ストアコンパリゾンとは?成功者を真似することから全ては始まる

こんにちは。スギムーです。(@sugimuratakashi

中小個人の最初の課題は、「いかに業態を模倣するか?」にあります。
経営戦略とは「どの市場に、どの業態で参画するか?」と言うことです。
その市場について詳しく、その業態について詳しい経営者は、ひとまず商売を成立させることができます。

その上で、競合不在のマーケットを見つけ、優良顧客を集客して行き、LTVの高いビジネスモデルにして行く挑戦ができます。

しかし、「業態化」ができていない場合、どうやっても無理ゲーです。

例えば、

  • 業態が「教室」のはずなのに、イベント的にその都度、申し込みを集めている
  • カウンセラーやコーチが、単発セッションしか販売していない
  • お店のサービスや店作りが平均的な状態になっていない
  • フリーランスの技術者が、単発依頼を待っている
  • ハンドメイド作家が手作り作品をイベントやネットで販売している

と言ったことが個人規模では、よくありますが、これは基本的な業態のあり方がよくわからずに、自分なりにサービスの提供方法などを全て決めてしまった例です。これではビジネスモデルは最初から破綻しています。

その市場で成功している人物、会社、お店を、調査して、業態を真似できなければいけないのです。にもかかわらず、成功者の表面的な見える部分であるマーケティング施策の成功事例を真似しようとしたり、見た目を真似しようとする人が多いですね。それは真似になっていませんし、むしろ失敗が目に見えています。

今回は、競合調査の基本、「ストアコンパリゾン」について学びます。

■ストアコンパリゾンの意味とは?

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競合店調査のこと。コンパリゾンとは比較の意味。同業種または異業種の高業績店などを観察して、その店舗の特徴や動向を調べること。他店の良さを学び、それを自店舗に取り入れて業績向上を図ることを目的とする。 なお、ターゲットとする店舗について、定期的に観測することが有効とされる。
出典:コトバンク
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同業、異業種の成功企業、店舗、人物を比較観察し、模倣することがストアコンパリゾンの目的です。

「まねをする」と言うと、嫌悪感がある人がいますが、ゼロからビジネスというものを作れる人は、絶対にいません。100%、確実にいません。天才でも作れません。
なぜなら、この150年以上の資本主義社会で、天才たちが作っていったものこそがビジネスです。私たちの寿命が150年以上ある天才なら別ですが、そこまで時間をかけている余裕はないはずです。

自分の頭で考えて、自分の力でやっている気になっている人で成功している経営者を見たことがありません。愚直に、成功企業を真似することが大事なのです。

しかし、丸パクリでは勝ち目がありません。
ですから、学ぶのは「業態」なんです。
ニーズやブランドやマーケティングの全てを完全に真似することはマナー違反や、商標など法律に抵触するものもありますし、裏側の戦略までは見えません。
真似すべきは、業態。つまり、その事業のフォーマットです。

■なぜストアコンパリゾンが必要なのか?

(1)顧客不満は競合調査不足から起きる

中小個人で稀に、固定客のついていないビジネスがありますが、これは顧客が不満足に陥っている可能性があります。実際に顧客の購入後の満足度調査をしたり、購入後の顧客に電話をしたりして話せばわかります。クレームが書かれていれば、商品サービスに満足しなかったからリピートしていないという現実が見えてきます。

実際に、リピーターが少ないデザイン会社で顧客満足度調査をしたところ、作ったチラシやホームページが成果を上げていないことが露呈し、実際はクレームだらけ。そのためリピートが起きないという現象がありましたが、競合調査を実施し、不足している技術とノウハウが分かり、業務を遂行するノウハウを手にいれたことで、問題が解決されたというケースもあります。

自社の問題を見つけるためにも、競合との比較が必要なのですね。

(2)失敗要因は業態を真似できていないこと

例えば、フィットネスのインストラクター業をされている個人事業主が、教室ビジネスを調査し、同じ要素を取り入れて教室化(業態化)したことで、5倍以上の業績アップの計画を手にする、ということがあります。失敗要因は、単純に、自分のビジネスの基本的なフォーマットを理解していないことが原因なのです。

(3)その業態に5年以上勤めた経験があるか?

そうした自分の想像でお店や会社を初めて、うまくいかないという場合の多くが、経営者がその業態の会社に以前勤めていたという経験がない場合がほとんどです。

例えば、今まで会社で事務員をしていました。という女性が、いきなり「カフェをやります」と言ったところで、「カフェの業態」を知らないのです。見よう見まねでお店を作っても、それは難しいと思います。

あるいは、「住宅販売の会社で販促担当をしていました」という人が、デザインのスキルがあるからと言って、デザイン会社を始める。というのも、技能はあっても、「デザイン会社」という業態を理解していないので、サービス提供からビジネスモデルまで、見よう見まねに陥ってしまいます。

逆に、「カフェに5年勤めていたので、カフェをオープンさせます」「デザイン会社に勤めていたので、デザインの会社を始めます」という話なら、(業務的な)問題はないでしょう。(経営的な問題は誰でもぶち当たりますが)

■ストアコンパリゾンが必要なのは小売店と飲食店だけではない

つまり、業態への知識が不足している場合、競合調査をして業態知識を増やして真似をしないといけないのです。できれば、開業前に、同業種に5年勤める、とか、修行に入るということができればいいのですけどね。

「ストア」と聞くと、小売店や飲食店だけが実施する調査に思われますが、そんなことはありません。あらゆる業態は、すべてストアコンパリゾンをしないといけません。
業態としてのやり方を間違えれば、顧客不満、ビジネスモデルの崩壊につながります。

■ストアコンパリゾンの対象

では、具体的にどうやってストアコンパリゾンを行うのか?ですが、まず、大前提として、「成功企業」「成功者」を調査することです。「同業者」の、同じ規模で同じ地域の、近所のお店などを調査してもその店舗が成功していなければ、真似をしてはいけないのです。

成功企業かどうかを見極める、ということは難しいことではありません。基本的に大企業が調査対象ですし、有名店舗が調査対象です。株式上場をしていれば、業績も把握できます。

「中小企業は大手を真似してはいけない」

と言っているコンサルタントがいますが、それはです。成功要因があるから大手企業になれたわけです。その要素と同じことができなければ、成功することはあり得ません。もちろん、規模や従業員数、売り場面積など、資産が違いますから、表面上は同じことはできませんが、本質的な部分である、顧客満足や、商品ライン、ビジネスモデルなど、状況に応じて最低限必要な要素は真似が可能です。

例えば、大手フィットネスクラブを調査して、1人の講師が何人の生徒を同時に見て、1日に何レッスンを実施して、一回のレッスンあたり価格はいくらで、と言ったことは、個人インストラクターでもその講師単体のモデリングは可能なわけです。先ずは、そこからなのです。

■ストアコンパリゾンの実施方法

実施方法は、実際に来店し、お客になる。ということが理想的です。ネット販売であっても、実際にそのお店で買ってみる。申し込みをすると言った、お客が体験する部分を調査します。

例として、最もストアコンパリゾンが頻繁に行われる飲食店を例に、どのような調査項目があるのかを書き出して見ましょう。

飲食店の調査項目フォーマット

<経営状況>
席数
客単価
顧客の平均滞在時間(回転率)
従業員数

<顧客>
時間帯別の顧客層
どのメニューが売れているか?
どの地域からの来店か

<立地>
立地の優位点
駐車場の台数
店前交通量

<設備>
看板の設置場所、特徴
屋外の販促物
外観の特徴や目に入る要素
内装の雰囲気や特徴
テーブル、イスの大きさ・デザイン・使いやすさなどの特徴
喫煙への対処、席の作り
トイレの作り
清掃状態

<商品>
売れ筋のメニュー
メニューの特徴
商品構成カテゴリーの様子
価格帯
味の特徴
料理の量
食器やグラスのデザイン、使いやすさなど特徴
オーダーから料理が出るまでの時間

<サービス>
接客の態度
入店から着座までの対応
テーブルやカラトリーの状況
メニュー表の作りや表現
オーダー時の接客オペレーション
制服の様子
他スタッフの対応のばらつき・平準化の状況
呼び出しから対応までの時間
会計時のオペレーション
アンケートなどマーケティング調査のオペレーションや仕組み

■ストアコンパリゾンのまとめ

スタートアップが成功しないことの大きな要素に、業態知識の不足があります。
ビジネスの失敗要因は、リサーチ不足に過ぎません。

・顧客のニーズのリサーチ不足
・自社の強みのリサーチ不足
・競合、業態の情報、ノウハウの不足
・経営の知識不足、あるいは間違った情報を信じていること

これらが問題になります。

しっかりと、競合調査をして、学んでいきましょう。

競合相手を、敵とするか、先人の知恵とするかは、あなた次第です。