金の卵を産むガチョウを殺すな。ビジネスを自滅させる社長の特徴

こんにちは。スギムーです。(@sugimuratakashi

ビジネスの本質とは投資と回収を継続的に行う行為です。自分のビジネスにおいて、何にお金を使えば利益が増えるのか?ということを知っている経営者はどんどん成功し、それを理解していなければ利益が出ても散財し、破綻の一途を辿ります。

せっかく利益を生む金の卵を産むガチョウであるビジネスを育てても、その利益を正しく使えなければ、自分の収入を下げるどころか、倒産の事態を招くわけです。そう、自らの手で。

金の卵とは利益や収入のこと。
ガチョウとはビジネスや利益を生んでくれる要素のこと。
投資とは、ガチョウのエサや世話のことです。

利益が出たら、どういう順番で何にお金を使うか?分かっていますか?
じゃないと、ガチョウを殺してしまいますよ。

■「金の卵を産むガチョウ」のあらすじ

あるところに一人の男がいました。
彼は貧しい環境で育ち、なんとか仕事をして暮らしていました。

その仕事で得たわずかなお金で一羽のガチョウを買いました。
そのガチョウは卵を産み、その卵を売って生活の足しにしていました。

ある日、男は「この餌をガチョウにあげると金の卵を産む」という話を聞きました。
男は、その餌を買ってきて、一生懸命、ガチョウを育てました。

するとガチョウは金の卵を産んだのです。

「これは普通の卵より高く売れるぞ!」と男は大喜びしました。

男は金の卵を売って、少し裕福になってきました。

そこで男は、ガチョウの餌よりも、ガチョウを増やすことよりも何よりも、自分に大きな家を買い、車を買い、自分の世話係りを雇い、貧しいものにお金を配り、村の人気者になりました。

「もっとガチョウから金の卵を手っ取り早く得られないだろうか?」

そう考えた男は、ガチョウの腹を切り裂き、卵を取り出そうとしました。

ガチョウは死に、男は収入も仕事も失い、残ったのは多額の借金と、雇った人から失った信頼だけでしたとさ。

■金の卵を産むガチョウを殺す人々

この寓話は「今持ってるもので満足しない人は今持ってるものも失う」という教訓なわけですが、ビジネスをやる人は、どうやらこの寓話と同じことをして、自らガチョウを殺してしまうことが多々あります。

それは以下の3パターンです。

(1)ガチョウ(ビジネス)に適切なエサを与えない

ガチョウはエサがなければ死んでしまいます。

ガチョウは適切な環境、適切なエサがあれば、しっかりと金の卵を産んでくれます。少なくとも、最低限の環境と、最低限の餌があれば、普通の卵は産んでくれます。

普通の卵とは、利益は出ないがとりあえず回すことができるビジネス。
金の卵とは、利益を生んでくれるビジネスです。

しかし、環境とエサが悪ければガチョウ(ビジネス)は死んでしまいます。

環境は外部環境と内部環境があります。
酸素が薄かったり、寒すぎたり暑すぎたり外敵がいればガチョウは死んでしまいますし、健康状態が悪ければ死んでしまいます。

ビジネスで言えば、

<外部環境>
市場性があるのかどうか?
競合に勝てる場所で戦っているのかどうか?

といったことでしょうし、

<内部環境>
売り上げと固定費と変動費の入出金のサイクルで赤字が出ないこと
仕事を回していくための適切な機能(組織)があること
適切な利益率など儲かる構図があるのか?

です。

エサとは売上です。顧客の数、顧客の単価、といったことです。

そうした環境とエサを用意せずに、自ら怠慢と自己中心的な考えにより、ガチョウ(ビジネス)を殺してしまうのです。

(2)金の卵を売ったお金を使ってしまう

金の卵を売ったお金を散財してガチョウを殺す人々がいます。

エサと環境があってガチョウが金の卵を産んだとします。本来はその金の卵を売ったお金でまたガチョウのエサを買い、環境を整え、貯えなければいけません。

しかし、その資金を散財してしまう。
まだ、たった1つの金の卵しかないのに、それを使ってしまう。

そうなると、エサもなく、環境も悪くなり、ガチョウは死んでしまいます。

ビジネスで言えば、出た利益を、売上を増やすために広告や営業コストに使わずに、自分の給与を上げ、良い事務所を借りたり、人員を増やして固定費を増やし、無用に商品の品質を上げて変動費を増やし、投資をしないということ。

出た利益を、自社が利益を出すために必要なものに使わなければいけません。
時にそれは、情報かもしれないし、ノウハウ、広告、営業マン、在庫、店舗、人員かもしれない。
何にお金を使えず利益が出るのかを知らずして、やみくもに人を増やす、やみくもに広告を出す、といったことは、結果的に、ガチョウを殺しているのです。

見栄と無知によって人はガチョウを殺します。

(3)ガチョウ(ビジネス)を殺してしまう

さらに、金の卵を「早く」取り出そうとする人々もいます。

手っ取り早く金の卵を大量に取ろうとして、ガチョウの腹を切り裂いてしまう。

ビジネスで言えば、手っ取り早く稼ごうとして、ビジネスの価値そのものを下げてしまうことです。
例えば、一気に大金を稼ごうとして詐欺まがいのビジネスをし、知恵のある人からの信頼を失うこと。

例えば、ブーム商品、ブーム商法に乗っかること。
例えば、儲け話、投資話に乗っかること。

例えば、利益も出ていない店を拡大しようとすること。
例えば、誰も得をしない権利や資格を販売すること。

そうした、欲と承認欲求によって人はガチョウを殺すわけです。

■金の卵を産むガチョウを殺さない4つの手順

では、どうしたら金の卵を産むガチョウを殺さずに済むか?
それには以下の4つの手順が必要です。

(1)知識に投資する

「怠慢」「自己中心的な考え」「見栄」「無知」「欲」といったものに支配されることで、人はせっかくの金の卵を産んでくれるガチョウを殺してしまいます。

まず、ガチョウに金の卵を産んでもらうために必要な、環境の用意、エサの獲得といった知識や心構えが必要です。

そういった知識や体験に投資をすることで、金の卵を産むガチョウを育てられるようにしていくことが先決です。ガチョウの飼育に長けた人に聞いてもいいでしょう。

(2)ビジネスに投資する

金の卵を産むようになったら、その金の卵を売ったお金を、ちゃんとガチョウに投資することです。

ガチョウのエサ、環境作り、その維持に投資をするのが先決です。

それにより、さらに多くの金の卵を産んでもらったり、ガチョウ自体を2羽、3羽と増やしていくことです。

ここに最初に投資をしなければ、たった一個の卵だけでは、本当の金の卵とは言えません。
徹底的に金の卵が安定して増える盤石な体制になるまで、ガチョウに投資をし続けることです。

(3)社長の報酬を増やす

そして、何個もの金の卵を産むようになってから、その金の卵の恩恵を受けてください。

ガチョウへの投資を継続しながら、余ったお金を、社長が先にとりましょう。
いくら事業資金に投資をしても、余ってしまい税金がたくさん来るようになってようやく、役員報酬を増やしてください。お腹いっぱいになるまで。

月収を中途半端に上げるくらいなら生活費ギリギリで問題ないはずです。
めちゃくちゃ利益が出るようになったらめちゃくちゃとって構いません。
そして、満足するほどの環境を現金一括で買ってください。

しかし散財しましょうということではありません。社長の報酬を極端に増やすのは、ガチョウがピンチの時に自分のお金で助けるためであり、新たなガチョウを買うためというのが主な目的です。そうすれば、ガチョウの寿命がきても安心な状況を作れます。

(4)社員の報酬を増やす

社長が十分に満足したら、ガチョウの運用をしている人たちへ還元してください。

ガチョウが育つ前にこの人たちに報酬をあげすぎては、ガチョウ自体が死んでしまうから、ガチョウが育って、社長が満足してからにしてください。決して、見栄をはって最初にたくさんあげたりしてはいけません。それはガチョウの内部環境を悪くし、エサが少なくなりガチョウが死ぬことになり、全員を最終的に裏切る行為になります。決して、社員や関係者をないがしろにしているわけではなく、物事には正しい順序や役割があるということです。

■金の卵を産むガチョウのまとめ

経営をせず、投資の順番も考慮せず、現場にい続ける社長はガチョウを殺す可能性が非常に高いですが、これさえ知っていれば、自らガチョウを殺すというリスクはかなり軽減されます。

ただし、外部環境は自分の意思とは関係なく動いていますから、市場の変化や競合の変化にはよってガチョウを殺されるリスクは拭えません。

そのためにも知識への投資は常に習慣づける必要があります。

そして学び、ガチョウが育ち、自ら環境を作れる人になった時に気づくはずです。

最初は金の卵欲しさに始めたことも、いつの間にかガチョウを育てること自体が楽しくなっている自分にね。