戦略・ビジネスモデル

シャッター商店街と飲食店オーナーは「食戟のソーマ」に学ぶべし

ジャンプで連載されている漫画「食戟のソーマ」で、集客に困った商店街を食べ物で立て直すという話があるのだけど、漫画だからご都合主義と言えばそれまでですが、学ぶべきことはたくさんあるんですよ。

どういう漫画かというと、いわゆる「料理対決もの」。
商店街の小さな食堂で、親父さんと一緒に店をやっている高校生の主人公が、料理のエリート高校に編入して、そこで料理対決をして1番を目指すという熱い感じの少年漫画。

その漫画の中の一つに、その商店街のある地域の駅ナカの商業施設がリニューアルオープン、有名な唐揚げ専門店のチェーンができて、商店街のお客がすっかりいなくなってしまい、お弁当屋さんをやっている商店街会長さんが、主人公に助けを求めてくるわけです。

この商店街ピンチあるあるを、どうやって乗り切るか?


■みんなの目標を一致させる

話の経緯はこんな感じ。

『なんかあったのか?商店会長』

『実はね。ちょうど1か月前駅の商業施設がリニューアルオープンしたんだ。
いわゆる駅ナカってやつでさ衣料品店や書店さまざまなショップが入ってるんだけど
中でも特に評判なのが唐揚げ。これがほんと美味しいらしいんだ。
その唐揚げ目当てにお客さんが駅ナカに流れてしまったんだよ。
通勤客も通学客もこの商店街はスルー。
うちの弁当屋も売り上げが激減・・・
このままじゃいつまで店を続けてられるか・・・』

『んじゃ、なんとかしてみるわ。相手の主力は唐揚げなんだろ?それに対抗できる新作唐揚げをこの商店街で立ち上げるんだよ』

主人公たちは、商店街の人たちを巻き込んで1つの目標をみんなで達成するようにビジョンを立ち上げたわけです。

1人で成功をするということに対しては誰も手を貸してくれないですが、みんなの利益が自分の利益になるという目標なら、人を巻き込んで行くことができる。ということですね。

問題解決をするには、競争原理から協力原理に頭を切り替える必要があります。

■自分だけで解決できないことはリソースを用意する

主人公が最初に取り掛かったのは、リソースを確保すること。
今回、「唐揚げ」を作るということなので、友人の中にその知識がある人をピックアップして仲間に加えました。味見役も必要ということで、幼馴染の女の子も巻き込みます。

これは意外と当たり前のように思いますが、現実世界では自分一人でなんとかしようとして自滅してしまうことが多くあります。

自分の中だけで解決力がある人というのは、自分の中にあらゆるものを吸収した人だけであって、自分の中になければ、外側に取りに行けばいいわけです。

■まずはストアコンパリゾン

次に敵情視察です。
主人公たちは実際に、その商業施設に行き、どんな人がどのように活用しているのか?どういう時間帯に利用されているのかということを見に行きます。

もちろん、問題の唐揚げ店の店構えや集客状況、顧客層、商品、パッケージ、なども確認して行きます。

実際、こうした調査をしないで起業する人もいますが、こうして物語で見れば敵情視察をせずして、自分の頭の中だけで解決できるわけがないことが理解できると思います。

ここで得たそのお店の情報は、

  • 関西の有名チェーンで、関東に初進出してきた一号店である
  • 賞を受賞するほど味が優れている
  • テイクアウト商品である
  • パッケージがおしゃれである
  • 主婦に人気である
  • 駅ナカの立地を活かして大量集客に成功している
  • セット売りなどがある

といったことでした。

■商品品目のブルーオーシャン

この唐揚げ専門店は、どういうマーケットかといえば、テイクアウトで買って帰り、自宅で食べるという「中食」というマーケットです。

さらに、このお店の成功は『需要がある場所に、出店したこと』なわけですが、それは駅ナカという集客されている好立地に出店したこと、だけではなく、この商圏内に唐揚という人気コンテンツを扱っているお店が無かった、あるいは、競合店が弱かった、ということにこそ成功要因があります。

いわゆる「ブルーオーシャン市場」なわけです。

例えばイタリア料理は人気です。その人気コンテンツをイタリア料理店がない地域に出店すれば、容易に集客ができますよね。そうした「需要があるのに、供給されていない市場」のことをブルーオーシャンといいます。

基本的に、中小企業、中規模から大企業へと向かう成長企業のほぼ全ては需要と供給のバランスの悪いブルーオーシャンを見つけたからこそ、成長しているわけです。

つまり、この地域において「唐揚げといえばこのお店」というポジションを、あっさりと取られてしまったわけですね。

■商品を変える

このチェーンの女社長が、なかなか嫌な人で、視察にきた主人公たちに唐揚げを振る舞い、レシピなど企業秘密を簡単に話してしまいます。

『かまへんかまへん。どうせおたくらじゃ作れるわけあらへんからな』

『んじゃあもしもここの唐揚げよりも美味しいものをうちの商店街で作れたら「もず屋」さん赤っ恥っすね!』

『口だけは達者な坊主やなぁ
なんの競争力も独自性もない弱小商店街なんぞ廃れて当然でっしゃろ?
これからも末永く駅ナカ「もず屋」をごひいきにな~』

といった感じでバトルに入ります。

そして主人公たちは、商店街のにぎわいを取り戻すために、新しいコンテンツとなるライバル店に対抗できる唐揚げ作りに入ります。

「売れない」というのは、「お客が欲しくない」というだけです。
売り方が良くないとか以前に、欲しくもない商品を扱っているから売れないだけ。
だから、最初に変えるべきは商品サービスなわけです。

なにもライバルと同じ、唐揚げである必要性がないことにはすぐに気がつきますが(笑)

■同じ土俵に立たず、周囲を観察する

唐揚げじゃなく、A5牛を使って高級食材で勝負するとか、色々なアイデアが出ますが、どれもピンとこない。

そこで、幼馴染の女の子がこう言います

『商店街らしさを活かす・・とか』

とはいえ、抽象的でなにをどうしたらいいかは分からない。
でも、なんとなく言いたいことはわかるという感じの意見。

そもそも、小さいお店が、資本のあるチェーンに対して、高級食材にしたり、味の完成度で勝とうというのは、無謀です。採算が合わないし、そこまでのノウハウや製造工程が実現できるわけがない。

差別化をして勝つというのは中小企業には無理なのです。

だからこそ、自分たちの強みを生かして集中すべきニーズを見つけないといけない。

そこで、主人公が考え事をしていると、商店街を通りがかる多くの通行人に目が行きます。

『休日でも学生が通るんだなこんなにたくさん』

『部活帰りの中坊だな。この辺学校多いしさ高校や大学もいくつか

そうだよ!頭固くなってたわ!何も相手の土俵にのることはねぇじゃん!

『つまりA5牛の出番だな?』

『いや鶏の唐揚げでいくけど。同じ品でも相手ができないこと商店街だからできることを考えりゃいいんだよ。
唐揚げを最も美味く食わす方法。
この戦を決める勝負の軸を俺たちが作ってやるんだ

主人公たちは、商店街周辺の客層は主に学生であることに気がつきます。
これで、この周辺にいる顧客が誰なのか?が理解できたわけです。

ポジショニング戦略ですね(笑)

■顧客のTPOSを考えた提供方法

次に主人公は、お客が「いつ、どこで、どういうときに、どんな人が買うのか?」を指し示します。

『唐揚げのいちばん美味い食い方はなんだ?』

『そりゃあ揚げたてをすぐ食べるのがいちばんに決まって・・・』

『だよな。でもさ「もず屋」の品は必ずしもそうじゃねぇんだよ。
電車で持ち帰るお客のために匂いを漏らさないかっちりしたパッケージに入ってるだろ?家で食うのを前提に作られてるんだよ』

ライバル店は「中食」の市場であるということを指摘します。
そして、中食では唐揚げの本来の、「揚げたてで食べる」という最高の状態で提供できない問題を指摘します。

『揚げたて熱々にかぶりつく。やっぱ唐揚げはそうじゃねぇと。
しかもここいらには小学校から大学までたくさんの学校があるんだ

『そうか!総菜を家に持ち帰るいわゆる中食の土俵にのる必要はねぇ。こっちの地の利を生かすってことだな』

『そういうこと!キーワードは食べ歩きの唐揚げ!

唐揚げの食べ方は、ざっと以下の3つが思い浮かびます。

1、持ち帰って家で食べる
2、お店の中で食べる
3、外で食べる

そのうち、ライバル店は1であり、2は一般的なお店。
外で食べる唐揚げはないのでは?
ということに気がつきました。

そして客層を見ると、外で食べ歩きをする需要のある学生がたくさんいました。

なので、以下のTPOSを設定しました。
(TPOS=Time、Place、Occasion、Life Style)

・誰が?→部活帰りの学生が
・いつ?→夕方に
・どこで?→商店街で
・どういう時に?→小腹が空いた時に

食べる商品である、というビジネスアイデアが決定したわけです。

■商品を設計する

さて、顧客と、商品の使い方が分かった主人公たちは商品を実際の形にして行きます。

コンビニの唐揚げのような、箱型の容器につまようじを使った形式で、カレー味とチーズ味といった学生が好きそうな味を用意して見るものの、表面的で独自性もありません。

『そうか。パックに入れてつまようじで食わせるとなるとどうしても肉が小ぶりになる。「もず屋」のど~んとした肉厚感には負けちまうんだ』
『味付けもこれじゃ表面的だな。ちゃんと素材のよさを生かすものじゃねぇと』

『唐揚げは串に刺しちゃえばどうかな?それだと片手で食べられるし』
『う~ん。唐揚げ串って結構出回ってるからパッと見のインパクトが薄いかもなぁ』
『パッケージに目新しさや個性が必要で同時に味も高めなきゃいけねぇ。この2つをいっぺんに解決して「もず屋」と戦えるアイデア…』

そこで、唐揚げに最もあうものは何か?と、考えた末に、一つの答えにたどり着き、最も「食べ歩きの唐揚げ」に適した商品設計を主人公たちは作り上げます。

それがどういうものかはあまり意味がないので書きませんが(笑)

このように、「いつ、どこで、どういうときに、どんな人が買うのか?」によって、ビジネスアイデアが決まり、それによって商品の形やパッケージを検討しなければ行けないというのが、顧客目線ということです。

■まとめ

安倍総理が「地方再生の鍵はインスタ映えにあり」といってましたが、その地方や、寂れた商店街で「映える」だけの商品があるか?ということが問題だと思います。

SNSを使って広める以前に、顧客視点に立って「いつ、どこで、どういうときに、どんな人が買うのか?」ブルーオーシャンの発見から価値創出は生まれます。

頭を固くせず、食戟のソーマを見てアイデアを出してください。

Huluでアニメ版を全部見れます(笑)
唐揚げ回は、第1期の17話、18話です。


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