないです。

美容院に行って「玉木宏にしてください」と言っても、身長は伸びません。

いい加減にしてください。俺。

その間違った差別化の認識によって、
価値でもなんでもない「特徴」を「差別化している」と思い込んで、マーケットを縮小させたり、致命的な問題が出る前に、差別化がうまくいかないなら、マーケットのチェンジ、業態のチェンジをすべきでしょう。

 

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