マインドセット

ギブアンドテイクやギブギブギブではビジネスは成功しない。なぜあなたは搾取され続けるのか?

こんにちは。スギムーです。(@sugimuratakashi

子供の頃は、何もしなくても親が住む場所や、食べ物や、勉強する環境や、お小遣いを与えてくれました。もらう(テイク)ことが当たり前。

しかし、社会に出ると、何もしなくても周囲が何でもやってくれるということはなく、お互いに「持ちつ持たれつ」という、人に親切にする(ギブ)ことで自分が親切にされる(テイク)とか、自分が何かをしなければ人は何もしてくれないことを学びます。

  • 支払って商品やサービスを買う
  • 労働する事で給与をもらう
  • メリットを提示してこちらの要望を叶えてもらう
  • 作業を役割分担する

といった、いわゆるギブアンドテイクが基本になります。

しかし、本当にギブアンドテイクの世界であれば、なぜ貧富の差や幸福度の差が出るのか?もちろん、自分がもらう事(テイク)しか考えていない場合は論外ですが、なぜ頑張っている人、全てが報われないのか?という事です。

  • 十分な商品サービスを提供しているのに適正価格で売れない
  • たくさん労働をしているのに十分な報酬がもらえない
  • メリットを提示しても買ってもらえない

ビジネスを始めるとギブアンドテイクでは成り立たないことが分かってきます。頑張って働いても、それに見合った利益や収入を得ることはイコールではないからです。

そこで、成功者や多くのコンサルタントはこう言うでしょう。

「ギブアンドテイクではなく、ギブギブギブだ」
「先に与えまくっていないことが原因だ」

と。

つまり、見返りを求めずに、与えなさい。
いや、与えるだけではなく、与えて与えて、与えまくりなさい、と。

多くの自己啓発書にそう書いてあることでしょう。
奉仕の精神論が語られています。

で、与えまくった結果、うまくいきましたか?

いかないですよね?それはこんなカラクリがあるからですよ。


■ギブアンドテイクの意味とは?

まずギブアンドテイクの意味を理解しなければいけませんが、ギブアンドテイクというのは同等の交換条件の関係性ということです。

「これをあげるから、それをちょうだいね」

ということです。

「ギブアンドテイク」と「WIN-WIN」は同義で使われている言葉です。公平な取引ということですね。

さて、ここで疑問が出ますが、ギブアンドテイクの関係性を自分はどう捉えているのかということです。次の2つの疑問が出ます。

1、「ギブ」と「テイク」をどちらを先に行うと考えているのか?
2、「ギブ」と「テイク」はどちらが多くあるべきと考えているか?

です。

■ギブとテイクのどちらが先か?

先攻後攻をマトリックス表にするとこうなります。

・テイク&ギブ

「もらえるなら、与えます」

  • 報酬をもらえるならば働きます
  • 欲しい結果になるならば対価を支払います
  • とりあえず自分の分は確保させてもらいます

と、結果が約束されている、または先にもらえるならやりますよという態度ですね。まぁ正常ですね。多くの人はこの領域かと思います。

・テイク&テイク

「もらってもらって、もらいまくります」

  • もらうものはもらうけど、サボります
  • 売りつけて逃げてやろう
  • 自分の思い通りにならないなら関係を切ってやろう

と言った自己中な関係性です。自分の保身は考えるが、相手のことは知ったこっちゃないよという態度です。まぁ俗にいう悪い人です。悪事はバレるので、関係性は破綻するでしょう。

・ギブ&ギブ

「先に与えて、与え続けます」

  • 自分は我慢しますから大丈夫です
  • 報酬は要りません
  • 安くします

と言った自己犠牲の態度です。異常です(笑)我慢の限界がきて、いずれ関係性は破綻するでしょう。

・ギブ&テイク

「先に与えますので、良かったらください」

  • 試して価値があったら買ってください
  • うまくいったら報酬をあげてください
  • 報酬の約束はないが挑戦して結果を出そう

と言った、先に与える、先にコストを負う、リスクを負う、というのが本当のギブアンドテイクということになりますね。順番としては、最初にギブ、次にテイクです。とても健全な態度です。

つまり「ギブアンドテイク」と言いながらも、ほとんどの場合は「テイク&ギブ」だったりします。「報酬もらえないのに仕事なんかするわけないじゃん」と言うのが一般的です。それは別に問題ないことです。ビジネスをやっている立場でないのなら、ですけどね。起業をすれば、報酬の約束はありません。自己責任ですから。

■ギブとテイクどちらが多くあるべきか?

次に、どっちが多いかということです。

・テイクが多くあるべき
・ギブとテイクは同程度であるべき
・ギブが多くあるべき

と、3パターンになりますが、それによってもその人にとってのギブアンドテイクの意味はだいぶ変わります。

例えば、「テイクが多くあるべき」という人は、自分の報酬の方が、自分が支払う対価よりも多くあるべきと考えているわけです。

そうなると

・テイク&ギブ
「たくさんもらえるなら、少しは働きますよ」
・テイク&テイク
「とにかく、クレヨ」
・ギブ&テイク
「ちょっとだけやりますんで、たくさんくださいね」

という意味合いになります。

まぁ不健全な関係ですから、この人とは関わりたくないですね(笑)

次に、「ギブとテイクは同程度であるべき」と考えている場合は、

・テイク&ギブ
「もらった分だけは働きますよ」
・ギブ&テイク
「あげた分は、ちょうだいね」

という意味合いになりますね。まぁ一般的です。正常ですね。多くの人は、こう考えているでしょう。

最後に「ギブが多くあるべき」と考えている場合は、こうなります。

・テイク&ギブ
「もらった以上に、価値を提供します」
・ギブ&テイク
「たくさん提供しますので、価値に見合った報酬をくださいね」

という意味合いになり、だいぶ印象が変わりますよね。とても気持ちのいい人です。

では、どのタイプが一番、ビジネスでうまくいくのでしょうか?

■3種類のギブアンドテイクへの考え方

このギブアンドテイクについて研究した、ペンシルベニア大学ウォートン校教授、組織心理学者のアダム・グラント氏の「GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代 (単行本)」では、仕事における人間の行動を3つのタイプに分けました。

惜しみなく先に与える人を「ギバー」、自分の利益を優先させる人を「テイカー」、損得のバランスを考える人を「マッチャー」としました。今までのことをこの3つに当てはめて分類するとこうなります。

(1)ギバー

考え方:ギブが多くあるべき
先攻後攻:ギブが先であるべき
関係性:ギブ&テイク/ギブ&ギブ

(2)マッチャー

考え方:ギブとテイクは同程度であるべき
先攻後攻:ケースによって変える
関係性:テイク&ギブ/ギブ&テイク

(3)テイカー

考え方:テイクが多くあるべき
先攻後攻:テイクが先に保障されているべき
関係性:テイク&テイク/テイク&ギブ

組織を調査した結果、マッチャーは組織の中では平均的なポジションで給与も平均的。テイカーは平均より少し上。ギバーは会社でのポジションが低く、給与も低いことが分かりました。

意外ですか?

しかし、もう一方でこの調査で最も給与が高かったのもギバーだったのです。
平均ではギバーの給与は低かったが、突き抜けて結果を出している人も、またギバーだったということでした。

「搾取されるのも成功するのもギバー」

ということです。

では、成功する上位ギバーと、搾取される下位ギバーはどう違いがあるのか?

■ギブギブギブで「ギブばっかり」になる理由

搾取される下位ギバーは「ギブが多くあるべき」「ギブが先であるべき」と考えながらも、「ギブ&ギブ」の関係性になっているということです。

成功する上位ギバーは、「ギブが多くあるべき」「ギブが先であるべき」と考えながらも、「ギブ&テイク」の関係性を築きます。

多くの自己啓発書や、道徳的な教えや、有名人・インフルエンサーから、間違った思いやりや優しさを身につけて、「ギブギブギブ」と、与えまくっても搾取される側に過ぎないわけですよ。

なぜ、「先に与えろ」「ギブギブギブだ」と情報発信者が言うのかと言えば、

・販売者が自己投資させる理屈だから

です。

「成功者はみんな、先に与えている人間だ。だから、先行投資ができない人間は成功できない。よって、私の商品を買いなさい」

といった理屈です。

安く過酷な労働を強制したり、高額セミナーを買わせたり、資格を買わせたり、ボランティアスタッフをさせたり、投資商品を買わせたり、売れもしない商品を仕入れさせたり、リースを組ませたり、買わせるための理屈として「先に与えろ」といった理屈を持ち出すことが多くあるわけです。

つまり、なぜ、「ギブばっかり」になってしまうのか、搾取されてしまうのかといえば、

・返報性の法則が働くかは相手のスタンスの問題

だから。

こちらが「ギブ&テイク」の姿勢であっても、関係する相手が「テイカー」ならば、いくら価値を提供しても、対価を支払っても、奪われるだけなんですよ。さっき出てきたテイカーの販売者たちのような人たちに。

よく、「先に与えたら返報性の法則が働く」という理屈を言う人がいますが、それは前提が相手が「テイク&ギブ」や「ギブ&テイク」の人だけです。「テイク&テイク」な人には通用しません。

与えてもらったら対価は支払うと言う人に対して、先に与えれば、返報性の法則は働きます。もらったら返さなきゃ、って普通は思います。

でも、そうじゃない人間はたくさんいるわけで。

そう言う人間と関わらないスクリーニング(選別)は重要なわけです。

つまり、「テイカー」と関わっている以上、「ギブギブギブ」の精神では搾取され続けるってことですね。

  • 永遠に起業できない起業セミナー
  • 焼き直しの自己啓発本を買い続ける
  • 資格を取り続ける
  • 有名人や先生の金魚のフン
  • 安く労働力を提供する
  • フリーライダーに時間を奪われる

といった、テイカーにギブし続けても搾取対象にしかなりません。

■ギブギブギブの本当の意味

ビジネスにおける「ギブギブギブ」「先に与えろ」と言うのは、自分が犠牲になるとか、消費し続けるとか、ということではなく、精神論ではなく、次の3つの意味です。

1、価値

まず、何を与えるのかといえば、価値を与える、と言うことです。価値というのは、相手の問題を解決するということです。決して労働力や時間を与えたり、嫌なことを引き受けたり、ただ親切をするってことでもなく、量を提供しろってことでもありません。価値です。1万円のサービスを売るなら、相手に10万円の価値をもたらすと言うことです。悩みを解決すると言うことです。

  • 相手に成果を出させる
  • 稼がせる、増やす
  • 節約させて利益をもたらす
  • 時間を節約させる
  • 時間を増やす
  • マイナスをゼロにする
  • 満たされていないものを満たす

という商品サービスを作りなさいと言うことです。それを約束して守るということです。

2、オファー(お試し)

次に、「先に与える」というのはマーケティングで言うオファー(提案)のことです。「無料で試してください」「低価格で試してください」といった提案をして、「試して良かったら実際に買ってください」と言うことです。

3、シグナリング理論

そして、さらにいえば、無償で情報を先に与えると言うことです。
商品についてこちらが詳しくて、お客さん何も知らないと言う状態では誰も買いたくても怖くて買えません。これを「情報の非対称性」と言います。

先に情報を与える、知識を与えるから、商品の必要性が理解できたり、商品を欲しくなると言うことが起きます。

このブログでも多くの情報を無料提供することで、信用が生まれたり評判ができて仕事の依頼が来たりするわけですね。先に与えると言うのは精神論でもなんでもなく、経済学に基づいた考え方です。

闇雲に与えまくっていてもビジネスが成功するわけがないんです。

■上位ギバー・マッチャー・テイカー・下位ギバーの違い

つまり、

下位ギバー:「私のパイをどうぞ」

マッチャー:「あなたのパイを半分くれるなら、私のも半分あげます」

テイカー:「あなたのパイをくれ。」

上位ギバー:「パイを大きくするには?」

と言うこと。

上位ギバーになるには、パイの取り合い、パイの譲り合いをやめて、相手のパイを増やすことを考え、ギブを先にし、増やしたパイから自分もテイクをし、その関係を望まないテイカーとは関わらない(ノーディール)ことです。

上位ギバーをまとめると以下になります。

・上位ギバー
考え方:(相手にとって価値ある)ギブが多くあるべき
先攻後攻:ギブが先であるべき
関係性:ギブ&テイク
注意:テイカーとはノーディール(関係しない)
報酬:相手のパイを増やして自分もテイクする

自分が属するコミュニティ(夫婦・恋人・家族・会社・クラス・部活・学校・地域・国・世界)に貢献していくことが大事ですが、貢献とは利用されると言うことではなく、価値を与えると言うことです。

・所属するコミュニティ・関係性の利益を増やす

と言うことです。

■テイカーを見破る方法

「私の上司はテイカーだ」
「家族がテイカーだ」
「取引相手がテイカーだ」
「客層が悪く、テイカーばかりだ」

と言う人はよくいます。

その場合、自分自身が、テイカーか、下位ギバーになっていないか注意することです。

テイカーに囲まれている場合は、自分が犠牲になることで人間関係を作ってしまうタイプなのか、自分自身もテイカーの傾向があるのかのどちらかです。

例えば、いくら時間を使って頑張って働いていても、会社側としては利益に貢献していなければその人こそテイカーだと言う評価はされるわけですし、相手にとって価値がなかったり、価値が伝わっていなければ、評価も低まります。その結果、こちら側からしたら相手こそテイカーのように見えているだけかもしれません。

相手は変えられません。変えられるのは自分だけ。
自分が変わることで相手との関係性を変えることはできます。

しっかりと自分のスタンスをギブアンドテイクにして、関係性の中でパイを増やす努力をすること。その上で相手が取引に応じないとか、約束を破ったり、裏切ったり、契約をしなかったりする相手ならば、関わらないことです。それでも関わってしまうのは自らの打算ゆえなわけで。

自らの中にある打算こそがテイカーの正体なんですよ。

パイを増やす側に回るか?

それとも、パイの取り合いを続けるか?

ビジネスの成否はその態度によって決まっているんですよ。

 

と言うわけで、

パイを大きくしましょう。(下ネタじゃないよ)

 

 

 

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