こんにちは。スギムーです。(@sugimuratakashi)
「口コミ」という言葉があります。
しかし「口コミ」を、あたかも「魔法」のような、「奇跡」のような、そんな不確定要素の塊のようなニュアンスで「口コミ」という言葉を使いがちです。
果たしてその口コミはなぜ起きるのでしょうか?
どうなったら口コミや紹介は起きるのでしょうか?
その偶然を、奇跡を、ただ待つだけ。
それでは集客システムとは言えません。
口コミや紹介は科学的に引き起こすような仕組みが必要ですよ。
Contents
■口コミは希望的観測に過ぎない
よく「口コミだけでやってます」という人がいますが、それは裏を返せば集客の仕組みも作らずに、細々とパラパラと紹介をもらうしかないということです。
あるいは、起業するタイミングで曖昧なビジネスアイデアのまま、ターゲットや価値提供も不明確なまま、集客について「良い商品なら口コミが起きるはず」と言った希望的観測でスタートして、悲劇が起きるケースは見たくないほど見てきました。
ビジネスは、毎月、毎月、利益を上げて行くという再現性が必要なわけで、不確定要素に頼って思考停止しているわけには行きません。
- 人間が何を解決するために普段から何を買っているのか?
- どれだけの人数の人がそれを買っているのか?
- つまり、市場規模はどの程度か?
- リアルビジネスなら、商圏内の人口はどの程度いるのか?
- その商圏内の人口の人、みんながそれを買っているのか?
- どの程度の頻度でそれを買っているのか?
- その商圏に競合となる他者は何社あるのか?
- ネットなら、なんのキーワードで検索してその商品を買うのか?
- 何人が毎月そのキーワードを検索しているのか?
- ターゲットはどこにいるのか?どんな媒体を見ているのか?
- それらターゲットにどうやってアプローチするのか?
- どうやってあなたの商品サービスにたどり着くのか?
そうした全ての道理が理にかなっていなければ、集客の再現性はないわけです。
口コミや紹介というのも同じく再現可能な科学でなければ機能はしません。
■売り込みに参加したい人はいない
そこで、「友達紹介キャンペーン」と言ったものを企画したりします。
「お友達を紹介してくれたら〇〇プレゼント」のような、紹介者にメリットがあるものですね。
しかし、友達に売り込みたい人なんていないのです。
すでに誰かを紹介したいとなっている場合をのぞいて、お客さんに紹介をお願いしても難しいでしょう。
なぜあなたの営業活動にお客さんが参加しなければいけないのでしょうか?
言ってみれば、お客さんにメリットを差し出すから友達を売り渡してくれと言っているようなものです。
このようなキャンペーンの多くは機能しません。
例えば携帯電話のような、誰もが使うような「どうせ使うなら」と言った、大手のコモディティ品でなければ機能しないでしょう。
そもそも何かをあげるから、代わりに営業してください、という発想がアウトなのです。
■口コミとは何か?
口コミの定義を調べるとこんな感じです。
ーー
マスコミとの対比で生まれた言葉であり、「口頭でのコミュニケーション」の略とみられる。本来は小規模なコミュニケーションであったが、インターネットの発達で影響力が大きくなった。
ーー
お客さんが他の人とコミュニケーションをするときに、あなたの商品サービスの話題が登るということです。
友達紹介キャンペーンで、何かをもらえるという理由があった際、その話題をお客さんが人に出すのは非常に困難なことです。
自分が得したいからといって友人に「ねぇねぇ、これ良いわよ!」とか、不自然すぎてありえませんよね。
当たり前ですが、「人に話したくなようなこと」でなければ口コミは起きません。
人が何かを買った後に何を話したいかと言えば
・自慢したい
・世話を焼きたい
と言う心理があるわけで、友達キャンペーンを強制することではなく、お客さんの行動を自然と変えさせることが大事です。
■紹介・口コミが起きる2種類のタイミング
人が人に何かを紹介したくなるタイミングは2パターンあります。
1、購入直後・体験直後
商品を買って、興奮している時。
あるいは、商品サービスを体験して感動した後。
この瞬間に、人にその感動を伝えたくなる心理が生まれます。
時間が過ぎるとその熱は冷めてしまいますが、体験直後はそのことばかり考えているタイミングです。
・やばい本を見つけた!
・この映画、感動した!
・この人、すごい!
・こんな商品見たことない!
・購入前と、こんなに変わった!
こう言った時、人に話したくなりますよね?
ですから、顧客が変化を感じたタイミング、感動するタイミングで、紹介の依頼を出すということは大事です。
サービスによっては、一回のサービスでは感動が起きるほどの変化はないかもしれませんので、何回目のコンタクトで紹介依頼をするかは物によって異なりますが、変化によって感動したタイミングを押さえる事です。
感動したタイミングで
「お客様のお知り合いで、お客様と同じように〇〇に困っている人はいますか?」
と聞く事で、「そう言えば、あの人も」と思い浮かぶことができます。
ご紹介の提案内容は、ご本人にメリットがなくても、ご紹介される側の人にメリットがあれば問題ないはずです。
場合によっては本人にメリットをつけると、ご友人関係の間でトラブルが起きかねませんし、本当に価値を感じたら誰かを紹介したくなるわけですから、メリットはご友人側だけで良いケースが多いでしょう。
2、友人とのコミュニケーションの時
そしてもう一つ、口コミ・紹介が起きるタイミングは、当然、顧客がだれかとコミュニケーションをしているタイミングです。
その時に話題に登る必要があります。
これについては次に紹介します。
■口コミを起こす4つのマーケティング例
(1)明確さ
まず、話題に登るというのは、そのお店や商品サービスが明確なコンセプトを持つほど、人は語りやすくなります。
「こういう人のためのこういうサービス」
というポジションが明確な商品サービスであれば、話題が出た時に、「そう言えば、そういうことで困っているなら、こんな商品があったよ」と、すぐに伝えられるわけです。
問題が出た際に、すぐに思い浮かぶということが重要。
そうすれば自然と話題に上ります。
ここで重要なのは
・対象は誰なのか?
・解決策はどんな良いもの、新しいものなのか?
・どんな結果が得られるのか?
これが明確に顧客に伝わっていれば、人に伝えやすくなります。
つまりは、お店や商品のポジショニングということです。
これが明確なだけでも自然と口コミは起きます。もちろん、市場がある前提です。
(2)ギャップ
話題に登るということはニュース性が必要なわけですが、ニュースというのは「意外性」があることほど注目されます。
キーワードは「ねぇ、知ってた?」です。
「〇〇っていいと思ってたけど、ほんとはダメなんですって」
「〇〇のやり方に変えたら、すごい良かった」
と言った、顧客には広く知られていない事実で、専門家しか知らないようなことはたくさんあります。
そうした役立つ新事実をチラシやニュースレターに書くことで、顧客とだれかが話した際に話題になるのです。
そして、その新事実を踏まえたサービスをあなたが提供していたら、あなたのビジネスにターゲットは注目し始めるわけです。
(3)シェア
「クリスピークリームドーナツ」は日本進出する際のプロモーションとして、無料でドーナツを「1箱」プレゼントしました。
「1個」じゃなくて「1箱」です。
それでどうなるかと言えば、一人では食べ切りませんから、人にシェアするわけです。
それでもう宣伝もできて、食べれば価値も伝わりますよね。
食べてさえもらえればリピートされるのであれば、一度無料にしてしまうというのは、フリーミアム的な発想のプロモーションですね。
誰もが使う、消耗性のあるものであれば、単純かつ有効な手段です。
(4)インパクト
例えば、「モーブッサン」と言うジュエリーブランドがダイヤを5000個無料配布しました。完全にニュースになりますよね。当然、長蛇の列ができます。
つまり、インパクトです。
例えば、「超巨大パフェ」のような商品を巨大にすることでインパクトを生み、話題のお店になる飲食店があったりします。
インパクトをつけるには、主流とは真逆のポジションで商品を作ることです。
・そうではないものを巨大にする
・そうではないものを最小にする
・そうではないものを大人向けにする
・そうではないものを子供向けにする
・そうではないものを単機能にする
・そうではないものを多機能にする
・そうではないものを何かの専用にする
・そうではないものを最高級にする
・そうではないものを最先端なものにする
・そうではないものをリメイク、リバイバルする
・そうではないものを真面目なものにする
・そうではないものをバカらしいものにする
・ありえないものを無料にする
などなど、軸はたくさんあります。
真逆の視点で商品などを作れば、インパクトが生まれ話題になると言うことです。
これは少し上級者向けですね。
何れにしても「自然と行動が変わる」ようになっています。
こうなると、話題作りとしては(1)や(2)が最も現実的で予算がかからずにすぐに取りかかれる方法ということです。
つまり、結局のところは口コミが起きるのは、コンテンツ力(コンセプトや商品サービスそのものの価値)がものをいうのは大前提ということです。
■何もしなくても口コミは生まれる
基本的に、価値ある商品サービスがあれば、自然と口コミは発生します。
ただ、それを再現性のある形にしないといけません。
「すでに紹介したいとお客様が言っている」
「すでに紹介をよくもらっている」
と言う場合は、単純に「〇〇で困っている人が周りにいたらご紹介ください」と言えば、ほとんどの場合ご紹介いただけます。メリットをつけても、ご友人の方につければいいでしょう。そうすればご友人へのプレゼントとして機能します。
それを必ず3回目のコンタクトポイントの後に伝えるとか、そう言った業務ルールを作ることで紹介確率が高まります。
重要なのはタイミングです。
先ほどもあったように、商品サービスによって劇的な変化があった、感動したタイミングにご紹介の依頼をすることです。
それから商品が分かりにくいようなもの(BtoBなど)であれば、顧客が知人に紹介する際に困らないようにツールを作っておくことです。
このツールを渡してもらえば、基本的なことが伝わる、というものを状況に応じて作成しておく必要があります。
■口コミマーケティングのおすすめ本
以下にオススメの口コミ関連本をご紹介します。
・ティッピングポイント
・アイデアのチカラ
・口コミ伝染病
■まとめ
口コミ・紹介も、科学的に再現できなければ意味がありません。
希望的観測ではなく、しっかりと仮説と検証を行って根拠のある口コミ・紹介マーケティングを導入する必要があります。
もちろん、これらは基本的な集客の仕組みづくりが全て完了していて、ビジネスモデルやオペレーションに問題がなくなっているような時点で導入する拡大のためのプロモーション戦略であり、紹介により無料集客によって新規顧客獲得コストを下げるためのものですから、初期段階から口コミに頼ろうとは思わないほうがいいでしょう。
そもそも紹介してもら顧客をどうやって獲得するんだ?って話ですからね(笑)
すでに顧客がいる場合は、ぜひ紹介依頼をシステム化して行ってください。