こんにちは。スギムーです。(@sugimuratakashi)
コモディティ化したビジネスは以下のような状態に陥ります。
- 顧客に選ばれない
- 価格競争
- サービス競争
- マーケティング競争
- 情報発信による疲弊
- 友達を作って人間関係作りでの商売
- 自分が有利なポジショントークで人を欺く
- 法外な価格をつけて販売する
- 短期的に一気に稼いで、売り逃げするしかない
こういう状態から脱出するため、あるいは起業してそうならないために
競争相手のいない、それでいて多くの顧客がいる、自分だけしかビジネスをしていない
そんなビジネスをしたいという人は多いはずです。
今回は、競合不在市場を見つけるブルーオーシャン戦略についてお話ししていきましょう。
ソウルワークで「魂のビジネス」を構築するために
お伝えしていることは以下の3つ
1、競合不在のマーケットへの参入
2、世界観による優良顧客集客
3、3つの数字による儲かる構図を作る
この中の1番目が今回のテーマです。
これにより僕のコンサルでも
- BtoB企業の粗利金額が45倍
- ECの売上高が8倍
- 美容室が客単価約3倍、リピート率2倍以上
と言うことが実際にあります。マーケティングの改善だけでは出ない数字です。どれもマーケットそのものをブルーオーシャンに近い状態に持って行っています。
しかし、ブルーオーシャン戦略は、勘違いすると終わります。
色々な人が語っていますが、どの情報を採用するかはよく考えた方が良いです。
「ブルーオーシャン」と、変わった名前がついていますが、これは市場選定という戦略の基本的な話なのです。
Contents
■ブルーオーシャン戦略の勘違い
「ブルーオーシャン」や「差別化」、「プロモーション」と言った言葉ほど勘違いされているものは珍しいです。ブルーオーシャン戦略を「誰もやっていないことをやることだ」と認識している人、「ブルーオーシャンに入れば全てが解決する」と考えている人が非常に多いですが、それは間違いです。ブルーオーシャンに関してある勘違いを、順番に説明していきますね。
1、ブルーオーシャン戦略とは何か?
ブルーオーシャン戦略はヒットしたビジネス書の中で語られている経営戦略の考え方で、イノベーションを作る方法の一種です。概要をwikiから引用しますね。
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競争の激しい既存市場を「レッド・オーシャン(赤い海、血で血を洗う競争の激しい領域)」とし、競争のない未開拓市場である「ブルー・オーシャン(青い海、競合相手のいない領域)」を切り開くべきだと説く。そのためには、自分の業界における一般的な機能のうち、何かを「減らす」「取り除く」、その上で特定の機能を「増やす」、あるいは新たに「付け加える」ことにより、それまでなかった企業と顧客の両方に対する価値を向上させる「バリューイノベーション」が必要だとしている。そのための具体的な分析ツールとして、「戦略キャンバス」などを提示している。
出典:wiki
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要するに、
レッドオーシャン=「お客さんいっぱいいるけど、めちゃくちゃ競合が多い市場」
ブルーオーシャン=「お客さんいっぱいいるけど、誰も商品を提供していない市場」
ということですね。
そこに対して商品サービス企画をしていくのがブルーオーシャン戦略です。
2、ブルーオーシャン戦略は「ニッチ」ではない
ここで勘違いは、ブルーオーシャンは「ニッチである」という間違い。狭い市場のことではないです。市場規模を小さくすることが、競合不在になる条件ではありません。ブルーオーシャンにも、いっぱいお客さんがいないといけません。ブルーオーシャン戦略の目的とは「お客さんいっぱいいるけど、誰も商品を提供していない市場」を見つけることにあります。
「すでに大きくある市場」
「すでにあるニーズの中で未解決になっていること」
この中で解決策を提供するからこそ、「お客さんいっぱいいるけど、誰も商品を提供していない市場」に入れます。
3、ブルーオーシャン戦略はニーズを見つける方法に過ぎない
「誰もやっていない分野」というのは「誰もお客がいない」ということがほとんどです。ブルーオーシャンやイノベーションを「新しいことをすること」だと勘違いをして、「市場を作る!」と言っている野心家の人がたまにいますが、それは無理です。あくまで、ニーズに対して、違いのある解決策を作り出すのが、イノベーションのあり方です。
4、ブルーオーシャンは万能ではない
そして一番よくある勘違いですが、ブルーオーシャン戦略は万能でもなんでもありません。競合不在のマーケットに参入して大ヒットしても、それが永遠に続くわけではありません。すぐに競合が真似をして来ます。そして市場が奪われていきます。市場には、成熟段階がありますから、その商品も徐々に一般層に広まり、「当たり前のもの」になって行くのです。
ですから、ブルーオーシャン戦略は、新機軸を打ち出すべき、新事業、新商品、起業の際にはやくに立ちますが、立ち上がった以降は、他のマーケティング戦略を組み合わせていき、確固たるファンのいるブランドを作るか、他者が真似できないほど作り込んだり拡大をするか、と言った参入障壁を作り出すことを考えねばいけません。ブルーオーシャンだけが、万能で永遠のものではありません。
■ブルーオーシャン戦略がなぜ必要なのか?
現在、成長している企業のほぼ全ては、ブルーオーシャン戦略の考え方である、「価値を高めてコストを落とす」というイノベーションをやっているからです。
逆に言えば、中小個人も、これに近いことができないと成長しないということです。
ビジネスにおける戦略とは投資回収のこと。
そして投資すべき経営戦略とは、どの市場にどの業態で入っていくのが最も投資回収率が高いのか?という話です。
もちろん投資回収率の高いビジネスといえば、コストが低く、価格が高くても売れ、客数の多いビジネスです。つまり、ブルーオーシャンの条件と同じです。
戦略は「戦いを略く」と書きますが、孫子が言うように「戦わずして勝つ」というのが最も賢明な訳です。
なぜなら、人材、資金、時間といった資源は限られているからです。無駄には使えません。
だからこそ、個人であれ、組織であれ、自分の使えるものを活かして、競争のない、それでいてお客さんもいっぱいいる、最も効率的に回収できるビジネスを選択していかなければいけません。
では具体的にどうすれば、投資回収率の高いビジネスができるの?
という話ですが、それには「プチ」イノベーションが必要です。
価値の高い商品、サービスでビジネスをするということです。
価値の高さは相対的に決まります。
「需要があるけど、供給されていない商品サービス」
こそが最も価値が高い状態と言えます。
競合不在のマーケットに参入することで、圧倒的にビジネスを有利にし、売りやすい環境があれば、マーケティングの苦労や競争には陥りません。
顧客の選択肢があなたしかいないからです。
ビジネスを有利にするには、こうした状態を作り出す必要があるのです。
そのため、競合不在の市場を見つけるということが重要なわけですね。
■バリューイノベーションとは?実際の事例
競合不在の市場に入るには、「コストを落として」「価値を高める」という「バリューイノベーション」という考え方が必要です。
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従来からよく知られているマイケル・ポーターの競争戦略が「事業が成功するためには低価格戦略か差別化(高付加価値)戦略のいずれかを選択する必要がある」としている一方、ブルー・オーシャン戦略では「「減らす」「取り除く」ことによる低コスト化と「増やす」「付け加える」ことによる顧客にとっての高付加価値は両立し得る」と主張している。
出典:wiki
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出典:「ブルーオーシャン戦略」
そんなことはできるのか?と思われますが、実際に僕のコンサルでもこうした「プチ」バリューイノベーションを作り出すということはよくあります。
例えば、詳しくは書けませんが、BtoB向けの企業で、今までと同じ作業をして、toC向けに販売していたサービスを、法人向けに販売をしたことで、『法人の新規開拓コストが下がる』という新たな価値が生まれました。それにより、今までの10倍の価格でも問題なく販売が行われ、原価が同じなので、そのサービスは粗利金額が45倍にもなりました。
まさに、コストを落とし、顧客が受け取る価値を上げたということです。
■戦略キャンバスと4つのアクション
バリューイノベーションを考えるには、商品サービスの企画の際に、以下の4つのアクションを取り入れることで、バリューイノベーションを見つけます。
1、常識から取り除くものは何か?
2、思い切り減らすものは何か?
3、思い切り増やすべきものは何か?
4、これまでにない付け加えるものは何か?
これを、戦略キャンバスの軸に合わせて、「なくす・減らす・増やす・付け加える」をします。
QBハウスの戦略キャンバスの例
例えば、10分1000円カットのQBハウスは、プロセスを大幅に減らし、待ち時間を減らし、提供時間を減らし、『価格を下げ、利便性をあげる』という「プロセスイノベーション」に成功しています。まさに、コストを下げて、顧客が受け取る価値を上げています。
出典:「ブルーオーシャン戦略」
カーブスの戦略キャンバスの例
他にも、女性向けの30分体操フィットネスで世界展開しているカーブスは、トレーニングの器具、設備を大幅に減らし、トレーニング時間も減らし、コストを削減、かつ、女性に限定して気兼ねのない環境作り、ちょっと気軽に運動したいというニーズを満たす利便性を向上しています。
出典:「ブルーオーシャン戦略」
ここまでがブルーオーシャン戦略の書籍の概要です。
しかし、これらの曖昧な質問でブルーオーシャンを実現するのは、かなり難しいと思います。
実際に、僕がコンサルやプロデュースをするにあたり、この戦略で役に立ったのは「ブルーオーシャンがある」「コストを落として価値を上げることは可能である」という考え方の2点だけです。
戦略キャンバスは曖昧過ぎて、使いこなすのが難しいフレームワークだと言わざるを得ません。何を減らしたり増やしたりすれば、どういうニーズが生まれるのか?というニーズの切り口が不明だからですね。
■ブルーオーシャンを見つける6つの切り口と事例
というわけで、中小個人でも、バリューイノベーションを見つけるための、別の手段を教えます。これで実際に僕はクライアントのブルーオーシャンのマーケットを見つけています。条件が満たされていれば、ですけどね。
(1)ルールの変更に注目する
まず、法律や市場のルール変更、今までできなかったことが急にできるようになたこと、に注目することです。
例えば、少し前なら、スマートフォンが普及したことによって「アプリ開発」という市場が生まれました。スマホが普及すれば、「スマホ向けウェブ制作」も売れます。Amazonでの電子書籍の販売も容易になりました。今まで難しかった出版が簡単になっています。どのような法律の変化、ルールの変化があるのか?ルール変更は新しい需要が生まれる瞬間ということです。
(2)場所を変える
例えば、国内のチェーンストアの多くは、海外で売っていたものを日本へ持ち込んだものです。マクドナルドはアメリカの小さいハンバーガーショップだったわけです。逆に、日本で売っているものを海外に持っていく。国内で考えれば、田舎にお店を出せばコストは下がります。イオンなどの大型モールは郊外に出店しています。他にも、リアルビジネスをオンラインへ、逆にオンラインからリアルへ、など、場所を変更することでバリューイノベーションは生まれます。
(3)時間を変える
例えば、セブンイレブンは朝7時から夜11時までやっているお店としてスタートし、今では24時間営業の代名詞です。これは時間のマーケットに注目したイノベーションでした。つまり、朝、会社に行く前、夜、仕事が終わった後などの需要があるにもかかわらず、お店はその時間やっていなかったのです。深夜営業をしたことで人気になっているクリニック、美容室、ネイルサロンなどは時間の需要を満たしています。
(4)サイズを変える
例えば、キャベツを半分にしたら2人暮らしの人でも余らずに使えますし、1/4にしたら、一人暮らしの人でも使い切ります。洋服のサイズがない体の大きさの人、など、サイズを変更しただけで需要は生まれています。
(5)客層を変える
例えば、パーソナルコンピューターは法人向けのコンピューターを個人向けにしたものですし、ハイチオールCは中年男性向けの二日酔いの商品でしたが、女性向けにシミに効くものとして売り出してヒットしました。対象者を変えることで、バリューイノベーションは生まれます。
(6)提供方法を変える
例えば、先ほどのプロセスを排除して低価格にしたQBハウス。ドライブスルー。野菜の宅配。サブスクリプション。提供手段を変えることで、利便性が上がったり、価格が下がったり、ということでもバリューイノベーションがあるのです。
■ブルーオーシャン戦略の失敗例
・参入障壁が高まるわけではない
例えば、大企業では任天堂のWiiUは、今までゲームをしたことのない家族向け、女性を取り込んだことで成功したゲーム機です。プレステやエックスボックスといった子供やゲーマー向けの市場とは別の場所に入ったことで、ブルーオーシャンを実現し、一気に業績を伸ばしました。
しかし、iPadとスマホの登場により、無料ゲームが普及、結果として販売が伸びずに、2014年には赤字に転落しました。
ブルーオーシャンを実現したからといって、時間経過とともに競合が同じ市場に参入してきます。さらに、上記のように、「別の形」で同じ市場を取られるという場合もありますからね。「似たような商品」だけが競合するわけではありません。
ですから、ブルーオーシャン戦略だけで全てが解決するわけではないということですね。
■ブルーオーシャン戦略が学べる本
今回紹介したブルーオーシャン戦略は以下の書籍で詳しく学ぶことができます。経営者なら、一読の価値はあります。バリューイノベーション、戦略キャンバスの詳細などはこれをご覧ください。
ただ、「6つの切り口」は、僕が使っているもので書籍には書いていませんのでご注意ください。
実は切り口はもっとたくさんあります(笑)
■ブルーオーシャン戦略のまとめ
適切な価格で、継続性のあるビジネスを行う上で必要な改善は以下の3つです。
1、競合不在のマーケットへの参入
2、世界観による優良顧客集客
3、3つの数字による儲かる構図を作る
つまり、マーケット選びと商品サービスのイノベーション、最適な伝え方、そして利益の出るビジネスモデルです。
今回はマーケット選定とイノベーションについてブルーオーシャン戦略という切り口でお伝えしていきました。
まず、何を減らせるか?何を増やせるか?何を変えるか?
といったことをニーズの合わせてアイデアを書き出してみましょう。
イノベーションが生まれるかどうかは、部屋にこもってノートとペンを握りしめる時間を持つかどうかで決まっています。ぜひトライしてみてください。