付加価値の意味とは?|よくある「付加価値をつける」の間違い

付加価値の意味とは?|よくある「付加価値をつける」の間違い

こんにちは。スギムーです。(@sugimuratakashi

ビジネスには「付加価値をつける」という考え方があります。
要するに、価値を付加して、高い価格でも売れるようにしよう、顧客に選ばれるようにしよう、という考え方です。

しかし、これってお客さんのことを考えずに、自分本位に付加価値をつけてコストをあげている行為に過ぎない場合がとっても多いです。

「もの(サービス)づくり」と「価値づくり」は全くの別物です。

自分本位な付加価値を上乗せするのではなく、顧客にとって本当に『価値ある状態』にする必要があります。今回はそんな付加価値の間違いと本当の付加価値についてお伝えしていきましょう。

■付加価値の意味とは

付加価値とは「素材を生産によって加工することで新たに加えられた価値」のことです。商品サービスを作るに当たって必要な原材料費・人件費・減価償却費などの経費に、利益を上乗せし、価格がつけられるのは、この付加価値があるから原価以上の値段となるわけです。その付加価値の要素には以下の3種類があります。

・機能的価値

まずは機能的価値です。商品・サービスを購入するのは、その商品が持つ機能によって顧客の課題が解決するからなわけです。その「問題を解決するための機能そのもの」が機能的価値です。

機能的価値=「〇〇な結果が得られる」

例えば、技術・性能・効果・ノウハウ・情報・サポート・量・利便性・早い・軽い・使いやすい・といった機能に関する価値が機能的価値です。

美容院なら髪を綺麗に切る技術が機能ですし、冷蔵庫なら食品が冷える、大容量である、音が静かであるといったことが機能的価値です。

しかし、市場が成熟化した今では、最低限の機能だけでは満足されることはなく、より充実した機能、多機能、高性能、他にない効果などが求められていきます。そうした機能の付加はコストが上がり、ましてや中小企業ではカバーしきれません。

なので、コストがかかりにくい次の2つの価値が重要視されていきます。

・情緒的価値

次に情緒的価値です。商品・サービス・お店の利用によって、どんな感情が生まれるのか?というのが情緒的価値です。

情緒的価値=「〇〇な気分になれる」

例えば、共通点・イメージ・装飾・デザイン性・物語性・安心感・親近感・高級感・充実感・かっこいい・可愛い・面白い・好き・といった感情に関する価値が情緒的価値です。

お店が落ち着くとか、楽しいとか、この製品を使うとおしゃれな気分を味わえるとか、ワクワクするとか、安全だとか、特別感や優越感を味わえるとか、そうした感覚的な価値を情緒的価値と言います。最近のブランドに重要視される価値の1つです。

・自己表現的価値

次に自己表現価値です。商品サービスを使うことによって、その体験がユーザーの自己表現、自己実現になるという価値です。つまり、「自分らしさ」の表現の助けになるという価値です。

自己表現価値=「〇〇な自分になれる」

例えば、「この人みたいになりたい」「この人みたいなライフスタイルを手に入れたい」といった自己実現に関する価値が自己表現的価値です。

コンピューターで言えばApple製品を使っていれば「クリエイティブな自分」になれますし、憧れの女優が着ているブランドの靴を履けばその人に近づきますし、美しい女性起業家が主催するコミュニティに入ればキラキラできるかもしれません。

ブランドとはこれら3つの価値を多面的に持っています。

例えば、iPhoneは、通話・インターネットといった基本機能を持ちながらも、スマートで使いやすい操作性といった機能的価値を持っていて、さらに、デザイン性があり、「かっこいい」といった感情や、多くの人が使っている大きな会社の製品という安心感があり、iPhoneを使っていれば、最先端のライフスタイルを送っているクリエイティブな人物という自己表現的価値もあります。

■「付加価値をつける」と言う間違い

そこで、どのようにして付加価値をつけるかというと、よくある付加価値の付け方はこんな感じです。

・厳選した素材を使っています
・全て手作りです
・デザインの細部までこだわりました
・他に比べて品質が良いです
・メンテナンスなど、サポートが充実しています
・ワンストップサービスです
・スタッフが個別に対応いたします
・〇〇が充実しています

例えばこのように多くは機能的な価値を上乗せをして、「〜だから、当店の商品はこの価格なのです」という『価格の妥当性』をアピールしているわけですが、これって本当にお客さんが求めている価値なんでしょうか?ということです。

機能的価値を上乗せするには、それだけコストがかかりますよね。
その分、価格は上げざるを得ません。価格が安いままならば、利益面による会社の経営や従業員などに無理がかかることでしょう。

例えば、ハンバーガーの品質を上げようとして、高級素材にし、手作りにし、個別対応にし、高価なお皿で、個室で食べるとしましょう。これって、手軽に今すぐ食べたいというユーザーにとっては全く価値は上がっていませんよね?

例えば、コンビニには各商品につき1、2種類程度の品揃えしかありませんが、これを充実させてしまえば、スーパーになってしまい、手軽さがなくなります。

「品質を上げる」というのは、売り手から見た品質が上がっているのか?
顧客にとっての品質が上がっているのか?

どういう軸によって品質が上がっているのか?ということです。

価値を高める軸には次の2種類があります。