なぜ売り込まない人の方が商品が売れるのか?宣伝とコンテンツの違い

こんにちは。スギムーです。(@sugimu331)

日本思想×ビジネスの翻訳家/ビジネスコンサルタント歴20年/株式会社ウェブロック代表/SoulWork主宰/中小企業から上場企業、IT・音楽業界・店舗ビジネス・BtoBまで幅広く経験。200件以上のプロジェクトに参加。ビジネスの相談件数は数千件。ブログ年100万PV突破。金儲け主義に違和感のある起業家に向けて、三方よしの日本的起業家精神とスモールビジネスの原理原則を伝えるオンライン講座「月刊ソウルワーク」を運営(運営歴1年/累計販売数1000件突破)しています。

商品の説明はしている。

特徴もつけて書いている。

告知もしている。
それなのに、なかなか売れない。

そんな時に、

「もっと営業が上手くならないとダメなのかな」

「セールスやコピーを勉強しよう」

「自分はビジネスに向いていないのかな」

と考えてしまう人は多いです。

特に、真面目に仕事をしている人ほど、ここで悩みます。

本当は、

・必要のない人に無理に買わせたくない。

・煽って決めさせるようなこともしたくない。
・ちゃんと価値を理解して、納得して選んでもらいたい。

それだけなんですよね。

でも、売れなければ商売は続きません。

だから仕方なく、セールストークを覚えたり、クロージングを勉強したり、「今だけ」「残りわずか」といった言葉を使った方がいいのかと考え始める。

けれど、実はビジネスがうまくいく人は売り込みが上手いわけではなく『お客さんが自分で価値を理解して選べる状態を作っている人』なんです。

今回は「売り込まなくても売れる」の正体を解説していきます。

■お客さんは商品を選べない

まず、前提ですが、専門的な商品ほど、売り手とお客さんの間には知識の差があります。

建築家は資格を持っています。
美容師は、毎日髪を見ています。
家具職人は、材料や構造を見ています。
コンサルタントなら、多くの事業を見ています。

でも、お客さんは当然ですが、その道の専門家ではありません。

ここで大事なのは、単に「商品について詳しく知らない」という話ではありません。

問題は、お客さんは『何を見て選べばいいのかが分からない』のです。

例えば、家を建てようとして住宅会社を比較している人がいるとします。

A社も「高性能です」と言う。
B
社も「高性能です」と言う。
C
社も「品質には自信があります」と言う。

ホームページを見れば、耐震、断熱、気密、構造、素材、保証、施工実績と、情報は山ほど出てきます。

でも、それを初めて見る人は、どこが本当に重要なのか分かりません。

数字が大きい方がいいのか。
高い材料を使っていれば安心なのか。
保証年数が長ければいいのか。
価格が高い会社の方が品質も高いのか。

判断基準がない状態では、情報が増えても選びやすくはなりません。

むしろ、全部もっともらしく見えてきます。

人が商品を選ぶ時に使える材料は、それほど多くありません。

自分の過去の経験。
周りの人の口コミや評判。
売り手から渡される情報。

専門商品では、自分の経験だけでは判断できないことが多い。
家を何十回も建てた人はほとんどいませんし、初めて使うサービスなら比較する基準も持っていません。

すると、口コミや「人気」「おすすめ」といった分かりやすい情報の力が強くなります。でも、人気があることと、自分に合うことは別ですよね。

安いことと、自分の目的を満たすことも別です。

だから、顧客は正しい購入判断をできません。

なので、専門家がやるべきことは、「うちが一番です」と主張することではなく、お客さんが自分の目的に合った選び方をできるようにすることなわけです。

それができていないと、顧客は、価格、知名度、口コミ、営業担当者の印象など、分かりやすいものだけで決めることになります。

これは、お客さんが悪いわけではありません。

判断材料がないのだから、判断できる材料で決めるしかないのです。

■選べないのは、判断基準がないから

この状態のお客さんに、

「うちは本当にいい家を作っています」
「この商品が一番おすすめです」
「今ならお得です」

と伝えても、決め手にはなりません。

なぜなら、それは売り手の評価だからです。

お客さんが知りたいのは、

「あなたが何を売りたいのか」

ではなく、

「自分は何を基準に選べば失敗しないのか」

です。

ここが分からないまま商品説明を増やすと、売り手は一生懸命なのに、お客さんには情報ばかりが増えて迷いだけが残ります。

商品の説明が足りないのではありません。

判断するための説明が足りないのです。

ここは大きな違いです。

「当社の商品には、こんな特徴があります」

という説明は、商品を主語にしています。

「あなたがこういう目的なら、ここを見て選んでください」

という説明は、お客さんの判断を主語にしています。

同じ知識を話していても、役割が違います。

前者は商品情報を増やす説明。
後者は、お客さんの中に選ぶ基準を作る説明です。

売れない時に説明量を増やす人は多いですが、判断基準がない人に商品情報だけを足しても、比較項目が増えるだけです。

例えば、住宅会社が自社の断熱材について詳しく説明したとします。

材料の名前。
厚み。
性能値。
施工方法。

その説明自体は正しくても、お客さんが「そもそも断熱性能は、暮らしの何に影響するのか」を理解していなければ、自分に必要かどうかは判断できません。

だから、先に必要なのは商品を褒めることではありません。

「冬の室温差を減らしたいなら、ここを見てください」
「冷暖房費まで考えるなら、この部分も確認してください」
「数字だけで比較せず、実際の施工方法まで見てください」

と、お客さんの用途・目的に合わせて、どう判断すればいいかを教えることです。

ここまで分かれば、お客さんは初めて各社の商品を自分の目的で比較できます。

■売り込まない人は「選び方」を教えている

売り込まずに売れている人は、商品の説明をしていないわけではありません。

説明する順番が違います。

いきなり、

「この商品はすごいです」

から始めない。

先に、

「あなたの場合は、何を基準に考えればいいのか」

を教えています。

例えば家具なら、

「小さい子どもがいるなら、見た目だけではなく、傷がついた後に補修できるかを見た方がいい」

と伝える。

そこで初めて、無垢材という特徴が意味を持ちます。

単に、

「無垢材を使っています」

ではなく、

「傷がついても削って補修しながら長く使える」

と分かるからです。

つまり、お客さんが先に「見る基準」を持つ。

その基準で商品を見る。

すると、今までただの特徴だったものが、

「自分にはここが大事なんだ」

という意味に変わります。

ここまで来れば、売り手が強く押す必要はありません。

むしろ、押さない方が自然です。

なぜなら、お客さんの中で答えが出始めているからです。

販売で本当に強いのは、売り手が作った「買う理由」ではありません。

お客さん自身の中にできた「自分にはこれが必要だ」という理由です。

売り手から、

「これは絶対に買った方がいいです」

と言われるのと、説明を聞いた後に自分で、

「なるほど。自分の場合はここが必要なんだ」

と気づくのでは、意味が全く違います。

後者は、誰かに買わされた判断ではありません。
自分で理解して決めた判断です。

だから価格の意味も、商品の違いも、選ぶ理由も自分の中でつながります。

価格でしか比べられなかった人が、価格以外を見るようになるのもこの時です。

違いが分からなければ、安い方を選ぶのは自然です。

でも、

「自分は長く使いたい」
「この条件は外せない」
「ここに手間がかかっているから、この価格になる」

まで理解できれば、単純な安さだけでは決めなくなります。

値段を気にしなくなるわけではありません。

何にお金を払っているのかが分かるようになるのです。

■自分で「必要だ」と分かれば、押す必要はない

人は、自分で必要だと分かっているものまで、誰かに強く説得されないと買えないわけではありません。

雨が降っていて傘がない。
仕事で使うパソコンが壊れた。
毎朝の髪のセットに困っている。

問題と必要性が分かっていれば、自分で探します。

専門商品で難しいのは、必要性がないからではなく、

「何を選べば自分の問題が解決するのか」が分からないことです。

だから、提供者がそこを分かるようにする。

すると販売の場面そのものが変わります。

「どうやって買わせるか」

ではなく、

「この人の場合、何が必要なのか」

を一緒に確認する時間になる。

もちろん、説明した結果、

「今は買わなくていいですね」
「その用途なら高い方は必要ありません」

という結論になることもあります。

それでいいんです。

必要のない人にまで売ることが目的ではありません。必要な人が、必要なものを、自分で納得して選べる。

その状態を作ることが大事です。

そして、この売り方は長い目で見るほど強くなります。

一回の成約だけを考えれば、強く押した方が決まる場面もあります。

でも、それを商売の基本にすると、毎回「どうやって売るか」を考え続けることになります。

一方で、お客さんが理解して選べる状態を作れば、販売の前段階から話が変わります。

問い合わせの時点で、

「自分はここを重視したい」
「この違いは理解しています」

という状態で来てもらえる。

売る側も楽ですし、買う側も楽です。

どちらかが無理をして成り立つ商売ではなくなります。

一度売るために強く押す人より、

「この人は、自分に必要かどうかをちゃんと考えてくれる」

と思われる人の方が、次に困った時にも相談されるからです。

■「売り込まずに売る」とは、何もしないことではない

「売り込まない」とは、何も伝えないことではありません。

黙って良い商品を作っていれば、いつか誰かが分かってくれる、という話でもありません。

むしろ逆です。

専門家だからこそ、お客さんが判断するために必要なことを、きちんと言葉にする必要があります。

何を比べればいいのか。
どこを見ればいいのか。
どういう人に向いているのか。
どんな場合は必要ないのか。
何を知らないと失敗するのか。

こうしたことを先に伝えておけば、お客さんは商品を見る目を持てます。

その目で自社の商品を見た時に、価値が理解される。

これが、売り込まずに売るということです。

営業が苦手だからダメなのではありません。
強く押せないから売れないのでもありません。

商品について十分説明しているのに売れない場合は、まず「もっと売り込む」より先に、

「お客さんは何を知れば、自分で選べるのか?」

を考えてみてください。

■まとめ

売り込まない人の方が商品が売れるのは、話術が巧みだからでも、何もしなくても人柄だけで売れるからでもありません。

顧客が、自分で買う理由を理解できる状態を作っているからです。

商品をおすすめする前に、選び方を教える。
特徴を並べる前に、その特徴を見る意味を伝える。
買わせる前に、自分で判断できる状態を作る。

そうすれば、販売は「説得」から「理解」に変わります。

今月の月刊SW「コンテンツマーケティング講座 前編」では、まさにこの「お客さんに商品やサービスの価値を理解してもらう」という考え方を、体系的に解説しています。

コンテンツマーケティングというと、ブログやSNSの話を想像する人も多いですが、本質はそこではありません。

お客さんが何を知らないのか。
何を理解すれば正しく選べるのか。
そのために、何をどう伝えるのか。

売り込むことに違和感がある人ほど、知っておいてほしい内容です。

 

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PROFILE

杉村崇 takashi sugimura

日本思想×ビジネスの翻訳家。ビジネスコンサルタント歴20年。株式会社ウェブロック代表。IT・音楽業界・店舗・中小企業・個人から上場企業まで経験。ブログ年間100万PV突破。金儲け主義に違和感のある起業家へ、“三方よし”の日本的起業家精神とスモールビジネスの学びを提供

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