戦略・ビジネスモデル

昼間人口・夜間人口|都会のノウハウが地方ビジネスの開業で通用しない理由

こんにちは。スギムーです。(@sugimuratakashi

  • 地方ビジネスは厳しい
  • 地方では高品質なものを販売するのは難しい
  • 地方では都内などの成功モデルを取り入れるのは難しい

と言った「地域性の問題でビジネスがうまくいかないのではないか?」と言う相談がたまにあります。

要するに、「地方だからうまくいかない」って話ですね。(僕も地方在住ですけど)

世の中のビジネス情報は画一的に、「正しいマーケティングとビジネスモデルさえ手に入れれば、成功する」と言った風潮がありますが、実際、リアルビジネスの場合は、地域によって最初からターゲットやビジネスモデルは制限されているので、その大前提をすっ飛ばして、やれマーケティングだビジネスモデルだと取り組んでも、全く効果がないケースがあります。

「やっぱり、地方ではビジネスは難しいってことなんだ?」

というのは勘違いです。

そうではなく、昼間人口と夜間人口と言った商業人口によって、地域ごとに「いつ誰がいるのか?」「買われているものは何か?」「どういう業態がどこに必要とされているか?」が決まっているということです。

それらを無視して、開業した場合に問題が生じるわけです。

確かに、地方は市場も小さく、若者は少ない傾向にあるでしょう。しかしそれは特性であり、不利な条件とするかどうかは自分の取り組みによるものなはずです。

ビジネスがうまくいかない理由は「地域性」のせいではなく、「地域特性によるニーズ」を把握してからビジネスアイデアを作らなかったことにあるわけで、地域に住んでいる人のせいや、文化のせいにしていては他責であり、解決策は見出せません。

まず、ビジネスをスタートしたエリアの、昼間人口・夜間人口によってどう言った買い物人口がいるのか?調べることから始まります。


■昼間人口・夜間人口とは?

ーー
昼間人口(ちゅうかんじんこう)は、常住人口に他の地域から通勤してくる人口(流入人口)を足し、さらに他の地域へ通勤する人口(流出人口)を引いたものである。昼間人口に対して常住人口のことを夜間人口という。
wiki
ーー

ということで、要するに、昼間にその地域にいる人のことを昼間人口と言います。
その地域に働きに来ている人や、通学にきている人、観光に来ている人など、他の地域からの流入が多ければ、昼間人口は夜間に比べて多くなります。

逆に、その地域から他の地域に働きに行ったり、通学したり、という人たちが多ければ、昼間人口は夜間に比べて少なくなります。

ざっくり言えば、昼間人口が多い地域はオフィスや、学校や、観光地が多いということ。

夜間人口が多い地域は、住宅街ということ。

で、それらの特性によって、その地域によって向くビジネスはある程度決まっているわけです。

■昼間人口が多い地域の傾向とビジネスの例

昼間人口が多い場合は、都市に多く見られます。
例えば、以下のような特性の「いずれか」が該当するケースが多いでしょう。

<昼間人口の多い地域の特性の例>

・オフィスが多い
・学校が多い
・観光地がある
・大きな商業施設がある
・電車移動が多い

<昼間人口が多い地域の主なターゲット>

要するに

・仕事をしに来る人が多い
・通学しに来る人が多い
・観光しに来る人が多い
・買い物しに来る人が多い
・歩いている人が多い

ということです。

<昼間人口が多い地域の主なビジネス>

そうなると、自ずと向いているビジネスとターゲットは決まって来ますよね?

・仕事をしに来た人向けの消費需要
(例:昼の外食、夜の外食、小売)
・学生向けの消費需要
・観光客向けの消費需要
(例:宿泊、小売、昼の外食、夜の外食)
・商業施設での需要

<昼間人口が多い地域の主な出店場所>

こうなれば、利便性の高い適当な出店すべき立地は以下のようになります。

・オフィス街周辺
・駅前、駅ナカ、駅周辺
・観光地周辺
・商業施設

逆に、昼間人口が多い地域で、路面店や、住宅地への出店をした場合は、昼間人口で流入(他から来た)して来た人たち向けではなく、常住者向けのビジネスをしないといけないということです。

つまり、昼間人口で増えた人たちに向いた場所に出店していない場合は、地元に住んでいる人向けのビジネスでなければならないということですね。昼間人口が多い地域は、常住者もいるわけですからね。

■夜間人口が多い地域の傾向とビジネスの例

夜間人口が多い場合は、その街から他の地域へ、仕事をしに行く人、通学しに行く人が多いということです。
つまり、その地域に常に住んでいる人(常住者)がビジネスのターゲットになります。(夜間人口が多くても、流入がゼロなわけではないので例外は当然あります)

※もちろん先ほど言ったように、昼間人口が多い地域にも常住者はいますので、昼間人口の多い都市でも常住者向けのビジネスを展開することも当然、可能です。

<夜間人口の多い地域の特性の例>

夜間人口が多い地域の特性は以下のようなものです。

・住宅地が多い
・自営業者が多い
・車移動が多い

<夜間人口が多い地域の主なターゲット>

ということは、以下のような人が多くなりますよね?

・夕方〜夜に帰って来る人が多い
・主婦が多い
・家族世帯が多い
・アクティブシニア、高齢者が多い

比較的、昼間人口が多い都市は、一概には言えませんが単身者が多い傾向にあります。

<夜間人口が多い地域の主なビジネス>

そうなると、自ずと向いているビジネスとターゲットは決まって来ます。

・スーパーなど日用品の消費需要
・日常的な外食(ファミレスなど)
・日常的に使うもの全般の需要

<夜間人口が多い地域の主な出店場所>

こうなれば、利便性の高い適当な出店すべき立地は以下のようになります。

・商業施設
・路面店
・住宅地
※要駐車スペース

もちろん、地域によって、駅や観光地、大型の商業施設などが混在する地域がほとんどなので、これらのようにきっちりと区分けはできず、これらはあくまで例にすぎません。

ただし、

■夜間人口が多い地域で昼間人口向けのビジネスは向かない

ということは言えます。

例えば、極端な話、
住宅地に宿泊施設を開業しても誰も来ませんよね?
夜間人口が多い地域で、駅前でランチの需要を狙っても回転率が悪すぎます。
車移動が多い地域で駐車場が狭いホームセンターもないでしょう。

昼間人口・夜間人口と言った基本的な地域特性を理解していないと、そのようなズレを起こしがちなのです。

■昼間人口・夜間人口の計算式

ちなみに、昼間人口・夜間人口の計算式は以下のようになります。

常住人口+流入人口-流出人口=昼間人口
常住人口=夜間人口

ただ、数字で考えてもあまり意味がありません。

増えた人口が学生なのか、サラリーマンなのか、OLなのかによって需要は全く異なりますし、常住者も、どう言った人なのかによって、必要なビジネスは異なるからです。

特に、「昼間人口も夜間人口も変わらない地域」というのは珍しくありません。

要するに、昼間は外に働きに出ている人が多いけれど、大型の商業施設があってそこへの流入があるからプラマイゼロ。みたいな例ですね。

なので、数字だけを見ていても内訳が分かりません。

大事なのは、その地域を歩いたり、話を聞いたりして、実際にどういうライフスタイルの人がいるのか?どういう場所があるのか?人の出入りはどう起こっているのか?自分のビジネスへの適性がある地域なのか?といったことを、数字だけでなく、肌で感じることです。

■昼間人口・夜間人口の調べ方

昼間人口・夜間人口の調べ方ですが、簡単な概要であればその地域のホームページで人口に関する統計データが発表されているはずです。「〇〇市 昼間人口」などで検索すれば出て来るはずです。

↓この辺も当然、関係があります。

■全国チェーンはなぜ全国展開が可能なのか?

さて、ここまで話して来て、ふと疑問が湧いた人もいるでしょう。

そうです。大手の全国チェーンです。
なぜ彼らは都市にも地方にも存在しているのでしょう?
なぜ、昼間人口が多い地域でも、夜間人口が主流の地域にも出店できるのでしょう?
なぜ成り立つのでしょう?

本当に「地方が厳しい」ならば、地方になぜ全国チェーンは存在できるのか?
有名企業だからでしょうか?
本当ですか?
都内にしかなかった店舗が、急に自分の街に現れて、みんなもともと知ってました?
知らないブランドもありましたよね?
なのに、なぜ、どの地域に出しても人気店になるのでしょうか?

そこが影響力のある企業になるか、そうじゃないかの違いですよね?

「大手だから」という理由は関係ないですよね。
最初はどの会社も一店舗からスタートしているわけで。

つまり、彼らはニーズを満たしているのです。
その地域に合わせた出店形態を取っているのです。
顧客に迎合するわけではなく、自社のブランド価値を最大限に発揮できるように、地の利(立地の優位性)を変幻自在に生かしているのです。

例えば、単独ブランドでは日本1位の飲食チェーンであるマクドナルドでいえば、都市には駅前への出店であったり、商業地域にはショッピングモール内に出店し、郊外にはドライブスルー店を出していますよね?しかし、売っているものは、一貫してハンバーガーを貫いているわけで(笑)

もちろん格安チェーンだけじゃありません。
例えば同じハンバーガーでいえば、専門店の価格帯でやっている「クアアイナ」も全国、あるいは世界展開をしています。価格はハンバーガーで1000円くらいです。ファストフードとしては結構高いです。
そのため、出店場所は、観光的な要素のある商業施設に絞られています。観光や、『お出かけスタイルのお買い物』であればその価格でも問題なく食事しますしね。

つまり、出店地域と、自社の業態・取扱商品・価格帯、その全てが理にかなっているのですよ。

■まとめ

「地方だからうまくいかない」という声は本当に多く聞くようになりました。

でも、都市よりも地方の方が競合が少なく、満たされていないニーズは多くあるはずです。さらに、都市部よりも家賃や人件費など、コスト面でも有利です。

逆に競合が多ければ、人口は多いですが、サービス競争、価格競争も起きやすく、コストも高いわけです。

一長一短なわけで、何が良いかどうかは、自社の目的によってのみ決まりますよね。

地方を本当に活性化させるのは、その地域の個人事業主、中小企業の経営者ではないかと思います。

その地域で、どのような人が暮らし、何に困っているのか?
自社の強みから、その困りごとを、最高の形で解決できないか?

心の底から挑戦して欲しいです。

地方も地方で、頑張っていきましょう!

 

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