こんにちは。スギムーです。(@sugimuratakashi)
経営には「ミッション」や「ビジョン」というかっこいい言葉がありますが、これほど定義が曖昧で勘違いされた使い方をされている言葉はなかなかないと思います。
ミッションやビジョンが、ただのキャッチフレーズか何かになっていたり、社長の思いのみで表現されていて、顧客不在、戦略不在、社員不在の独りよがりのものになっていたり、曖昧な綺麗事で表現され、それを聞いてもその会社のことが全く分からなかったりします。
「ビジョンを描きましょう」「未来を描きましょう」と言われますが、預言者でもあるまいし、それは無理です。そんなのただの独りよがりの抽象的な上っ面のビジョンしか描けなくて当然です。現在を積み重ねた結果、未来があります。逆に、未来のために現在があります。つまり、未来を定義するには、現在を定義する必要があり、逆も然りです。未来をいきなり描けなくて当然なのです。
ビジネスが誰の何のために存在しているのか?その結果、どんな世界を作ろうとしているのか?ということがリアリティを持って分からないビジネスは全く魅力を感じませんし、そこで働く人や利害関係者にとって、それらが分からなければ何を基準に物事を判断すればいいのか?結果、何をしているのか?が分からないままです。
今回は経営コンサルの立場で、「機能するミッション・ビジョン・バリュー」という『企業を定義する言葉作り』について考えて行きます。
個人ビジネスでもミッション・ビジョンが不明なら迷子になりますよ!
Contents
■ビジョン・ミッション・バリューの意味とは何か?
・ビジョンの意味とは何か?
ビジョンとは「視覚」や「未来像」と言った意味がありますが、ビジネスにとってビジョンは2つの意味があります。
まず1つは顧客や社会からの目線で、「現在を積み重ねて行った未来、どういう結果をもたらしているか?」ということです。我々が経営活動をして行った結果、こういう世界になっている、ということ。
逆に言えば、顧客からしたら「どういう未来に連れて行ってくれるの?」という問いへの答えです。
もう1つは、社内の戦略目線で、「その未来での、我が社のあるべき状態」を指します。その未来では、我が社の従業員数、店舗数、売上規模、展開方法、市場・社会的位置付けは、こういう状態になっている。ということ。こちらは、いつまでに?という期限も必要です。
つまり、「我々がこの活動を続けた結果、このような課題がこのようになっている未来を目指す。その時、我が社はこういう状態になっている」ということですね。
我々はそうした未来を実現するための組織なのだ、という定義ができることで、顧客・社員・株主・取引先といったステークホルダーが、このビジネスの意味を理解できるわけです。
・ミッションの意味とは何か?
ミッションの意味は「使命」や「任務」という意味がありますが、ビジネスにおいてビジョンは「未来」でしたが、ミッションとは「現在」のことです。
ミッションも2つの側面で考えたほうがわかりやすいです。
まず1つ目は顧客目線で、「顧客にとっての我々の存在意義とは何か?」ということです。そのお店、サービス、会社があることで、顧客にとってどういう存在意義になっているのか?です。
もう1つが社内目線で、「我々は誰に対してどんな価値を提供することが使命なのか?」ということです。つまり、マーケティングや商品といった戦略がなければミッションは言い表せません。
これは基本的に目線が違うだけで同じ内容になるはずです。
ミッションが明文化されることで、関わる人が一丸となれます。
・バリューの意味とは何か?
最後に「バリュー」です。バリューとは「価値」という意味ですが、この組織において何が大切なのか?ということです。
つまり、バリューとはミッション(現在)とビジョン(未来)を達成し続けるために、必要な社内の「行動方針」ということです。
こういう基準で行動していこうぜ!
という話。
基準を持つために、大切にすべきことが何かを決めることがバリューの策定です。
・ビジョン・ミッション・バリューのまとめ
つまりまとめると、
ビジョン:組織がもたらす未来の結果とその時点でのあるべき状態
ミッション:組織がビジョンを実現するための現在の顧客にとっての存在意義
バリュー:ビジョンとミッションを実現するための行動指針
ということです。
以下、実際の例をあげて行きましょう。
■経営ビジョン・ミッション・バリューの事例
・企業のビジョンの例
ANAグループ
「ANAグループは、お客様満足と価値創造で世界のリーディングエアライングループを目指します」
イオンモール
「アジア50億人の心を動かす企業へ」
ソフトバンクグループ
「世界の人々から最も必要とされる企業グループ」
ファーストリテイリンググループ
「世界を良い方向に変えていく」
・企業のミッションの例
ファーストリテイリンググループ
「本当に良い服、今までにない新しい価値を持つ服を創造し、世界中のあらゆる人々に、良い服を着る喜び、幸せ、満足を提供します」
「独自の企業活動を通じて人々の暮らしの充実に貢献し、社会との調和ある発展を目指します」
「世界をよりオープンにし、つなげる」
→2017年に「世界のつながりをより密にする」に変更
日産
「私たち日産は、独自性に溢れ、革新的な車やサービスを創造し、その目に見える優れた価値を、全てのステークホルダーに提供します。それらはルノーとの提携のもとに行なっていきます」
ライフイズテック
「「教育×IT×エンターテイメント」で、子ども達の未来を変える!」
・企業のバリューの例
「常に1%しか終わってない」
ソフトバンクグループ
「努力って、楽しい。」
「No.1」「挑戦」「逆算」「スピード」「執念」
ANAグループ
私たちは「あんしん、あったか、あかるく元気!」に、次のように行動します。
1.安全(Safety):安全こそ経営の基盤、守り続けます。
2.お客様視点(Customer Orientation):常にお客様の視点に立って、最高の価値を生み出します。
3.社会への責任(Social Responsibility):誠実かつ公正に、より良い社会に貢献します。
4.チームスピリット(Team Spirit):多様性を活かし、真摯に議論し一致して行動します。
5.努力と挑戦(Endeavor):グローバルな視野を持って、ひたむきに努力し枠を超えて挑戦します。
ザッポス
1. サービスを通じて,WOW(驚嘆)を届けよう。
2. 変化を受け入れ,その原動力となろう。
3. 楽しさと,ちょっと変わったことを創造しよう。
4. 間違いを恐れず,創造的で,オープン・マインドでいこう。
5. 成長と学びを追求しよう。
6. コミュニケーションを通じて,オープンで正直な人間関係を構築しよう。
7. チーム・家族精神を育てよう。
8. 限りあるところから,より大きな成果を生み出そう。
9. 情熱と強い意思を持とう。
10. 謙虚でいよう。
ファーストリテイリンググループ
お客様の立場に立脚
革新と挑戦
個の尊重、会社と個人の成長
正しさへのこだわり