こんにちは。杉村です。
「顧客満足度をあげよう!」
というふうに経営者は考えていますし、
たいていの書籍には「顧客満足度をあげましょう」
と書いてあります。
しかし、実際の顧客満足度を上げる具体的かつ体型的な手段を記述した書籍を見たことがありますか?
僕はありません。
だって、無理ですから。顧客満足させるなんて。
たいていの顧客は
「最小のコストで最大の結果を求めている」
わけですよ。
100円で、最高級和牛を食べたいわけです。
できますか?無理ですよね?
顧客満足を追いかけているからこそ、ビジネスが停滞していることに気づいてください。
Contents
■顧客満足度を向上することは大企業でも不可能
まずいいですか?
顧客を満足させようと考えることをやめてください。
それは無理です。
顧客満足をさせている会社なんて大企業ですら、ほとんどありません。
例えばセブンイレブンは、国内トップの小売企業ですが、
セブンイレブンに満足している人はいないと思います。
スーパーより値段は高いですし、
品揃えは悪いです。
ノートは一種類しかありませんし、
漫画本も最新刊がちょっとあるだけです。
しかし、コンビニは誰もが利用していますよね。
なぜかといえば、便利だからです。
24時間営業ですし、スーパーやイオンのような大型店舗より
圧倒的に入りやすいですし、
たいていの用事は済みます。
便利なのです。
それがコンビニエンスストアという業態です。
コンビニは、
「すぐに用事を済ませたい」
「いつでも買い物をしたい」
と言った、大型店舗の不満を解消し、
夜に買い物ができない、
という時間的な不満を解消しているのです。
コンビニに完璧な顧客満足はあるわけがありません。
しかし、「問題を解決」してくれています。
これが、
「理想的な顧客満足を追いかけて、誰にも役立っていない衰退するビジネス」
と
「顧客満足はそこそこにして、問題を解決して多くの人に役立っているビジネス」
の違いです。
■顧客満足度を追いかけているからビジネスが前に進まない
つまり、顧客満足度を追いかけるということは、
「安く、良いものを、完璧に提供する」
という理想を追いかけている
「完璧主義」という自己満足です。
当然ですが、「良いもの」は高いです。
例えば、最高級和牛を、
スーパーの肉売り場のものよりも安く仕入れられるのでしょうか?
無理ですよね?
例えば、年商を何倍にもさせることができるコンサルティングを
時給800円で提供できますか?無理じゃないですか?
あるいは、100%保証して、たった3日で10倍にさせますとか
約束できるわけないですよね?
でも顧客はそれを求めています。
楽して、簡単に、短時間で、安く、最大の効果が欲しい
つまり、欲求には際限がありません。
良いものを作る企業努力は必要ですし
それは素晴らしいことです。
それを低コストで販売するための
企業努力も素晴らしいことです。
しかし、それは
下請け業者を泣かせたり、
海外の業者を安く叩いたり、
社員の給料を安くしたり、
自分が給料を下げて我慢したり、
と言った、馬鹿げたことをしていなければの話です。
たいてい、そうした努力をすれば
誰かが泣くことになります。
顧客満足度を追いかけることは、
多くの場合、「悪」になります。
誰も苦しんでいないのに顧客満足度を上げることができたならば
それはその企業は業界イノベーションを起こしたということです。
そんなことは
天才か、上場企業のポテンシャルのある
ごく一部の類いまれなる企業にしかできません。
■しかし、「顧客不満」を上げてはいけない
ここまでが「顧客満足度」に関する
基本的な論理です。
顧客満足度の高い完璧なものなど作れませんが、
顧客の困りごとは解消できる。
というのがビジネスです。
しかし、「顧客の不満」を自ら作っていい。
という話じゃありません。
先ほどのセブンイレブンの例を取ってみても、
「満足はしない」が、「不満」はありません。
高いし品揃えは悪いけども、
そこそこのものが手に入るし、
アルバイトの方も、可もなく不可もなく
悪くはありませんし、
たいていの用事が済むから便利です。
不満はありませんよね。
だからこそ何度も来店しますし、
だからこそ、ここまで大きな企業になっていますよね。
つまり、
不満があれば二度と来店しないのです。
顧客満足は完璧に求める必要はないけども、
不満があれば二度と来ないのです。
■不満があればリピートは起きない
リピートをしない理由というのは、確実にあります。
それは大きく分けると以下の3つです。
・サービスに不満があった場合
・忘れられている場合
・諸事情で来れなくなった場合(引越しや、何かの都合)
DMや販促でカバーできるのは
「忘れられている場合」だけです。
不満がある場合は、サービスそのものを改善しなければ
リピートは増えていきません。
なぜ不満があるのか?
商品が悪いから?
接客が悪いから?
正しく価値が伝わっていないから?
それらも当然あります。
しかし、一番の不満は、
「顧客の困りごとを解決していない」
ということです。
「?」
ですか?(笑)
■顧客満足とは「期待」に応えることである
例えばコンビニに期待していることはなんですか?
美味しいお弁当ですか?
商品の品揃えですか?
気持ちのいい接客ですか?
違いますよね?
利便性ですよね。
その一点ですよね?
コンビニが、急に大型店舗に変わって、
品揃えを一気に増やして、駐車場をでかくして、
急に接客をし始めて、商品の案内をし始めて
高級なもの、品質の良いものを扱い始めて、
手作りのお弁当をはじめて
ディスカウントストア並みの安さになったとします。
(おそらく、相当な犠牲の上にしかそんなものは成り立ちませんが)
もはや、コンビニに期待しているものは消え去りましたね(笑)
顧客満足を追求した結果、
顧客の期待を裏切るということになりました。
好きなアーティストが急に海外に行って
完成度を追求しはじめて、
洋楽かぶれの音楽になってしまったような気分ですね(笑)
壇蜜が演技する、みたいなね。
あなたに求めていたのはそこじゃない!
というね。
そうなったらリピートはされません。
もちろん、急に変化した場合だけではなく
最初から完璧なサービスを作ったとしても、
どんなに完璧で、
どんなに完成度の高いサービスに見えたとしても、
「誰かの困りごとを解決できていないビジネス」
ならば、
リピートされないということなんです。
■本当の顧客満足度の向上方法
「品質を上げよう」
「完成度を上げよう」
とよく言われますが、
誰にとってそれは品質が上がったんでしょうか?
という話です。
例えば「訳あり商品」という切り口は大ヒットしています。
おせんべいが出荷前に割れてしまったので、
割れてしまったせんべいを訳ありとしてう売り出した
といったことですね。
これって、「品質」上がってませんよね?
でも、それくらいのせんべいを探していた人には
最高の品質ですよね?
デザインといえば、何でもかんでもハイソなおしゃれなものを作ればいい
と思っている一部のクリエイターみたいなものです。
「顧客満足度」や「商品品質」
というのは、
むやみにコストをかけて向上したところで、
顧客の期待を裏切る可能性すらあります。
コンビニが最高級なものを扱う店になったら
誰もリピートしません。
自社のサービスは、
誰の困りごとを解決するものなのか?
自社は何に期待されているのか?
これを間違えば正しい「顧客満足」も「商品品質」も
上げることはできません。
むやみにCS、ESを上げていくには?
とか言ってる本やコンサルを見かけたら
思い出してください。
「顧客は困りごとを解決してくれていることに満足している」
ということを。
あなたは何の困りごとを解決していきますか?