こんにちは。スギムーです。(@sugimu331)
ビジネスがうまくいかなくなると、不安になります。
売上が落ちる。
集客できない。
今までうまくいっていた方法が通用しなくなる。
そんな時は、本を読んだり、講座で学んだり、専門家に相談したりして、何とか立て直そうとします。
ところが、それでも結果が出ない状態が続くと、
「何を学んでも意味がない」
「誰に相談しても同じ」
「結局、自分で考えるしかない」
と、人との接点を切っていくことがあります。
プライドからうまくいっていない時は人に会いたくなくなったり、自信を失って人に会いたくなくなる人もいれば、「あの人の言っていることは間違っている」「周りは何も分かっていない」と他人を否定して、学びや相談そのものをやめてしまう人もいる。
そして最後には、
「起業は孤独なものだから」
「経営者は最後は一人で決めるしかない」
と納得してしまう。
ところが、実は、孤独になると、ビジネスはさらに悪化します。
これは精神論ではありません。
様々な研究データによって統計的に、「孤独」は経営者のバーンアウト(燃え尽きて仕事ができなくなる状態)やメンタル不調、仕事のパフォーマンス低下、さらには「事業を辞めたい」という意思にまで関係していることが分かっています。
つまり、ビジネスがうまくいかないから一人になったのに、その「一人になる」という行動によって、さらにビジネスがうまくいかなくなる。
という現象になるわけです。
Contents
■孤独になると、ビジネスは本当に悪化する
2025年、日本全国の中小企業経営者1,000人を対象にした研究では、経営者特有の職業ストレスが、心理的苦痛とプレゼンティーズムに関連していました。プレゼンティーズムとは、仕事はしているけれど、心身の不調によって本来の能力を発揮できていない状態のことです。
つまり、倒れて仕事ができなくなった時に初めて問題になるのではありません。その前から、仕事の質が落ちていく。ということです。
また、日本で中小企業の男性社長143人などを対象に調査したところ、「人に助けを求めない」「人に訴えない」「愚痴を言わず自分で頑張る」といった行動が、仕事上のストレスを高め、メンタル不調への脆弱性を強める関係が確認されています。
弱音を吐かない。
人に頼らない。
自分で頑張る。
こう言うと、なんとなく「強い経営者」に見えるでしょう。
でも、研究では一人で抱えることによって、ストレスを自分の中だけで処理することになり、メンタルまで悪化していく。ということがわかっています。
そして孤独の影響は、本人の心だけでは終わりません。イギリスとインドネシアの起業家を調査した研究では、孤独感が強くなると仕事への情熱が低下し、それを介して「事業を辞めたい」という意思が強くなる関係まで確認されています。
孤独になる。
ストレスを一人で抱える。
メンタルが悪くなる。
仕事の能力も落ちる。
事業そのものを続ける気力まで失っていく。
という構造です。
これは「ビジネスは孤独だから仕方ない」で済ませていい話ではありません。
逆に、セルフケアや社会的支援がある経営者ほど、心理的苦痛とプレゼンティーズムが低いという結果も出ています。つまり、相談相手がいる場合は、こうしたネガティブな状態に陥りにくいということですね。
■「自分は大丈夫」と言える問題でもない
とはいえ、
「自分はメンタルが弱くないから大丈夫」
と思う人もいるでしょう。
でも、孤独はそれほど特殊な問題ではありません。
内閣府が2025年に実施した調査では、孤独を感じる人が37.7%。日本人の約4割が、程度の差はあっても孤独を感じています。
しかも、孤独というと「一人暮らしの高齢者」を想像しがちですが、強い孤独は30代6.1%、40代5.7%、50代5.7%と、2割弱が仕事をしている現役世代です。
さらに、同居人がいる人に比べて、一人で暮らしている人では強い孤独を感じる割合が大きく上がります。
しかも日本では、単身世帯そのものが2005年で29.5%だったのが、2025年に40.1%、2050年には44.3%まで増えると推計されています。
仕事が苦しい。
相談する相手もいない。
家に帰っても一人。
そのうえ、専門家やコミュニティとの関係まで切ってしまう。
そうなると、一日の大半を、自分の問題について自分一人で考えることになります。
孤独は、一部の「孤独な人」だけの問題ではありません。
日本では2024年から「孤独・孤立対策推進法」まで施行され、内閣総理大臣を本部長とする推進本部が設置されています。国が法律を作って対策する規模の問題になっています。
さらに、一般人口を対象にした米国47,318人の研究では、「孤独をまったく感じない」人のうつ病診断の推定確率が9.7%だったのに対して、「常に孤独を感じる」人では50.2%でした。
もっと言えば、起業家242人を対象にした米国の研究では、生涯にうつなどの精神疾患を経験したと自己申告した起業家が49%。
「自分は心が強いから関係ない」という種類の問題ではないんです。
■なぜ、ビジネスでは孤独になりやすいのか?
では、なぜビジネスをしていると孤独になりやすいのでしょうか。
ここには、経営という仕事そのものの問題があります。
経営者には上司がいません。
社員がいても、「今月は資金繰りがかなり厳しい」と簡単には言えない。顧客にも言えない。取引先にも全部は話せない。家族に相談しても、経営上の細かい事情までは分からない。同業者なら話が通じても、競合関係にある場合もあります。
だから、周りに人がいることと、経営について本当のことを話せる相手がいることは別です。
研究では、こうした仕事上の孤独を「職業的孤独」として定義されています。
フランスの中小企業オーナー経営者377人の研究でも、経営上の問題が職業的孤独を生み、その孤独がバーンアウト(=燃え尽きて仕事を続けられなくなる状態)へつながる経路が示されています。つまり、経営者の孤独は単なるイメージではなく、仕事の構造そのものから生まれる問題として研究されているわけです。
そして、さらに厄介なのが、
「経営者は孤独なもの」
「最後は自分で決めるしかない」
「人に頼っているようでは経営者ではない」
というよく言われる言葉です。
孤独になりやすい仕事であることは確かでも、だからと言って「孤独でやらなければならない」と言うわけではありません。なのにこの「ビジネスは孤独」と言う言説が「孤独なのは仕方がない」と言う思い込みを作っているわけです。
「最近、誰にも相談していない」
「仕事のことを話せる人がいない」
という本来なら危険な状態まで、
「ビジネスなんてこんなもんだ」
と正当化してしまいます。
特にビジネスがうまくいかなくなった時ほど、これが起きます。
いろいろ学んだ。
人にも相談した。
でも結果が出なかった。
すると、
「どうせ何を学んでも同じ」
「専門家なんて役に立たない」
「もう自分でやる」
となる。
その結果、ただでさえ孤独になりやすい仕事なのに、自分からさらに孤独な環境を作ってしまうわけです。
■そして、一人になると「自滅」を止められなくなる
実際、以前、私のクライアントでもありました。
なかなか結果が出ず、「しばらくコンサルは休みます」と言って、一人でやることを選ぶ。その後、自分だけで経営判断を続けて、さらに経営状態を悪化させる。
それでも助けを求めず、最終的には体調不良になり、音信不通。
似たケースは、この20年間で何度か見たことがあります。
逆に、経営が悪化した段階で、
「ちょっとまずいです」
と相談が来れば、そこから立て直せるケースの方がほとんどです。
以前、ビジネスが悪くなる時、人は不安になり、物事の見方や判断基準が変わり、自分で間違った判断をして自滅していくという話を書きました。
自分が間違っている時ほど、自分ではその間違いに気づけない。だから必要なのは「絶対に間違えない判断力」ではなく、間違った時に気づいて修正できる仕組みだという話を書きました。
ところが、孤独になると、その仕組みまでなくなります。
経営が苦しい。
不安になる。
一人で考える。
そのうち判断がおかしくなる。
でも、その判断を誰にも話していない。
「それ、本当にやるの?」
と言ってくれる人もいない。
そして、さらにビジネスが悪化する。
つまり、孤独になることで問題を解決しているのではなく、自滅を止める仕組みまで自分で壊しているわけです。一人になっても何も解決しないどころか状況は悪化しやすい。
■孤独にならない「仕組み」を持つ
だから、ビジネスには孤独にならない仕組みが必要です。
これは、
「今のコンサルタントをずっと使い続けろ」
「今いるコミュニティを絶対に辞めるな」
という話ではありません。
今の学びが合わないなら、やめていい。
今の専門家で結果が出ないなら、別の人を探してもいい。
今いるコミュニティが自分に合わないなら、別の場所へ行けばいい。
人間関係だって変えていい。
問題なのは、
「もう誰にも相談しない」
「何も学ばない」
「どこにも所属しない」
「人と会わない」
と、全部の接点をなくして孤独になることです。
一発で成功に導いてくれる専門家に出会えなかったとしても、「相談できる相手」は常に必要だということです。
コミュニティに入ったからといって、必ず売上が上がるわけでもありません。でも、自分以外の考えに触れる場所、本音を話せる場所、調子が悪い時に人と接触できる場所には、それだけ価値があるということです。
友人と食事に行って仕事の愚痴を言うだけでも、価値があるということです。
専門家に定期的に相談するでもいい。
学びの場やコミュニティに所属しておくでもいい。
大事なのは、問題が起きた時に初めて人を探すのではなく、普段から人との接点が残る仕組みを持っておくことです。
なぜなら、人は一度会わなくなると、今度は会いづらくなるからです。
相談しなくなると、
「今さら相談しづらい」
「こんな状態になってから連絡するのは恥ずかしい」
となる。
孤独になってから元へ戻る方が難しい。
だからこそ、うまくいかない時ほど、全部を切らないことです。
■まとめ
ビジネスをしていれば、孤独になることはあります。
経営者には上司がいないし、最終的には自分で決めなければならない。弱みを見せにくい立場でもあります。
だから、起業は孤独になりやすい。
でも、
「だから孤独でやるしかない」
は違います。
孤独になりやすい仕事だからこそ、孤独にならない仕組みを持っておく。
それは、誰かに「正しい答え」を教えてもらうためではありません。
誰かに依存するためではありません。
自分一人では、自分がおかしくなった時に気づけないからです。
精神的に深刻な問題を引き起こすからです。
今の学びをやめてもいい。
人間関係を変えてもいい。
相談相手やコミュニティを変えてもいい。
ここ、ソウルワークを立ち去るのも自由です。
合わなければやめればいい。
でも、孤独になろうとするのは、やめた方がいい。
・うまくいかないところを人に見られたら恥ずかしい
・カッコ悪いところを見られたくない
・人に意見されたくない
・どうせ何を学んでも同じだ
色々思うことはあるでしょう。
でも、本当に、これだけは言っておくよ。
ビジネスがうまくいかない時ほど、一人にならないことです。
本当の意味で、自分を大切にしてください。
あなたを対等に扱う人たちと、適度な緊張感を持ちながら、少しでも接点を持ち続けてくださいね。


































