こんにちは。スギムーです。(@sugimuratakashi)
「計画は逆算して考えろ」とよく言われますが、実際に逆算思考ができない人は少なくありません。USJのV字回復で有名なマーケッター森岡毅氏も「ゴールから逆算して考えることが何よりも大切。」と言っていますが、そう簡単にはできませんよね。
そもそも問題なのは逆算をしても、その計算が意味をなさないことが問題なのです。
今回は、仕事の計画作りで最も重要な思考法と言われる「逆算思考」について、やり方と、逆算思考をやる上での致命的な間違えをお伝えしましょう。
Contents
■逆算思考と積み上げ思考
・積み上げ思考とは「今できることは何か?」
一般的な思考とは「積み上げ思考」というものです。
・今日は溜まってる書類を片付けよう
・今日は寒いから鍋でも食べよう
・とりあえずブログでも始めてみよう
・さっき電話が鳴っていたな。折り返さなきゃ
・とにかくお客さんが来ないから集客しよう
と言った、「今」にフォーカスして、今の視点から「今できること」を考えるのが積み上げ思考です。
図を作ったのでこちらをご覧ください。
多くの人が、なんとなく目標は持っています。そこに向けて、必要と思われることを毎日しています。しかし、この図のように、「今日は今日の仕事をしよう」と言って、明日になると、また「今日の仕事」をします。これではいつまで経っても、次の段階にあるゴールにたどり着けないということです。
人間というのは、今やれそうなこと、今したいこと、をする方が簡単なので、いまを基準にして今の視点から今できることを行動しがちです。7つの習慣でいう「重要かつ緊急なこと」「重要ではないが緊急なこと」に追われるのは、このためです。
今日、来年の仕事をしているものだけが来年、笑うことができます。
・逆算思考とは「結果のために何をすべきか?」
積み上げ思考の反対の思考が「逆算思考」です。
逆算思考とは、先にゴールを設定し、そのゴールから逆算して必要なプロセスを計画し、その計画どおりに行動することで、最短距離でゴールにたどり着くための思考法です。
例えば、「本を買う」という行動を、「なんとなく面白そうだから」「有名な人がすすめてたから」「好きな人が著者だから」という理由で買う人は積み上げ思考ですが、以下のような背景があって本を買う人は逆算思考なわけです。
・A:目標の月収は100万円だ
↓
・B:月額サービスの利益額1万円の商品を100名に販売すればおよそゴールにたどり着くだろう
↓
・C:100名に売れる商品が必要だから何に困っているのか?顧客リサーチが必要だ
↓
・D:同時に、100名に売っても問題ない提供方法が必要だから同業者を調査して真似しよう
↓
・E:いきなりこの価格では買わないだろうから、まずは見込客用の商品が必要だ
↓
・F:この商品を買う人はこういうことに困っているからこういう資料を用意したら問い合わせが来るだろう
↓
・G:その人たちはネット上でこういうことに悩んで、こういうキーワードで検索しているから、ブログでこういう情報を発信すべきだ
↓
・H:その情報を発信するには、こういう情報に詳しくならなければいけないから本を買おう
こういう逆算思考がなければ、その時その時で「SNSで1万人リストを集めた方法!」「主婦でも1000万円!」「できるビジネスマンの手帳術!」と言った情報に振り回されます。
以下の図をご覧ください。
逆算思考の人は、ゴールを先に設定して、そのゴールのために必要な要素を出し、その要素を一個ずつクリアしていくことでゴールにたどり着いていきます。考える順序が逆なのです。
■逆算思考の3つの名言
逆算思考については多くの著名人がその必要性を語っていますが、僕が気に入っている言葉を3つほどピックアップします。
・逆算思考は戦略の基本である
ーー
ゲームってのは2つしか行動がない。戦術的行動と対処的行動、どちらが主導権を握るか。今回はずっと俺らが主導権を握っていた。 この結果は必然であって、未来視ではない。
アニメ「ノーゲーム・ノーライフ」第11話より
ーー
どんな物事も勝てるかどうかわからないギャンブルではなく、最初から勝算がある計画によって日々の行動が出来上がっている、ということが分かる言葉です。「やってみなきゃわからない」という時点で負けです。
・逆算思考とは段取りのこと
ーー
木を切り倒すのに6時間もらえるなら、私は最初の4時間を斧を研ぐことに費やしたい。
米第16代大統領 エイブラハム・リンカーン
ーー
「段取り八分」という言葉があります。つまり準備で8割が決まるということ。準備というのは、計画から始まります。
・逆算思考をしなければ人生の先延ばししかない
ーー
計画は逆算でやるのが鉄則。「アレをやってから次をやろう」と、積み上げ式の計画ではどんどん先延ばしになってしまう。
本田直之
ーー
来年の収入アップよりも、今、目の前にあるビール。半年後の体重が減った自分よりも、今日のパンケーキ。数年後の事業の成功よりも、今やれそうな仕事。と、先延ばしをしてしまうわけです。
■逆算思考がなければ目標設定は意味がない
よく「新年の目標」と言って、年明けに目標を設定する人がいますが、今年の目標は覚えていますか?達成していますか?というと、ほとんどの人が覚えていません(笑)
なぜ、その目標が達成しないかといえば、逆算思考がないからです。
例えば、「今年こそブログをやる!」という目標を立てても、無料ブログに登録して少し記事を書くくらいは誰でもできます。しかし、「なぜブログをやるのか?」「何がゴールなのか?」が分からなければ、ブログをスタートしたこと自体がゴールなので、やめてしまうわけです。
■逆算思考ができない理由
(1)一般的な逆算思考のやり方では「できない」が優先する
一般的な逆算思考のステップは以下のようなものです。
(1)ゴールを設定する
(2)プロセスを明確にする
(3)スケジュールに落とし込む
しかし、例えば「今年は独立して月収100万円を目標にする」と決めたとして、「じゃあそのためには???」で止まってしまいますよね?
「カフェをやって収入100万円を目標にしよう」と言って、「でも、どうやって?」「そもそもお金がないし」「料理も作れないし」と、できないことがどんどん湧いてきて、計画を立てることができませんよね?
せいぜい、本を読んだり知っている知識で、「まずは資格を取って・・」「まずはブログでも書いて・・」「まずは交流会にでも出て・・」「まずはセミナーでも行って・・」のような、「今できそうなことから始める」のが関の山です。
(2)逆算思考が機能しない理由はインプット不足
「目標設定して、逆算で考えてます。でもできないんです」
という人は、意外と多いと思います。
なぜ先ほどのように、逆算と言えるまで詳細に計画が作れないかといえば、理由は情報不足です。
例えば、月収を100万円にするには、いくらの商品を何個販売すればそうなるのか?ということを知らなければいけませんし、それが実際に業務提供が可能なのか?ということを知らなければいけませんし、売れる商品とはなんなのか?顧客が何を求めているのか?という情報がなければいけませんし、それにはどこで何人を集客し、何パーセントの割合で購入されればいいのか?それにはいくらの予算がかかるのか?と言った情報も、考えるための枠組みの知識もないのです。
だから逆算して計画を作ること自体が現時点では無理な発想をしているわけです。
つまり、自分の現在地点を知らないということ。
現在の自分の知識、持っている情報、何ができて何ができないのか?ということを知らないということです。ゴールに行くには、現在地点を把握することが必要です。現在地点を知れば、情報を集めることで、現在地と目的地の距離が少しずつ明確になっていきます。
(3)目標が今の延長線上にしかない
次に、目標自体が「今できる範囲の、今の延長線上にある目標」の場合、今現在の自分の知識で立てた目標なので、機能しないことが多いということ。
例えば、現在が赤字だらけのビジネスをしているのに、「今年は1.5倍の売り上げにして利益を出す!」と言ったところで、おそらく今現在やっていることそのものが間違いだからその状態なわけで、そこから1.5倍を目指しても、足かせが付いているのにマラソンをするようなもの。無理なのです。
例えば、売り物もないのに「起業する」と言って、行動しまくるとか、今現時点で機能していないのに、それを加速させようとしても意味がありませんよね。
今がダメなら、今の状態をやめなければいけません。
にも関わらず、現在の延長線上で目標を描くからいつまでたっても状況が変化しないわけです。
例えば、
・売れない商品サービスを持っている
・市場がない
・業務キャパシティが超えている
・ターゲットがいない場所で集客している
・商品をそもそも持っていない
のような、ズレた状態で、例えばターゲットは地元の地域なのに、一生懸命にアメブロで集客しているであるとか、それをベースに「もっとアクセスを増やすには?」と頑張ったところで無理なわけです。
■逆算思考より10倍思考でゴールを描け
ということは、逆算思考が機能する状態は、
1、現時点からできることではなく理想的なゴールを描いていること
2、その状態になるために必要要素を正しい情報により算出できること
ということが条件なわけです。
その状態にない場合は、今現時点でしていること、考えていることを「やめること」がスタートです。そして、全く別のアプローチをしなければいけない。
こうやって考えてください。
「今からそれを○ヶ月以内に10倍にするには?」
- 売上を6ヶ月以内に10倍にするには?
- 6ヶ月で利益を10倍にするには?
- 3ヶ月以内に業務を10分の一にするには?
- 3ヶ月以内に10分の一の提供時間にするには?
- 6ヶ月以内に、10倍のアクセス数にするには?
- 3ヶ月以内に10倍のリピート数にするには?
こう考えれば、わかります。
「今のままでは無理だ」ということが。
そして、はじめて今していることをやめることができ、全く新しい発想で考えなければいけなくなるのです。目標を高く持つというのは、「志を高く持つ」と言った意味ではないのです。低い目標は、「今現時点がベースになる」から実現しないということです。
例えば、「今よりもっと早く業務提供するには?」という目標なら、「工程を減らそう」とか、「残業しよう」とかそういう発想になってしまいますが、「3ヶ月以内に今の10倍の速さで業務提供するには?」と考えればそれでは無理だと気づきます。それなら「そもそも社内でその業務をやらないで外注化しよう」とか全く次元の違う考え方になるはずです。
■逆算思考の正しいやり方
というわけで、正しい逆算思考のやり方は以下のようになります。
(1)10倍、100倍の理想的なゴールを描く
(2)現在地点からの距離と、かかるお金と時間を測る
(3)それに対して自分ではできないことでも、他人や何かを使えば実施可能な必要な要素を書き出す
(4)要素が出なければ情報を集める
(5)実施可能な手段に優先度をつけて選別する
(6)選別された要素を時間軸に並べる
(7)最初の一手に着手する
ポイントはとにかく常識を捨て、今できるかどうかを捨て、理想的な状態を描くことです。年収300万の人が、3000万を目標にした途端に、今のやり方をごろっと変えなければいけなくなります。年商1億の会社が100億を目標にした途端に、今のビジネスでは無理だと分かります。そしてようやく現在の固執したやり方を捨て、新しい情報を求め始めます。そこから、実施可能な手段に落とし込み、時間軸に並べることできます。
現状がうまく行っているなら、情報を集めてより精度の高い逆算をしていくこと。
現状がうまく行っていないなら、そもそも今やっていることをやめること。
です。
最終目標が大きすぎる場合、時間やお金がかかりすぎる場合は、目標を小分けにしましょう。
・大目標:1年後
・中目標:3ヶ月後
・小目標:1ヶ月後
と行った感じで自分のレベルに合わせて、どれだけ長期間でも詳細にプロセスが描けるのか?自分がイメージできるまで細かくしてください。
■大枠では積み上げ思考でOK
「さぁ、じゃあゴールから逆算してみよう!」と言っても、実はゴールそのものを明確にできない人が一定数います。
・何がしたいのかわからない
・目標はあるけど、そこに必要な要素が何かもわからない
・必要要素はわかるけど、具体的にならない
と言った場合は、その人にとって「目標が大きすぎる」か、「目標がなんなのかわかっていない」というレベルなわけです。
ゴールが遠すぎて、今の自分のレベルではそこまでのプロセスに何があるのかという要素も出せないわけですね。
ゴール地点から現在地点までの距離を図れていない。測るための俯瞰した視点が足りないという状態です。
こういう場合は、とりあえず見えている目標で構いません。その見えている目標から逆算をしましょう。
つまり、「見えている目標」に対しては「逆算思考」が有効です。
「見えないほど遠い目標」に対しては「積み上げ思考」が有効なわけです。
例えば人生というレベルで見たときに、10年後、30年後、50年後、という遠くの未来を全て逆算して現在の行動に結びつけるというのは非常に難しいことです。
ですから、10年、30年、と言った長期的なスパンでは積み上げ思考で、「今できるところまで進める」で問題ないわけです。
しかし、1ヶ月後、3ヶ月後など、自分が見えている問題に対しては、「逆算して現在の行動を決める」ということです。
視点が多くなったり、俯瞰の能力が上がれば、3年後、5年後と言った長期的な計画も立てられますが、最初のうちはせいぜい1ヶ月後が良いところでしょう。1週間でも構いません。
1週間後の状態から逆算して今の行動に落とし込むということから始めてください。
「積み上げ思考」と「逆算思考」を交互に使っていくことが大事です。
大枠を積み上げで考えるからこそ、大枠では「どこに向かうかわからない」という楽しさがあります。
未来が全て見えていたら、それはそれで面白くないんですよ。
目先のことはしっかり捉えて、大枠はダンスを踊るようにどこにたどり着くかわからないけどそれを楽しむ、ということが人生やビジネスを楽しむコツとも言えますよね。
■逆算思考のまとめ
今日から行き当たりばったりで、できそうなことから着手することをやめましょう。
そして、制限のないビジョンを描いてください。
そのビジョンが今の延長線上にないことに気が付いたら、そもそも今のやり方を疑ってください。そして、詳細に要素が出せるまで、プロセスが描けるまで情報を集めましょう。
いくら逆算思考が面倒でも、これが最も最短距離です。
未来は自分で作ることができる。
というのは、理想ではなく、現実的な作業の先にあるのですから。
ちなみに、逆算は難しい、だけど1つに集中したら誰でも成果が出ます。
その辺りはこの辺の書籍がオススメ。