こんにちは。スギムーです。(@sugimuratakashi)
「イノベーション」と聞くと大企業だけのものと思われていますが
個人ビジネスであろうと何だろうと
「小さなイノベーション」がなければ成功することはあり得ません。
なぜなら、売れない理由は集客方法の問題ではなく、
顧客が欲しい商品がないからだからです。
ビジネスとは、売り方ではなく、「顧客が欲しいものを提供すること」にあります。
顧客が欲しいものを売っていれば、圧倒的に販売も集客も楽になります。
欲しくもないものをどうやったら売れるか?というのは、
- 「売りつける」
- 「人間同士の関係性で売る」
- 「必要以上に利益を削って安売りをする」
ということに他なりません。
ドラッカーはこのように言っています。
ーー
企業の目的は顧客創造である以上、企業の基本的な機能はマーケティングとイノベーションの2つしかなく、そのほかはすべてコストだ。
ピーター・ドラッカー
ーー
ビジネス活動の主軸は「マーケティング」と「イノベーション」の2つしかない。
つまり、顧客が買いたいものを買いたいように買いたい価格で用意し(イノベーション)、顧客にその価値を伝えることで顧客創造と顧客維持をすること(マーケティング)、これによって利益を生み出す仕組みこそ、投資するに値するビジネスという資産になり得るものです。
だから「売り方」「集客」を学んでいても意味がないのです。
学ぶべきは、まず「価値」となるイノベーションの方です。
Contents
■イノベーションの意味とは?
イノベーションという言葉はよく使われていますが、
「技術革新」という意味で使われがちです。
調べると以下のような表現で定義されています。
ーー
イノベーション(英: innovation)とは、物事の「新結合」「新機軸」「新しい切り口」「新しい捉え方」「新しい活用法」(を創造する行為)のこと。一般には新しい技術の発明を指すと誤解されているが、それだけでなく新しいアイデアから社会的意義のある新たな価値を創造し、社会的に大きな変化をもたらす自発的な人・組織・社会の幅広い変革を意味する。つまり、それまでのモノ・仕組みなどに対して全く新しい技術や考え方を取り入れて新たな価値を生み出して社会的に大きな変化を起こすことを指す。
出典:wiki
ーー
こういうことを聞くと、
「そうか!新しいことを自分もやってみよう!」
「新しいアイデアを!」
となりがちですが、そういうことではないのです。
これを勘違いすると「誰もやっていないことをやる」という結論に至る人が多いですが、誰もやっていないということは市場がないのです(笑)
例えば、
「コップをパワーストーンで作ったら新しいはずだ!」
といったアイデアですね。
こうした新しい組み合わせ=イノベーションではありません。
だって、誰が何のために買うのか?何を新しく解決しているのか?
という根本的な「価値」が不明ですからね。
■イノベーションは顧客のためにある
イノベーションは「新しいことをすること」ではありません。
では、イノベーションは何のためにあるのか?
ドラッカーはこう言っています。
ーー
イノベーションの値打ちは、顧客のために何を行うかによって決まる
ピーター・ドラッカー
ーー
イノベーションとは、顧客のためにあるものです。
・顧客の未解決だった問題を専門に扱う新しい切り口
・新しい技術によって顧客の未解決問題を解決する商品
・新しい提供方法によって大幅にコストダウンを実現し低価格化に成功
・新しい販路によって顧客の利便性が向上
と言った、「顧客にとって良いこと」でなければ意味がないのです。
それにより、社会に大きな変化をもたらすことがイノベーションというものです。
現実的なビジネスで考えれば、影響力の大小は関係ありません。
例えば、お店が全くなかった田舎にコンビニがオープンしたということは
それだけで地域に住む人にはイノベーションになりますからね。
単に新しい技術や、新しい売り方、切り口、ということではなく
顧客にとって良い、それらでなければ意味がありません。
■「イノベーション」の正しい使い方
イノベーションという言葉は「新しいことをする」「革命的なことをする」
と言ったニュアンスで使われがちですが、
イノベーションは、顧客の未解決問題を解決するための
技術や、提供方式、プロセス、売り方、と言ったものです。
ですから、言葉の使い方としては
「この問題を解決するための商品を開発するイノベーションはないか?」
「販売コストを圧倒的に抑えるためのイノベーションが必要だ」
「誰も同業者で取り組んでいないからこそイノベーションになり得る」
と言った使い方をします。
■イノベーションの種類と事例
代表的なイノベーションの種類を3つ紹介します。
(1)プロダクトイノベーション
プロダクトイノベーション(製品革新)は、新商品の開発によって他社との差別化を行い、競争優位性を生み出すものです。基本的には「新技術」「新たな活用法」などにより生まれます。
・iPod
例えばiPodは、大量の音楽をポケットに持ち運べるまで音楽プレイヤーを小型化し、iTunesとの連携で音楽のダウンロード購入をできるようにし、利便性の高めました。
・ポストイット
3Mが強力な接着剤を開発中に、たまたま粘着力がすごく弱い性質の物質が誕生した。「しおり」が落ちる様子を見て、すぐにはがせる紙の用途があるはずだとポストイットが誕生。
・リアル脱出ゲーム
例えば「リアル脱出ゲーム」は、ゲームの脱出ゲームのリアル版として、ユーザー参加型イベントを実施するという、ゲームの新しい活用法で新たな価値を生み出しました。
・ジョブセンス
求人サイトのジョブセンス(現マッハバイト)は、求人広告の業界に、成果報酬型モデルを転用したことで、企業側の求人広告のリスクをなくしました。
(2)プロセスイノベーション
プロセスイノベーションは、工程革新・製法革新、というもので、新たな製造方法や、工程の改良によって「コストダウン」を図り、競争優位を生み出す方法です。
・QBハウス
10分1000円カットのヘアカット専門店QBハウスは、作業工程の改良によって、短時間で、低価格というサービスを実現し、全国500店舗以上の拡大に成功。
・base
無料ネットショップ構築サービスのbaseは、無料でECサイトを誰でも作れるウェブサービスを提供し、決済手数料やオプション購入など別の部分でマネタイズをする、フリーミアムモデルにより、短期間に40万店舗以上が活用している。(楽天市場が4万4602店舗2017年3月時点)
・カーブス
女性専門の30分フィットネスのカーブスは世界企業ですが、国内では1760店舗(2016年時点)を展開。フィットネスジムの高価な設備を排除し、「30分ちょっと体操をする場所」というニーズに対応することで価格を抑えています。
(3)マーケットイノベーション
マーケットイノベーションは、新たな販路の開拓により、他社との競争優位性を生み出すものです。「新たな立地」「別の顧客層」「別の用途」などによって満たされていないニーズに対応するものと言えます。
・ヤマト運輸
当時の宅配は法人向けのものでしたが、一般家庭にもニーズがあるはずだと、郵便局の小包しかない時代に一般向けの宅急便サービスを考案。法人向けを個人向けに転用した例です。
・PC
コンピューターが専門家や法人向けだったものに対して、「パーソナルコンピューター」を考案し、個人向けにコンピューターを普及させました。
・iPhone
アップルはコンピューターの販売では、他者に勝つことができなかったが、パソコンと電話を組み合わせたスマートフォンにより携帯電話のマーケットシェアを獲得した。
他にも、新たな仕入れ先、新しい原材料の確保によるサプライチェーンイノベーションや、新たな組織形態によるオーガナイゼーションイノベーションなどがあります。
■中小企業・個人でもできるイノベーションとは?
事例を見る限り、中小個人には「無理!」という感じですね。
上記3種類の中で言えば、技術力が必要なプロダクトイノベーション、強力なコストダウンのノウハウが必要なプロセスイノベーションといった『差別化』は中小企業には無理だとわかると思います。
そもそも「差別化すべき」とよく言われますが、差別化には優秀な人材とお金が必要ですから、中小個人にはそもそも「差別化」はできないのです。
したくてもできないのが差別化です。
なので、中小個人が、差別化しようとすること自体が無意味なんです。
しかし、冒頭で言ったように、どんな小さな段階であれ、イノベーションがなければ、顧客に適正価格で選ばれることはあり得ません。
ですから、プチイノベーションであっても、商品サービスの価値を競合以上に作る必要があります。
では、中小個人でも可能なイノベーションとは何か?
というと3番目のマーケットイノベーションなのです。
「競合不在のマーケットに入る」これこそ中小個人の基本戦略です。
■イノベーションは、オンリーワンではなくナンバーワン
「誰もやっていない新しいこと」
というのは、オンリーワンです。
しかし、そこにニーズがなければ誰にも求められていないので意味がありません。
イノベーションは、
オンリーワンであり、顧客にとってのナンバーワンである必要があります。
例えば、
素敵な彼氏がいるとします。彼は一人しかいない存在なので、オンリーワンです。
しかし、同時にあなたにとってのナンバーワンだからこそ、彼氏と付き合うわけですよね?
オンリーワンというだけでは無意味なのですよ。
だからこそ、競合不在のマーケットに入ることで
「顧客にとって自分しか選択の余地がない」
という状態を生み出すことが重要なわけです。
■イノベーションは陳腐化する
しかし、いくらうまくイノベーションを作った企業でも
イノベーションは時代とともに陳腐化します。
携帯電話も、ミネラルウォーターも、今では当たり前の商品です。
優れたイノベーションほど、他者が真似をします。
つまり、
・イノベーションを作り続ける
・イノベーションを他社に真似できないほど作り込む
・イノベーションを捨て、新たなイノベーションを作る
という姿勢が必要なのです。
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イノベーションに優れた企業は、人のつくったものは遅かれ早かれ、通常は早く陳腐化することを知っている。競争相手によって陳腐化させられるのを待たずに、自らを陳腐化させ、廃棄することを選ぶ
ピーター・ドラッカー
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自らを、現状否定し、
自らを、捨てることができるものだけが
成長することができるのです。
いつまでも自分がしていることが正しいと思っているうちはイノベーションは手にできません。
『スクラップ&ビルド』
創造と破壊の精神が必要なのです。