戦略・ビジネスモデル

キャッシュポイントを複数に増やす28個の商品の作り方

こんにちは。スギムーです。(@sugimuratakashi

ビジネスには儲かる収益構造を持った強いビジネスモデルが必要です。
当然、収益が生まれる瞬間というのは、商品やサービスが購入された瞬間、購入が継続された瞬間に発生します。

つまり、売れる商品があり、顧客化できているならば、
次は、どれだけキャッシュを生む機会を持っているか?
ということが重要になってきます。

そうした売り上げを生む機会のことを
「キャッシュポイント」と言います。
今回は、複数のキャッシュポイントを作り、ビジネスモデルを強化するための商品の発想方法についてやっていきます。


■キャッシュポイントとは?

キャッシュポイントとは、収益を生む機会のことです。

例えば、大きいところではアップル社は、Macを販売し、メモリ増加やバンドルソフトなどのオプションがあり、キーボードやマウスのアクセサリーがあり、保証サービスがあり、1回の購入でも合計額を顧客のニーズに合わせて最大化する仕組みがあります。それだけではなく、購入後も、iCloudなどのクラウドサービス、Apple Musicなどの月額サービスといった継続課金モデルがあり、App Store、アップルストアなどの単発購入など、様々な課金の仕組みを持っているわけです。

ビジネスモデルというのは、いかにして1人の顧客と長期的に関係を築いて何度も顧客を魅了し、課題を解決し続けることによって収益の最大化を図ることに他なりません。

顧客の現在の課題から、課題が解決した未来に向かうストーリーの中で、要所要所に顧客の課題が出るタイミングで、キャッシュポイントを提案する仕組みが必要です。キャッシュポイントは複数持っているほど、課題解決の機会、つまり、販売の機会が増えます。

・キャッシュポイントが問題ではない

現在売れてないからキャッシュポイントを増やそうという考えは間違いです。儲かっていない理由が、そもそも売れてないなら、市場やターゲット選定の間違いや、売れるコンセプトができていないことに問題がありますよね?あるいは、売れているならビジネスモデルや価格が悪いのかもしれませんし、集客が間違っている可能性もあります。そうした段階でいくら商品を増やしても、意味がありません。ビジネスモデルや市場選定からやり直すか、事業の撤退も考えなければいけません。

・キャッシュポイントを増やす必要がある人

逆に、キャッシュポイントを増やすべき人は、現在のビジネスがある程度軌道に乗っていて、もっと儲かるようにしないといけない段階の人です。あるいは、ビジネスモデルを作り途中の人もキャッシュポイントの設置場所を検討した方が良いでしょう。

■ビジネスモデルのキャッシュポイントを複数に増やす方法

ビジネスモデル上にある商品というのは、その性質上から、消耗性があり購買頻度の高い「リピート性」のあるものか、利益額の高い「収益性」のあるものかに分類することができます。これらの特性と市場を考慮して、商品の構成や、ビジネスモデルを決定する必要があります。つまり、「リピート性も収益性もない商品」「収益性はあるがリピート性のない商品」「収益性はないがリピート性がある商品」を組み合わせて、顧客のLTV(顧客生涯価値)を最大化していくようにしていく必要があるということです。

以下に、それぞれの商品の例を挙げていきます。

(1)集客用商品

まず、「リピート性も収益性もない商品」ですが、なぜそんな商品が必要かといえば、最初に「見込み客を獲得する」「顧客獲得をする」ということが必要だからです。一般的には、高額商品をいきなり買ったり、長期的に使い続けるお店をいきなり選んだり、長期契約をいきなりしたり、ということ自体がありえません。ですから、最初は儲からなくても存在を知ってもらうような「集客用商品」を低価格、あるいは無料で用意をする、ということがあります。集客用商品の目的は、集客そのものなので、集客用商品で利益を取ろうと考えることは間違いです。

住宅をいきなり電話一本で買う人は稀なのです。まず問い合わせをしますから、資料請求や内覧会などの入り口が必要です。お店の場合は、まずはお試し価格で集客をして、よかったら継続的に利用してもらうという機会を作ります。メインの商品と同じもので良いので、それをお試し価格で提供するというのが集客用商品です。情報発信ビジネスなら、メルマガや無料セミナー、安価なデジタルコンテンツがそれに該当します。最初のうちに、低価格でも支払いをした顧客は、継続的に商品を購買してくれる可能性が高い顧客リストになります。

例外的に、ブランド化が成功している大企業の製品はいきなり購入ということがありえますので、集客用商品がメイン商品くらいの値段で販売されています。例えば、iPhoneのような人気商品は、最初からそれを買いますからね。しかし、無名商品や中小個人の場合はそうはいかないので、まずは知ってもらうための集客用商品、人気商品を作る必要があります。

・資料請求、小冊子、PDF、ブログ、メルマガ
・人気商品のお試し価格
・体験版
・無料期間
・体験レッスン
・説明会
・低価格のセミナー
・デジタルコンテンツ

(2)収益安定化商品

リピート性の高い商品が「収益安定化商品」です。メインの商品が、リピート性のある商品であれば収益安定化商品がバックエンド(顧客が最後に買う、あるいは買い続ける商品)になり、この商品の反復購入が目標になります。

もちろん収益安定化商品で、「スケール(拡大)が可能な商品」の場合は、顧客数が増えていけばそのまま「収益性が高くリピート性の高い商品」になります。

例えば、美容サロンはリピート性があるサービスですが、1店舗あたりのスタッフ数、席数で売り上げの上限は決まっているため、1店舗だけで永遠に顧客数を拡大することは不可能ですから、多店舗展開が前提となるモデルです。1店舗あたりが収益性もリピート性も高いビジネスになっていれば良いのです。逆に、レンタルサーバやシステムのレンタル、広告モデルのウェブサイトなどのWEBサービスであれば、顧客数は無制限に拡大が可能ですから、収益安定化商品そのものがリピート性も収益性も高まっていきます。

保険や士業の契約などもこれに該当します。契約が増えれば収益が安定します。が、労働集約型ビジネスの場合は、自分で現場をやっている以上は価格を極端に上げる以外に、契約報酬で収益性が高い状態まで持っていくことは難しいでしょう。そのためLTVを上げるのに、関連商品との組み合わせが必要になってきたり、組織化の必要性が出てきます。

・リピート商品サービス
・契約報酬、月謝、月額課金モデル
・消耗品、定期販売
・広告モデル
・物販モデル

(3)収益化商品

収益化商品は、利益額が高い商品です。比較的、利益額が高い商品というのは、多くの顧客は購入せず、リピート性がない売り切り商品という傾向があります。住宅や、車は滅多に買いません。とはいえ、高額だから収益化商品だというわけではなく、あくまで利益額が高い商品が収益化商品です。

メインで販売しているこの収益化商品のために、集客用商品が存在する場合もありますし、メイン商品が収益安定化商品の場合は、補助的に高額商品やハイエンドユーザー向けの高額商品がラインナップされることもあります。

前者の場合は、資料請求や情報提供、あるいはお試しなどによって、本来のメイン商品の価値を知ってもらい、収益化商品の購入に至ります。

・高額商品
・法人向け販売
・団体向け販売

■キャッシュポイントを組み合わせる理由

理由1:収益性もリピート性もある商品は存在しない

なぜ組み合わせる必要があるのかといえば、当然、リピート性もあり、収益性も高い商品を販売し続けたいのが本音でしょうが、個人向け市場(BtoC)であれば、毎月数十万円、数百万円も支払い続けるような人も、商品も存在しませんから、リピート性もあり、収益性も高い商品というのは、結果的にその事業そのものがLTV最大化ゾーンに行き着くということに過ぎません。つまり、顧客数もたくさん、販売数もたくさん、という状態になれば、そのお店や事業そのものが、収益性が高い状態になるということです。

逆にBtoB(対企業向け)やBtoSB(小規模事業者向けビジネス)であれば、毎月、数十万円の契約や、単発で数十万円の商品は作りやすいでしょう。ただ、単価が高い分、手間がかかれば結局は同じことなので、収益性もリピート性もある商品というのは、需要がめちゃくちゃあるのに供給されていない市場でのリピート性のあるビジネスか、「事業そのもののシステム化」以外にありえません。

最初から「収益性もリピート性もあるビジネス」により近づきやすくしたい場合は、競合不在マーケットから考え直しましょう。

理由2:ビジネスはトータルの利益

メインの商品の購入数が少なかったり、単価が高くなくても、複数のキャッシュポイントと組み合わせることでトータルで収益を上げることができます。1つの商品で大ヒットとならなくても、複数の業態を取り入れることでトータルの収益性を作り出すということもLTVを上げる考え方です。ただし、本業がうまくいっていないのに、それを埋め合わせるために副業的に色々な商品を用意してもダメです。あくまで、メインの柱の事業をより太くするために行うのが、キャッシュポイントを複数用意するという作業です。

■キャッシュポイントの28種類の作り方

では基本がわかったところで、キャッシュポイント増やすための商品企画について解説していきます。まず、キャッシュポイントを増やすには、今のビジネスの柱になっている価値を崩さずに、同じ価値で、違うものを、違う時に用意することが重要です。

例えば、音楽で言えば、1つの音楽は、CDになり、映像になり、ダウンロードコンテンツになり、コンサートになり、テレビでの配信になり、と、様々な形に変えています。でも、元は同じ曲です。同じ価値でも、違う切り口で、違う用途で、違うタイミングで、違う形態で、欲しいわけです。コンサートで体験する価値と、車でBGMとして聞くという価値は、それぞれ用途、目的が違います。しかし、同じ元は価値です。キャッシュポイントを増やすというのは、この考え方と同じです。「アイスコーヒー」と「ホットコーヒー」は同じコーヒーですが、それぞれ違うものです。

つまり、顧客の目的や受け取る価値を考えて、今ある価値を別のものにできないか?より高められないか?より濃くできないか?と考えることです。

以下に「商品の軸」「顧客の軸」で、商品の切り口の考え方を列挙していきます。

<商品軸>

・価格

現在の価格に対して、圧倒的に安くできないか?無料にできないか?高くしたらどうか?ということを考えます。見込み客の獲得向けに体験商品、無料コンテンツ、広告主をつけてフリーペーパー化。逆に、最高級商品。経営者向け。ハイエンドユーザー向け。プロ向け。

・数

商品の提供数を無制限に増やせないか?まとめて売れないか?逆に、すでに複数商品や複数機能で売っているなら、機能の単一化ができないか?単品で売れないか?ということを考えます。例えば、デジタルコンテンツや工場による生産ならば無制限に提供可能です。訳あり商品としてのまとめ売り、セット売り。1つの目的に合わせたバンドルセット。減らすなら、らくらくフォンのように、高齢者向けにボタンが1個で簡単に電話ができる携帯電話。パーツ販売など。

・時期

商品を購買前に困っていること、購買後に困っていること。必要になるものを考えます。アフターメンテナンス、保証サービス、充電器、ケース、引越し後の家具購入などは購入後に必要になるものです。逆に、事前カウンセリング、引越し前の見積もりや不動産情報、などは購入前に必要になるものです。

・時間

同じ商品でも、朝、提供したら需要が発生しないか?夜、提供したら需要がないか?と考えます。あるいは、1日限定商品。30秒で終了のフラッシュセール。といった売り方で考えることもできます。副業で土日にデザインの仕事をしていた人が、他の会社が休みの土日に発注したい企業がいることで需要が生まれたケースもあります。

・深さ

顧客の問題の根深さに合わせて商品を作ります。問題が浅いもの、深いもの。簡単なもの、難しいもの。ソフトなもの、ハードなもの。「自宅でできる」といった簡単なものや、「プロがマンツーマンで」といったコーチング型か。「毎日5分でできる英会話動画レッスン」「もうキラキラなんて言わせない!スパルタ起業塾」

・範囲

問題の範囲を広くしたり、狭くしたり。「インスタグラムの集客に特化したセミナー」となれば、問題の範囲は狭区なり具体性が増し、需要が生まれることがあります。逆に「個人事業主の売り上げアップ緊急事態宣言!」となれば、全員に共通する抽象的な課題になります。

・期間

期間を短くしたり、長くしたり。「1dayレッスン」「3ヶ月で解消する」といった今やっている商品よりも極端に短い期間、長い期間でアイデアを出します。極論、飲食店が「7日間ダイエットに挑戦する健康イタリアン」という切り口で、1週間毎日レストランに通ってもらうというアイデアだって試すことはできますよね。

<顧客軸>

・人数

人数を変える。お金をもらう人数を、大人数化する。あるいは、一人に絞って個別化する。1対1のカウンセリングから、講座型商品へ。逆に、セミナービジネスからマンツーマンの個別セッションへ。「買った人だけ見れる、質問できる!限定30名の動画で答えるあなたと作るオリジナルセミナー」「1日1組限定貸切りレストラン」

・顧客層

顧客層を変える。対象者を、個人から法人へ、法人から個人へ。男性から女性へ、女性から男性へ。例えば、ダンスのインストラクターはダンスを習いたい人が顧客に設定していますが、その思い込みを外して、インストラクターが普段顧客にやっていることを同業者に教える「〇〇養成講座」を提供する。法人向けに提供している経理システムを、個人向けのスマホアプリにする。対象者を変えたことで新しい商品、需要を作れないか?

・場所

場所を変える。リアルでやっているならオンラインにする、逆も然り。地域を変える。国内から海外へ、海外のものを国内へ。例えば、リアルで占いを提供していた人が、スカイプでオンラインに対応するだけで、収益の柱になるサービスになったりします

・提供者

提供者を変える。自分で提供しているなら、他の人に提供してもらうことで新しいサービスが作れないか?コラボレーション。共同広告。共同メディア。お客が提供者になることで立場を逆転。〇〇作り体験会。提供者を変えることで新たな商品価値が作れないか?

上記の軸を「時間×人数」「時間×提供者」といった具合に、組み合わせて考えていくことで、なんと28種類もの切り口が手に入ります。
書き始めたはいいが、今回の内容は1記事では収まりませんので、この概要で終わりにします(笑)

シートは自由にダウンロードして使ってください。

ダウンロード

■ブログの3つのキャッシュポイント

さて、自分がビジネスの集客のために運営しているメデイアというのがあると思います。
ブログ、メルマガ、ウェブサイト、ニュースレターなどです。実はそうした媒体さえも、キャッシュポイントになりえます。

例えば、アマゾンは、商品発送の際の段ボールに広告を印刷して広告費を徴収したり、商品と一緒に入っている同梱チラシも広告モデルです。中小企業でも、自分の顧客に役立つ他社の商品の代理店をしたりすることがあると思います。そうした観点で見れば、自分の商品だけではなく、他社の製品も含めてキャッシュポイントになり得るということです。

例えば、ブログにもキャッシュポイントを最低3つは設置することができます。

1、サービスの販売、申し込み
2、商品の販売
3、広告収益

ビジネスブログであれば、すでに自分のお店やサービスがあると思いますのでその申し込みや促進をしたいというのがブログ運営の前提ですね。しかし、それだけではなく、そのマネタイズが順調ならば、ブログメディアで商品販売といったEC化をすることができます。月額課金モデルの商品、ほぼ全てが粗利のコンテンツ販売、もちろん通販も。また、アクセスがあるならば、クリック課金広告の導入、自分の商品だけではカバーできない顧客の問題解決に役立つアフィリエイト商品の広告などもキャッシュポイントになります。

実際に僕もメルマガ運営はいくつか携わってきましたが、自社製品だけでなく、他社の提携商品や、アフィリエイトも顧客に役立つものならば紹介をして、その仲介手数料をいただくモデルというのは普通にやっています。メディアに価値があれば、キャッシュポイントは作れます。

■ビジネスモデルに合ったキャッシュポイントの見つけ方

最後にキャッシュポイントの見つけ方ですが、これは基本的に、自社製品を購入した後のアンケートで、その後の困りごとや行動を確認して、ニーズを発見し、それに合わせて上記のような企画方法で作っていくのが基本になります。

あくまでキャッシュポイントの設置の視点で重要なのは、顧客が何に困っているのか?
どの段階で、どういうレベルの課題にぶち当たっているのか?

という視点です。

こちらの勝手で商品をどんどん作っても顧客は追いついてこれないので、ぜひ、顧客と一緒に、商品を作っていくという視点を持ちましょう。

 

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