マーケティング

営業が辛い・辞めたい・向いてない|理由は人間関係と誇張で売る風潮

こんにちは。スギムーです。(@sugimuratakashi

  • 「営業(接客)は、するのもされるのも苦手」
  • 「営業は辛い。辞めたい」
  • 「営業には自分は向いてない」

こんな風に考える人はとても多いです。

  • 会社で営業職(接客業)に就いているけど精神的に仕事がしんどい
  • 起業して自分の商品を営業しなきゃいけないけどやりたくない
  • 営業は会社に寄生する迷惑な害虫だ!
  • 売りつけられるのが怖いからセールスはお断り!

といった具合に、営業する人、起業した人、会社を経営する立場、消費者の立場、といった、様々な立場の人が「営業は嫌い」と考えていたりしますよね。

しかし、企業は商品を販売して売り上げを立てているわけですし、購入者は商品を買って問題を解決したり、楽しんだりしたいわけですから、商品を販売するという行為が世の中からなくなっては困るし、なくならないのです。

営業が「辛い」「向いてない」「辞めたい」と感じるのは、「営業・セールス・接客」といった言葉の勘違いにあるんですよ。


■営業が辛い・やめたい・向いていない3つの理由

営業という行為が、なぜ辛いのか?といえば、日本経済がそもそも成長経済から成熟経済になり、モノやサービスが売れにくい時代になっているからですよね?

今や大体のものはほとんどの消費者が持っているし、ネットを使えば情報源も潤沢です。昔はメーカーや販売者しか商品の使い方・買い方などの情報を持っていなかったわけで、それが今では消費者は商品の質の良さや使い方を知っている時代です。何か欲しければネットで情報を探して自分で購入しているわけです。

だから営業という行為自体が購入者が求めなくなりつつある、というのは常識なわけですが、中でも以下の3つに問題は集約されます。

(1)人間関係で売ろうとするから

営業マンは「自分を売ってこい!」などと上司に葉っぱをかけられて、自分のキャラクターによって仕事を取ろうとする傾向にあります。

実際、様々な「営業テクニック」の本で、それが真実かのように語られていることでしょう。

  • 身だしなみやマナーを気をつける
  • 挨拶のメールを欠かさない
  • 相手の情報を覚えてこまめに連絡する
  • 定期的に顔を出して仲良くなる

と言った「機転の効く人間」を演じなければなりません。そして、相手に気に入られたところで、商談に持ち込む、ということ。法人営業や高額な商材の営業では当たり前のことのようになっていますね。

他にも、自営業者などに多いのが

  • 知人の紹介で仕事を回し合う
  • 何かのコミュニティに入って仕事をもらう
  • ランチ会や交流会で仲良くなってから販売する
  • SNSでいいね!やコメントなどで交流して仲良くなる
  • 第三者が介入できない情報が遮断された場所でセールスする

と言った、こうした手法は要するに「知り合いだからその人から買わなければいけない」という雰囲気を作って、販売するという事なのです。

もちろん、人間としてマナーは大事です。
でも、相手が商品を買う理由はなんでしょうか?
問題を解決したいからじゃないでしょうか?
であれば、気の利く営業マンではなく、商品が欲しいはずです。

なのに、なぜ人間関係を構築しなければいけないのでしょうか?という話なのです。

こうした人間関係を作って販売するというのは、知り合いになったから買っているわけであって、商品の魅力を感じていない相手にも売るという事に繋がりますし、毎回、顧客を獲得するたびに、人間関係を作り続けなければなりません。

営業が辛いのは、この人間関係の構築が1つ挙げられます。

こうした売り方を企業側が推進していれば、

  • コミュニケーション力が高くなければしんどい
  • 売っているものに自信がなければ罪悪感が生まれる
  • 行動量が多く、疲弊する

だから、辛いのです。

(2)誇張によって売ろうとするから

次に、営業が辛い理由は、「誇張」によって売ることが正しいという風潮があるからです。企業がそれを推進している場合も多々あります。

  • 広告表現、セールストークの誇張
  • 効果以上のイメージの構築
  • 都合のいい第三者の声を集めた情報提供
  • 捏造されたレビュー
  • メディア露出によるイメージ形成
  • 芸能人の起用
  • 出版ブランディング
  • SNSのフォロワー数だけを集める
  • 人気があるかのように見せる

要するに、商品価値を売るのではなく、付随すべきイメージを誇張して、

  • 凄そうな会社が売ってるから安心
  • 凄そうな人が言ってるから正しい
  • みんながいいと言ってるから買う

という風潮を作ることで売るということです。

行動心理学を用いたDRM(ダイレクトレスポンスマーケティング)とブランディングというのは、使い方を間違えれば、人を騙す行為につながります。

このような売り方をしていれば

  • 情報弱者を騙すこと
  • 欲しい人ではない人に売ってしまうミスマッチの発生
  • 購入後のサイレントクレームの発生
  • ファンは多いけどお金を払ってくれない人ばかり集まる
  • フリーライダー(タダ乗り)が中心に集まる

などが起きますから、営業・セールス・接客をしている人は結果、

  • 売るのが心苦しい
  • 信用を失いリピートが生まれない
  • 会社や商品が誹謗中傷にさらされる
  • 認知があるのに儲からない

という事につながるため、営業するのがしんどくなります。

(3)売れないのを売ろうとするから

そもそも営業には売上目標があるので、その数字が達成できない、しなければいけない、というプレッシャーが最も大きいわけですよね。

なぜ目標が達成するのが大変なのかといえば、「商品が売れない」からです。

そもそもビジネスはお客が「買う」事で成り立ちます。
企業が「売る」事で成り立つわけではないのです。

お客さんが、「買いたいもの」を「買える価格」で売っているから「買う」という行為が発生するにもかかわらず、売り手は「どうやったら売れるか?」と考え、「売ろう」とします。

売ろうとした結果、「人間関係や誇張」で売る事になります。

つまり、そもそもの原因はお客さんが解決したいニーズに対して、買いたい商品価値を扱っていないからなのです。

買いたい商品がないので、大量に営業をかけ、若干の誇張もやぶさかではない、と言った営業力中心の活動になってしまう。

■営業職が楽しい人の特徴

ということは「従来型の営業が楽しい」という人は

  • 人間関係を作るための気遣いが得意
  • 目立つ事に抵抗がない
  • 売っているものに自信がある

という特異な状態に他なりません。

人間関係を作って売る、誇張して売る、顧客が買いたくないものを売る、という営業を楽しめるはずがなく、楽しめる必要がありません。

心から営業を楽しめる人というのは、以下の状況であるときだけでしょう。

お客さんが買いたい商品を扱っている

そうした企業や、自分のビジネスであれば、楽しんで営業ができます。

・人間関係の構築も不要
・ド派手なセールスレターも不要
・心理誘導も不要
・拡散力や過度な認知度も不要
・大きく見せることも不要
・ターゲットも明確でミスマッチも防げる
・顧客を断る権利がある
・過不足なく情報を伝えるだけで売れていく

という状況であれば、苦労なく営業活動ができますし、勝手に売れて行きます。

こういう状況だけが、営業が心から楽しいと言えるのです。

本当に優秀な商品力を持っている伸びている企業、大手企業をみれば明白です。
黙っていても、過不足ない情報提供のみで売れています。

■営業が向いていないのは性格の問題ではない

営業が向いていないと考える人は、

「営業とは、外交的で、社交性がある性格で、気遣いできるコミュニケーションスキルが必須である」

それができない自分は営業に向いていないんではないか?

と考えがちですが、そうではないということ。

企業の商品力、あるいは商品を販売すべきターゲット設定にまず問題があるわけです。

さらにいえば、営業がそのような「人の性格」や「人のスキル」に依存している時点で、ビジネスの機能を属人化しており、個人差を生み、それは組織として成長を止める原因な訳です。

だから、

■営業は辞めていい

ということ。

勘違いないように言いますが、営業職をやめましょう、とは言ってません。
営業という機能をなくしましょう、とも言ってません。

「人が売ること」をやめること。

人間関係作りによる営業をやめていい。
価値を伝えるためのブランディングではなく、誇張を生むブランディングもやめていい。
売ろうとする必要がない。

なぜか?

顧客は商品を買っているのです。
課題解決のための解決策を買っているのです。

にもかかわらず、「顧客」と「商品」の間に『人(営業マン)』を挟むということ自体が、顧客の買いにくさを生み、コストをあげる行為でしかないということ。

なぜ人を挟んで、人間関係を作ったり誇張しなければいけないのか?といえば、買いたい商品を扱っていないから、ということ。

例えば、保険の営業で言えば、国内の保険会社が外資系の保険会社に市場を持っていかれたのは、CMで認知させ、通販で売る営業にしたことでコストが下がり価格が下がったからなわけです。買いやすくなり、売りつけられる心配もなく、安心して注文ができる上に、人がいない分、安いのです。アフラックなどは日本の会社が嫌な営業をしている間に、そうやって顧客中心で考えられた営業方法でマーケットシェアを奪って行きました。

自動販売機、セルフレジなど、人の介入を最小限にすることこそが、顧客のためになることであり、自社のためでもあるわけです。

ロボット人工知能の登場により、それこそ営業によって売りつける時代は完全に終焉を迎えるでしょう。営業マンが一生懸命に売り込んで、同情と人間関係で売りつけないと売れない商品を扱っている時点で、その企業は消えて行きます。

■営業の本当の意味

なぜこのような顧客のためにならない、人の介在が常識化したのかと言えば、営業、そして組織という言葉の認識の問題です。

日本の中小企業の組織論は

「企業とは人である」

とすることが多いです。

人によって組織は成り立っている。
企業は人なのだ。
人の温かみを感じる仕事が大事なのだ。
だから、我が社は人を大事にする。

と言った、さも素晴らしい志に聞こえるストーリーです。
しかし、これは社内のことしか考えられていないんです。

企業とは、組織とは、顧客が商品を買うために存在するのです。

「企業とは顧客が商品を購入するための作業をする存在である」

が正しい認識なはずです。

何も、営業・販売は、機械がやろうと、システムがやろうと、アルバイトがやろうと、問題ないわけです。

大事なのは、顧客がストレスなく商品を購入できることですからね。

じゃあ、どうすればいいのか?

何も、機械を導入しよう、などとは言ってません。

■辛い営業をなくす方法

辛い営業をなくす方法は、次の3つ全てを実行することです。

(1)商品力・コンテンツ力を高める

まずは、商品・サービス力、あるいはコンテンツ力を高めるということです。

手持ちの商品を「どう売るか?」ではなく、
顧客は何に困り、何を欲しがっているのか?
そのニーズに対して、自社の強みを最高に発揮する商品サービス、コンテンツを用意することが先決です。

顧客が買いたい商品を持つということです。

あなたがもし、新しく商品開発をしたり、ということができない立場であれば、自分がやっている今すでに売れている商品を買っている顧客の、購買動機やどんな人が買っているのかを調べてください。

すると、まともな商品であれば顧客ニーズの共通点が現れてきます。

その顧客ニーズをついた切り口で、いまの商品を新しい見せ方にして販売するようにしましょう。

(2)広告・ツールで成約ベースにする

次に、営業マンがいちいち売りつけなければならないような営業手段ではなく、広告ツールで売れる仕組みを作るということです。

広告をしたら、反応が来るという広告や発信をすること。
買いたい価値を持っているのであれば、それを適切な相手に・適切なメッセージで・適切なメディアを使うことで、過不足なく伝えることができます。

1の段階でできたコンセプトを、誇張する必要もなく、適切に情報提供をすればいいのです。

  • 店の看板だけで来店が起きるようにする
  • 自己紹介だけで買いたい人が現れる
  • プロモーションにより顧客から問い合わせが来る流れを作る
  • チラシから申し込みが来るようにする
  • 検索しているキーワード経由でサイトを上位表示して問い合わせに繋げる

と言ったことです。

(3)オペレーションのツール化・マニュアル化

そして最後に、販売のオペレーションを簡素化することです。

対面の接客がある場合はマニュアル化し、いつでも、どのスタッフがやっても同じような結果になるようにしておくこと。
担当者のキャラクターや、属人化するようなスキルや魅力で売らないことです。

■まとめ

「どうやったら売れるか?」
「営業が苦手です」

という悩みが意味がないことがご理解いただけたと思います。

売るのではなく、買われる商品を持つこと。
そうした価値があれば情報提供を過不足なくすることで、無理な営業はする必要もなくなるということです。

どうやって売るか?という売りつけの研究ではなく、どうやって欲しいものを作るか?仕入れるか?に焦点を合わせましょう。

あなたが営業マンで、そこに目がいかない組織にいるのであれば、どうやってもその組織に先はないので、転職など考えるべきということですね。今回の内容は、組織を判断する基準にしてください。

 

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