自分が当たり前だと思っている知識ほど、他人には価値がある

こんにちは。スギムーです。(@sugimu331)

日本思想×ビジネスの翻訳家/ビジネスコンサルタント歴20年/株式会社ウェブロック代表/SoulWork主宰/中小企業から上場企業、IT・音楽業界・店舗ビジネス・BtoBまで幅広く経験。200件以上のプロジェクトに参加。ビジネスの相談件数は数千件。ブログ年100万PV突破。金儲け主義に違和感のある起業家に向けて、三方よしの日本的起業家精神とスモールビジネスの原理原則を伝えるオンライン講座「月刊ソウルワーク」を運営(運営歴1年/累計販売数1000件突破)しています。

「情報発信をした方がいいと言われても、何を書けばいいか分からない」

こういう相談はよくあります。

ブログを始めても書くことがない。
SNS
を開いても投稿することがない。
メルマガを書こうとしても、何を伝えればいいのか分からない。

それで、

「自分には人に教えられるようなことなんてない」
「こんなことを書いても、誰でも知っているでしょう」
「もっとすごいノウハウがないと、発信する意味がない」

と考えてしまう。

でも、長く仕事をしてきた人がこう言っている場合、発信するものが本当にないわけではありません。

むしろ逆です。

経験を積みすぎたことで、自分が持っている知識の価値が見えなくなっているんですよ。

誰にでも発信できることはある。ということに気づいて欲しいです。

■経験を積むほど、自分の知識は見えなくなる

仕事を始めた頃を思い出してみてください。

最初は、一つ判断するだけでも時間がかかったはずです。

どの商品を選べばいいのか。
このお客さんには何を提案すればいいのか。
この失敗は何が原因なのか。
この状態で進めて大丈夫なのか。

先輩に聞いたり、調べたり、失敗したりしながら、少しずつ分かるようになっていく。

ところが、何年も同じ仕事をしていると、その判断が速くなります。

美容師なら、髪を見れば、どういう状態か分かる。
住宅の仕事をしていれば、図面を見た時点で気になる場所が見える。
コンサルティングをしていれば、話を聞きながら「集客より先に直す場所がある」と気づく。

これは経験の力です。

でも、経験には少し困ったところがあります。

できるようになると、できなかった頃の感覚を忘れるのです。

今では一瞬で分かる。
だから、

「こんなの普通でしょう」

と思ってしまう。

ここで、自分の知識を過小評価し始めます。

これは、経験が増えた人ほど起きます。

できなかった頃は、できるようになったこと自体が嬉しい。
分からなかった頃は、分かったこと自体に価値を感じる。

でも、それが毎日の仕事になると、いちいち感動しません。

美容師が毎回、

「今日も髪質を見分けられた!すごい!」

とは思わないですよね。

仕事ですから。

でも、その「仕事だから普通にやっている判断」は、お客さんにはできない。

ここに、自分では見えにくい価値があります。

■簡単になったのは、簡単なことだからではない

今、簡単にできるからといって、そのこと自体が簡単だったわけではありません。
あなたが何年もかけて簡単にしたのです。

例えば、美容師が髪を見て、

「この状態でこのカラーをすると傷みやすい」

と判断したとします。

本人にとっては、毎日やっている普通の判断です。

でも、その判断ができるようになるまでには、髪質を見て、薬剤を学び、失敗も見て、何人ものお客さんを担当してきた時間があります。

お客さんには、その時間がありません。

しかも、お客さんが欲しいのは、その何年分もの専門知識そのものではありません。
専門家と同じレベルまで勉強したいわけではない。

自分の状況で、何を選べばいいか分かればいいのです。

だから価値があるのは、知識を全部教えることではありません。

何年分もの経験から、今この人に必要な判断だけを抜き出して渡すことです。

だから写真を見て、

「これと同じ色にしたいです」

と言う。

ここで専門家が、

「今の髪の状態なら、その色を一度で出そうとすると負担が大きいですよ」

と一言伝える。

美容師にとっては当たり前でも、お客さんにとっては重要な情報です。

知らなければ、見た目だけで選びます。

知れば、

「色だけではなく、今の自分の髪の状態も見ないといけないんだ」

と選び方が変わる。

この時、価値があるのは珍しい知識ではありません。

経験から得た「見る場所」です。

■お客さんは、あなたと同じ経験をしていない

専門家が自分の知識を当たり前だと思ってしまう最大の理由は、相手も同じくらい知っているように感じてしまうことです。

でも、そんなわけはありません。

住宅会社の人は、何十、何百という家を見る。
お客さんは、一生に一度しか家を建てないことがほとんど。

家具職人は、木材や構造を見れば違いが分かる。
お客さんには、似たようなテーブルに見える。

事業を20年見てきたコンサルタントなら、話を聞いて数分で問題の場所に気づくことがある。
でも、本人はその事業しか見ていない。

この差があります。

だから、専門家が、

「そんなこと、わざわざ発信しても仕方ない」

と思っていることの中に、顧客が知りたいことが大量にあります。

例えば、何度も同じ質問をされることはないでしょうか。

「どっちを選べばいいですか?」
「これは何が違うんですか?」
「自分の場合はどうですか?」
「どのくらい長持ちしますか?」

毎回同じことを聞かれると、答える側は、

「またこの質問か」

くらいに感じます。

でも、何度も聞かれるということは、そこで分からなくなっている人が多いということです。

それだけ価値があります。

発信ネタを探す時、多くの人は「まだ誰も言っていないこと」を探します。

でも、発信の価値は新規性だけで決まりません。

お客さんが知りたいのに、まだ理解できていないこと。
そこに答えられるなら、十分に価値があります。

同じ質問を10人から受けているなら、11人目も同じところで迷います。

そのたびに一対一で説明するだけではなく、先に文章や動画で渡しておけばいい。

専門家には「何度も答えている話」でも、初めて読む人には初めての答えです。

■本当に価値があるのは「何を見れば分かるか」という判断

長く仕事をしている人の価値は、知識量だけではありません。

もっと価値があるのは、

「何を見れば分かるのか」

を知っていることです。

初心者は、目の前にある情報を同じ重さで見ます。

価格。
口コミ。
知名度。
見た目。
機能。
実績。

全部気になる。

でも経験者は、全部を同じようには見ません。

「そこは後でいい」
「まずここを見る」
「この条件なら、この数字はあまり意味がない」
「このケースでは、ここを確認しないと失敗する」

という優先順位を持っています。

この優先順位は、ネットで検索しただけでは簡単に身につきません。

何度も現場を見たから分かるのです。

経験というのは、知識を増やすだけではありません。

「これは重要」
「これは後でいい」
「ここを見ればだいたい分かる」

というように、膨大な情報を短い判断に圧縮できるということです。

だから経験者は判断が速い。

初心者が10個の情報を一つずつ確認している間に、経験者は2つか3つのポイントを見るだけで判断できる。

その圧縮された判断こそ、本人には説明しにくい「当たり前」になっています。

発信で価値があるのは、その当たり前をもう一度ほどいて、相手にも分かる形にすることです。

だから、発信する時に、

「私は何を知っているだろう?」

だけを考えると、ネタが出てこないことがあります。

代わりに、

「私は、どこを見て判断しているだろう?」

と考えてみてください。

お客さんと自分では、どこを見る場所が違うのか。
何を先に確認しているのか。
何を見た瞬間に「これは違う」と分かるのか。

そこに、経験の価値があります。

そして、この「見る場所」は、成功した経験だけから生まれるわけではありません。

むしろ、失敗したから分かることも多いです。

昔は価格だけで仕入れて失敗した。
広告を出せば売れると思ってお金を使った。
お客さんの要望を全部聞けば喜ばれると思って、逆に結果を悪くした。

失敗した時は、ただの失敗に見えます。

でも後から、

「見るべき場所はそこではなかった」

と分かる。

この気づきは、今同じ場所で迷っている人にとって、そのまま判断材料になります。

■発信することがないのではなく、価値が見えなくなっている

発信する内容を無理に外へ探しに行く必要はありません。

新しい理論を勉強してから書く必要もありません。
誰も知らない情報を見つける必要もありません。

むしろ、日々の仕事の中を見た方がいいです。

昔の自分が知らなかったこと。
お客さんが何度も間違えること。
毎回同じように質問されること。
失敗して初めて分かったこと。
今では一瞬で判断できるようになったこと。

ここに、すでに材料があります。

自分では、

「そんなことは基本です」

と思う内容でも、その基本を知らない人はいます。

そして基本を知らないことで、何年も遠回りすることもあります。

例えば、事業を始めたばかりの頃に、

「売上が足りないなら、とにかく集客を増やせばいい」

と思っていた人がいるとします。

何年もやって、商品が選ばれる状態になっていなければ、集客だけ増やしても売れないと分かった。

今では当たり前です。

でも、今まさに広告費を増やそうとしている人に対しては、その一言が大きい価値になる。

余計なお金を使う前に、見る場所が変わるからです。

知識の価値は、「世界で何人が知っているか」では決まりません。
その情報を知った人の判断が変われば、価値になります。
相手の人生すら変わります。

だから、自分の知識が発信する価値を持つか確認したいなら、

「これは珍しいか?」

ではなく、

「これを知らない人は、どんな間違った判断をするか?」

を考えると分かりやすいです。

知らないと無駄なお金を使う。
知らないと比較する場所を間違える。
知らないと、自分には合わない商品を選ぶ。

そこを防げるなら、十分に価値があります。

■まとめ

「自分には発信することがない」と感じるのは、本当に何も持っていないからではありません。
経験によって、知識が自分の中で普通になってしまったからです。

そして、昔の自分と同じ場所で困っている人にとって、その経験は価値になります。

発信内容を考える時は、

「今の自分が何を知っているか」

だけではなく、

「昔の自分は何を知らなかったか」

を見てください。

そこには、今まさに同じところで困っている人に渡せる答えがあります。

コンテンツとは、難しいノウハウを発信することではありません。

お客さんが知らないことを、分かる形にする。
その結果、商品を見る目や選び方が変わる。

あなたの経験は、人の人生も変えることがある。
ぜひ、自分の経験や知識の価値を小さく見積もらず、コンテンツマーケティングに取り組んでください。

 

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PROFILE

杉村崇 takashi sugimura

日本思想×ビジネスの翻訳家。ビジネスコンサルタント歴20年。株式会社ウェブロック代表。IT・音楽業界・店舗・中小企業・個人から上場企業まで経験。ブログ年間100万PV突破。金儲け主義に違和感のある起業家へ、“三方よし”の日本的起業家精神とスモールビジネスの学びを提供

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