ターゲティングの本当の意味とは人数の多い顧客層のことではない

こんにちは。スギムーです。(@sugimuratakashi

こんな質問をされることが多いです。

「スギムーさんが言うように顧客リサーチをしてみたところ
うちは20代の女性が最も多い顧客層でした。
売上アップのために、どうやってその顧客層をさらに拡大していけばいいか悩んでいます。」

的なことですね。

売上アップをしなければいけない状況から察するに、
その「ターゲット設定」自体が間違いなんですよ。奥さん。

 

■ターゲティングの意味とは?

「どんな人が、どう言う目的で利用しているのか?」

と言うのは、まったく顧客リサーチになっていません。
以前、顧客リサーチの仕方を伝えていますが、
「多い顧客層を調べてください」
とは言っていないと思います。

「優良顧客を調べましょう」とお伝えしています。

優良顧客というのは、
会社に利益をもたらしている顧客層のことです。

え??

多い顧客層が、一番利益をもたらしてくれてるんでしょ?

と思うと思いますが、
そうかもしれませんし、そうじゃないかもしれません。

問題なのは、
多い層=利益をもたらすわけではない
ということ。

利益をもたらすのは、

・最もリピートしている顧客層
・あるいは、最も高利益額をもたらしている層

ということなんです。

■多い顧客層をターゲティングしてはいけない

もし儲かっていないなら、
その会社の最も多い顧客層こそが、経営の足を引っ張っています。

むしろ、その顧客層を切る勇気が必要です。

こんな例があります。

美容室を経営するAさんに顧客調査をお願いしました。
すると、「20代女性の利用者」が60%を占めていました。

もちろん、自店舗のターゲット層は「20代女性なのだ」と今までも思っていました。

さらに、その20代女性の平均顧客単価とリピート率を調査してもらいました。

すると、その利用者層の9割はリピートに至っていなかったのです。
利用用途は「カット」で、平均顧客単価は4000円台と、
そのお店が目指す平均顧客単価である1万数千円には
程遠い金額でした。

今度は、最もリピートしている顧客層を調査しました。

すると、利用者層のたった10%でしたが
安定して1〜2ヶ月に一回もリピートしている層がいました。
平均単価は1万円以上。
30後半〜40代女性で、利用目的はカットではなく「カラー」でした。

そのお店はターゲット設定を変えて再集客をしたところ
リピート率が3倍、顧客単価は2倍以上になりました。
(他の施策もやってますが実際のコンサルの話です)

ここからわかるのは、
このお店の優良顧客層は、そのたった10%の顧客層ということです。

いいですか?

顧客層の中で最も多い顧客層が、
経営の足を引っ張っていて、

顧客層の中で、最も少ない顧客グループこそが
お店の利益を支えていたということです。

■ターゲティングが合っていればめちゃくちゃ成功している

考えてもみてください。

その「多い顧客層」がちゃんとリピートしたり
高額商品を購入しているならば、
その会社ってめちゃくちゃ成功しているはずですよね?

何せ、めちゃくちゃ買う人が、
めちゃくちゃ人数として多いのですから。

逆なのです。

現在、利益的にうまくいっていないなら、
「多い顧客層」に注目して
同じ顧客層をターゲットとして集客するのではなく、

「少ない顧客層」にこそ注目していく必要があるわけです。

利益をもたらす顧客層が「少ない」からこそ
そのお店は利益が出ていないってことです。

その利益をもたらす顧客層を拡大することこそ
集客に意味があるわけです。

■ターゲティングは優良顧客にする

集客という言葉を再定義しますが、

集客というのは、お客を集めることではありません。

・優良顧客層を獲得する仕組み

のことです。

それには、自社の顧客を調査して、
「優良顧客は誰か?」を特定する必要があります。

そしてその特定には
「多い顧客層」ではなく
「リピートや高額など利益をもたらし続けている少ない顧客層」
に注目することです。

利益を生まない「多い顧客層」がターゲットだと信じ込み、
利益を生まない顧客層をたくさん集客して
首を絞めているという会社が数多くあるでしょう。

反対のことをしているという。

怖すぎますね。

■優良顧客はコンセプトを教えてくれる

優良顧客を特定することができれば
その会社のコンセプトが理解できます。
その会社の強みが理解できます。
他者より優れた点が理解できます。

どういうことかというと、

優良顧客というのは、その会社に魅力を感じて利用しているのです。

先ほどの例であるならば、
そのお店はオシャレのカットの技術よりも、
カラーの技術がすごい!と
その10%の顧客層に認められているのです。

そうなると、そのお店が優れている点は
お店の雰囲気でもなく、オシャレなカットでもなく
カラーの技術なんですよ。

ということは、打ち出すべきコンセプトも変わりますし、
集客する相手も、集客時のメッセージも、
最初に買ってもらう商品も
全て、変わるわけです。

■多い顧客層を切る勇気

さて、ここで2つの選択肢があります。

1つ目は、今まで通り、
安い単価で、リピートもしないが、
広告を出したりすればたくさん来てくれる
多い顧客層を相手に利益の出ないビジネスをし続けるか?

2つ目は、今までの最も多い顧客を切って、
高単価で、自社の価値を感じてくれる
リピートをしてくれる、
今まで少なかった顧客層を、自社のメインターゲットとして
顧客層の100%を占めるまで、そのターゲットを拡大する
戦略をとるか?

これが集客の本質です。

さぁどっちにしますか?