マーケティング

ニーズとウォンツの違い|潜在ニーズから売れる商品を生み出す方法と事例

こんにちは。スギムーです。(@sugimuratakashi

ある「枕」を販売している会社は、自社の顧客は「枕が欲しいのだ」と考えていました。そして良い枕を作りました。素材、機能、価格、あらゆる面を見直しました。しかし、全く売れる気配がありません。

ある時、顧客がなぜうちの枕を買うのかを調べたところ、「よく眠りたいから、いろんな枕を試している」ということが分かりました。

その時、顧客の本当のニーズを理解したのです。
顧客は枕を買いたいのではなく、安眠したいのだということに。

それから作る商品は全く異なるコンセプトになり大ヒットとなりました。

さて、ビジネスとは、顧客のニーズ(困り事)を把握し、顧客のウォンツ(欲しい)を高めることだと言われますが、そもそもニーズとウォンツの違いを理解することが難しい、というのが本当のところです。

ニーズとは漠然とした必要性であり、ウォンツとは明確な解決策への欲求のことです。

顧客は「枕が欲しいです」と言うでしょう。しかしそれは、「安眠したいと言うニーズがある結果、枕を買い換えるべきだ」と自分で解決策を考えたから、新しい枕が欲しいと言っているのです。

ニーズは安眠であり、その結果、「新しい枕が欲しい」と言うウォンツが生まれました。

ビジネスを始めた段階で、自分のビジネスの顧客ニーズを正確に把握している人は限りなく顧客が欲しい商品を持つことができ、そうでない人は、ずっと「狙って売る」ということができません。そしていつまでたっても「売り方」や「集客」に悩みます。本質はそこではなく、顧客が欲しい商品を持つことです。

そうは言われても、ニーズとウォンツの違い、まだよく分かりませんよね?

今回はマーケティングの基本であるニーズとウォンツについて。


■よくあるニーズとウォンツの勘違い

「あなたのお客さんのニーズはなんですか?」と聞くと

例えば八百屋さんなら、「新鮮な野菜が買いたいからうちにくるんだ」と言うでしょう。
天然素材の住宅がウリの建築屋さんは「天然の健康住宅が欲しいからうちで建てるんだ」と言うかもしれません。

しかしこれらはウォンツであって、ニーズではありません。

  • なぜ、野菜が欲しいのか?
  • なぜ、住宅を買いたいのか?

という顧客の必要性が分からないからです。

  • 誰が野菜を買っているのか?
  • 何に困っているのか?
  • なぜ野菜を買うことが必要になったのか?
  • 何に野菜を使うのか?
  • いつ野菜を手に入れる必要があるのか?

と言ったことが分からなければ、闇雲に「いい野菜」を提供するしかなくなります。

結果、「夕食の支度のために野菜を買っている」と言うニーズを理解し、夕食の食材全般を扱うスーパーマーケットという業態を生み出した企業に、市場を奪われることになるのです。

「野菜」の部分を自分の商品に置き換えて考えてくださいね。

「ウォンツが分かっているのだから別にいいのでは?」という人がいますが、それは間違えです。
なぜ必要なのか?というニーズが不明なら、解決策である商品をその課題に対して正しく作ることができません。結果、お客にとって欲しい商品ではなくなります。

ニーズを把握するということは、正しい価値を用意し、顧客にとって欲しい商品を持つために必要なことなのです。

■マーケティングの基本「ニーズ・ウォンツ・シーズ」の違いとは?

・ニーズとは顧客が解決したい困りごと

ニーズというのは、何か変化が起きるから困りごとが発生し、必要性が生まれた状態です。

例えば、本棚を作るのに板に穴を開けたい
髪が伸びたからいい感じに切りたい
冬になったから何か洋服が欲しい
PCが重くなったから解決したい
起業するから足りないものをなんとかしたい

漠然とざっくりとした困りごとが発生し、それを認識したらそれが顧客のニーズです。

既存の市場は、顧客が多くの情報を持っているので、ニーズが細分化していく傾向があります。

例えばドライヤーを買う人が、「髪が乾く」という機能だけを買うという時代は終わっていますよね。今までの購入経験(失敗)から、もっと商品に詳しくなり、「静かな音で」とか「渇きが早い」とか「髪が痛まずに」とか、詳細なニーズが発生します。

・ウォンツとは具体的に欲しい解決策

そして、その困りごとに対して具体的な解決策を知り、「欲しい」となったらそれがウォンツ状態です。

「板に穴を開けるにはドリルが必要だ。ドリルを買いに行こう。」
となって、ようやくウォンツが理解され、商品の購入に至ります。

ウォンツは顧客が情報として「ドリルで穴を開けられる。それは自分でも使いこなせるもので、お店で買えるもので、自分が買える価格だ」ということを知らなければ、「ドリルが欲しい」というウォンツには至りません。

ドリルで解決できることを知らない相手には「これで解決できますよ」と教え、その情報を信用してもらうことで、はじめてウォンツが高まります。

ニーズがあり、ウォンツが高まらなければ購買行動は起きません。

・シーズとはウォンツを生む「種」

ニーズに対してシーズというのがありますが、シーズとは提供者側の持つ製品化のためのノウハウや技術のことです。それそのままでは商品にはできませんが、顧客ニーズに対して利用することで、全く新しい価値を提供できる可能性のある「種」です。

例えば、スマートフォンで言えば、スマホが出る前は顧客は「スマホが欲しい」なんて誰も想像がつきませんでしたから、ニーズではなく、シーズ志向で生まれた商品と言えます。企業側が持っている技術を使って、顧客が言葉にできなかったニーズを掘り起こしてきたと言えます。

■ウォンツと需要は違う

「この商品が欲しい」というウォンツがあれば、それは「需要がある」と考えられるかと言えば違います。

例えば、多くの人は高級車が欲しいとは思っていても、購入するまでに至りません。
欲しいと思っていることが需要なのではなく、「買いたい人が、買いたい価格で買える状態」でなければ需要にはならないのです。

■潜在ニーズから商品を開発した例

では、ニーズを発見できると、どのように売れる商品に結びつくのでしょうか?

・事例:1/4のレタス

例えば、スーパーで1/4のサイズにカットされた野菜があります。あれは独身のかたで自炊する人や、家族の少ない人向けに提供されているものですが、売り手は「顧客は食材を買いに来ている」という曖昧なニーズではなく、「独身者や少ない家族構成の方が、野菜を余らせて困っている」ということに気づいたから生まれた商品です。

注意したいのは、顧客は自分のニーズを知りません。顧客に聞いても「野菜が小さくカットして売られていれば買うのに」とは言いません。こちらからニーズを発見する必要があるのです。

・事例:モバイルPC

例えば、パナソニックのレッツノートは、個人向けのモバイルパソコンが中心の中、「法人向けのモバイルPC」を作り大ヒットしました。利用するのは、個人だけでなく法人(仕事で使う)もいること、法人向けPCは室内だけでなく屋外でも利用すること。企業で外出時にカバンに入るサイズの高性能であり軽量なモバイルPCは他にありませんでした。

これは顧客はモバイルパソコンを買っているわけではなく、仕事先に持っていける手軽なパソコンが欲しかったというニーズを理解したことで生まれているわけです。

・事例:コピー機のリース

今では企業の大型のOA機器はリースが常識になっていますが、当初は「コピー機が欲しいはずだ」と考え、数百万円もするコピー機を売っていました。当然、なかなか売れません。そこでニーズを考えると顧客は「書類を複製する行為」が必要なわけで、「コピー機が欲しい」わけではないことに気づきました。それにより購入ネックになっていた価格を、リースにより大幅に削減したことでコピー機が普及するようになったのです。

顧客は商品を買っていません。解決策を買っているのです。

■顧客ニーズを分析して把握する方法

さて、ニーズという抽象的なものが、一体どういうものなのか何となく理解できて来たでしょうか?
では、自分の顧客のニーズを実際に分析し、把握するにはどうすればいいか?です。

市場調査や顧客アンケートについては今までの記事で書いているので、ここでは、そうしたやり方を試しても「本当のニーズ」がわからない時に行う方法をお伝えしましょう。

ズバリ、掘り下げです。

顧客に、「なぜ、これを買ったのですか?」
と聞いても、

「なぜって、欲しかったからだよ」

では、全く理解できませんよね。

なので、これ以上掘り下がらないところまで掘り下げましょう。

「なぜ枕が必要なのですか?」

「新しい枕が欲しかったから」

「なぜ新しい枕が必要なのですか?」

「古い枕がイマイチだから」

「何が良くないのですか?」

「寝心地かな?」

「寝心地が悪かったから新しい枕を買ったんですね?」

と、なぜ?なぜ?なぜ?
と、掘り下げることが基本です。

枕が欲しいのではなく、「寝心地を改善したかった」というニーズが理解できます。
その回答が多くを占めていれば、そのニーズをもとに商品の改良が考えられるはずです。

常に「この商品は一体、顧客の何を解決しているのだろうか?」を考えるようにしましょう。

■ニーズを把握し、ウォンツを高めるには?

顧客ニーズ(問題)がわかったから「ああよかった」では意味がありません。

そのニーズと解決策(商品)を一致させることが大事です。
そして、その課題を解決するための情報提供と、その情報を信じてもらうための情報(顧客の実績や感想、証拠となる情報)を提供しましょう。

「商品を売る」のではなく、「顧客の課題を知り、その解決策を提供する」ということがビジネスです。

あなたは自分の商品が、顧客がどんな時に必要になるのか?
何を解決したくて買っているのか?
理解していますか?

いまだに「ドリル」を売っている人には是非これを。

 

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